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俺の戦記  作者: かな河
106/131

106話 戦いへ(3)

 俺は松本家の城に来た。会議室に行くとすでに半分くらいのものが集まっていた。俺はほかの家が持ってきた資料を読んだり、自分が持ってきた資料を配って回ったりしてほかの者が来るのを待つ。それから二、三時間もすると全員がそろい会議が始まる。会議冒頭に松本が言った。

 「最初に現在の我々の勢力についての確認を行います。何か間違いがありました言ってください。最初に増えた領土の国数です。野村家の領土が32国、梅田家31国、小林家36国、吉田家34国、浜野家33国、大野家33国、松本家30国。」

 誰も異論は唱えない。ちなみに国の数は各自の最初の面積をもとに決めた。できるだけ同じくらいの国の起きさになるように配慮したのだ。しかし国の中身は違う。そこは戦果を見て決められた。とりあえず面積だけの話を続けると30倍近く大きくなったわけだ。しかし便宜上、一国と呼んでいるが本来ならそんなことを言える大きさではない。七ヶ国の大きさを合わせても市川家の面積の半分ほどである。松本が続けた。

 「異論がないようなら今回の市川家との戦闘の作戦について話すでかまいませんね。」

 誰からも異論が出ない。松本が言った。

 「私はここまでであとは吉岡殿にこの場を取り仕切ってもらおうと思うのですがかまいませんか」

 これまた異論は出ない。というかここまでは松本が根回しを行ってあるのだろう。俺は着いたときに松本から今回の一軒は前回、野村に任せたように吉岡にまとめ役を引き渡していいか聞かれていて了承済みであったのだ。変わって吉岡が話し始めた。

 「今回は私が取り仕切らせてもらうことになりました。最初に一つ提案がありまして今後の市川家との作戦に関わる会議では私の領地内にある城を集まる場として利用することです。」

 少し松本が驚いた顔をしていった。

 「吉岡殿の領地ではほかの領土からの往復が面倒ではあるまいか。」

 「そのことに関しては戦場から一番近い我が家の城を使うほうが戦場との伝達がうまくいきよいと思います。」

 吉岡がそう返す。野村が言った。

 「確かに吉岡殿の言う通りであろう。それに市川家と本領が接している吉岡家としては頻繁に防衛拠点である城を離れるわけにはいかない。」

 確かにその通りである。松本が俺や浜野といった吉岡領との交通の便が悪いところに住んでいるものに目配せをし何か言うように促す。松本としては会議の場を提供することでこの同盟内での盟主的な立ち位置を得ているのだから一時的にとはいえ、ほかの場所で集まられるのは気に食わないのだろう。しかし俺はここを会議の場にすることに軍事的な利点は感じないので何も言わない。浜野は松本のために一言二言反対意見を言ったものの別に本気で行っているようではなくすぐに反論するとすぐに意見を引き、吉岡家の城でこれ以降は話し合いが行われることに決まった。吉岡が言った。

 「次に各自の役割について前回よりしっかりと決めたほうがいいと思ったので提案させてもらう。」

 「我が家は前回同様に諜報を行えばよろしいかな。もちろん前回に比べ兵が増えたので戦闘にも参加はする。」

 小林が言うと吉岡がこう返した。

 「できれば伝達役も頼みたいのですがかまいませんか」

 「分かった。それも行おう。」

 「小林殿の承諾も得られたことだし、次に兵站を行うものを決めようと思う。」

 「しかし吉岡殿、兵站は各自の国が持ってきたものを使うのだから共同で誰かに任せるというのは難しいのではないか。」

 「浜野殿の心配に関してはもっともだが各自の家がばらばらに戦場の近くまで運んでくるのは効率が悪いと思う。それよりも一度、我が家の城などに運び込んだ後まとめて部隊まで届けるほうがいい。なぜならこのやり方なら中継地点となる城までは安全地帯を通るわけで民間の業者に頼むこともできるし輸送の防衛にかかる人数を、一つの部隊に集めることで削減することもできる。」

 俺はここまで聞いてこの案に大きな魅力を感じた。俺は言った。

 「兵站の係というからわかりずらいのだろう。運搬専門の部隊を作るといえばわかりやすい。率直に言ってこの案に賛成だ。何なら我が家がその役を買ってもよい。」

 さらに松本が言った。

 「その案に私も賛成だ。今回の戦は市川家という広い土地を戦場に戦うわけだ。後方までのよりも長くなるし必要だと思う。それにそのような部隊ができれば負傷者を後方に運ぶのに使わなければいけない人員も出さずに済む。ただ一つの家にそれを任せるのでなく持ち回り制にするのはどうだろうか。これなら同じ軍がずっと戦場に出続け疲弊するという愚を避けることができる。」

 この後も少し論争が続いた。おもな反論は輸送に失敗した場合、他家の物資を失うことになり責任が取れない、他家に軍事の生命線である兵糧の輸送を任せたくないなどが上がった。しかし結局は持ち回り制でしばらくの間は行うことが決まった。しかし有用性があまりない場合はこの案は廃案にすることになった。その後、小林家から正確な市川家の地図が配られ戦術についての話し合いに移っていった。

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