103話 松島領にて(3)
私は小坂に連れられて今度は志願兵で構成された軍のところに来る。そこでは先ほどの農民軍と違い小さな組に分かれ各々別の訓練をやっている。小坂が言った。
「志願兵たちは入隊後いくつかの組に振り分けます。訓練などもその部隊ごとに行われ実際の戦いの場でもその組に分かれ細かい動きを行っていく予定です。」
「組についてもう少し説明をお願いします。」
「分かりました。組はこの軍に置いての最小単位です。人数にもばらつきがあり少ないところで30人、多いところで300人といったところです。もちろん組の中でさらに小さく分かれることもありますが全体の作戦で指示を出すときは組まででその後、組の中で分かれるという形になります。組は演習などではいくつかの組がまとまって行動することもありそこまで固定化されたものではありません。」
なるほどだからこのようにばらばらになっているのか。私は小坂に行った。
「しかしこのように分かれて訓練をしていてほかの組との連携を取ることが難しいのではないでしょうか。また組によって練度の差がかなりあるように見受けられるのですが。」
ここで言葉を切り、練兵場に目を向ける。そこでは明らかに動きに差がある二つの組がある。
「それは問題ありません。週に一回全体で行う訓練があるのでそこで連携のほうを取っています。また各自の組の練度の差についてはかなりありますがたまに試験をかけ実力が一定以下の組に関しては解散させ、その組に所属していたものをほかのところに配属することで一定水準の練度を保っています。」
なるほど最低のところがだいぶ低いのであろう。何かを察したのか小坂がとりわけ動きの悪い組を指して言った。
「ちなみに今、目の前に訓練を行っている組のうち、あの組は戦闘部隊ではなく諜報や伝令を行う部隊です。確かに集団での動きや武術の腕はそこまでですが体力や隠密、偵察などにはとても優れてますよ。」
「なるほど。そういうことでしたか。これは失礼しました。」
その後、私は練兵所の中に入り、小坂と別れまじかで兵を見る。ここで気がついたことは組によって個性がかなりあることだ。組によって兵科(重騎兵、軽騎兵、弓兵、盾兵など)が違うのはもちろん同じ兵科でも組によって個性がある。例えば自分達の専門のことしかやらない組や程度の基礎事項なら他の兵科のこともできる組、そもそも兵科という概念を持たずに訓練している組。礼儀正しい組(騎兵の組に多い)やガラの悪い組(盾兵や槍兵に多い)など様々だ。各組の特徴を踏まえて戦場では配置を進めないといけない。しかしこれはこれで面白い。普通の領主では同じような替えが聞く兵士をたくさん作るものだがこれは兵を大量に確保できる松島家ならではの軍隊だ。私は小坂に合流する。小坂に聞いた。
「このばらばらな組を把握できているものはいるのですか。」
「傭兵などを吸収して大きくなる前からある組について把握しているのですが、最近になって入ってきた傭兵達が主体となって作った組については把握できていません。」
「分かりました。ではどう言った組があるのか詳しく知りたいので農民軍との演習の後に私の軍と組ごとに演習することは可能でしょうか。」
「かまいませんよ。ただそれについては練兵所内で完結してもらうことになりますがいいですか。」
「もちろん。それでいいです。」
私は小坂とともに小坂の屋敷に戻る。驚いたことに小坂の屋敷の敷地の一角に私の兵の兵舎ができていた。私は慌てて小坂に礼を言うと笑いながら「かまいませんよ」というだけだった。
ふと読み返し一人称の乱れがあることに気がつきました。誤字脱字が多いのはわかっていましたが一人称を間違えるのはさすがにまずいですね。申し訳ないです。誤字脱字とともに気がつき次第修正していきます。不手際の多い作者の作品ですが今後も俺の戦記をよろしくお願いします