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俺の戦記  作者: かな河
102/131

102話 松島領にて(2)

 私は小坂に連れられて軍の実態を見て回る。何事も現場の意見や空気というものを知ることは大切だ。先に説明しておくと、松島家の軍制は3つの組に分けられている。一つ目は徴兵軍。名前の通りこの軍は領土に住む民を徴兵し、出来ている軍だ。松島家では全領民に2年の兵役の義務を負わせ、訓練をしている。もちろんその期間が過ぎ去っても有事の際は訓練済みの兵を戦場に駆り出すことはできる。二つ目は松島家直属の志願兵軍。これは常備軍で職業軍人によって構成される。かなりの練度を誇る軍で10万人を超す大きな部隊である。しかしもともとは5万人ほどの軍であったらしいがここ数年の情勢を見て小坂が傭兵を吸収したり一年に取る人数を増やしたりして拡大させたとのこと。次に三つ目は松島家の領内を委任統治している臣下が抱え込んでいる軍である。これは法律の上では有事の際は松島家の臣下が引き連れて松島家の軍と合流し指揮系統も一本化することになっている。しかしこの軍はどこの家の所属かでかなり練度に差が出ることや、命令系統は一本化されてもその軍の持ち主の権利がかなり保証されているためどのくらいまとまって戦えるかは怪しい。どちらかというと松島家の本軍が到着するまでの間に時間を稼ぐためにいると考えたほうが正解らしい。最後に四つ目の軍で近衛軍だ。これはほかの三つと違い小坂には一切の権限が与えられていない。この軍は松島家の当主直属の部隊でこれは前に出た志願兵軍の中から優秀なものを集め作った軍であるから国内最強の軍と呼ばれている。しかしこの軍が実際に出撃するのは国家の存続にかかわるときだけと決められているらしい。昨日話したときに小坂が言っていたことをまとめた。さて話は戻るが小坂は今回は農民軍と志願兵軍を見せてくれるらしい。そんなことを思い出しているうちに私と小坂を乗せた馬車は農民軍の練兵所に着いた。私は最初に農民軍と聞いたときに考えたのは首都で戦った元皇帝の農民のようにただ単に物量で敵を押しつぶしていくような軍を想像していた。しかし実際に練兵所で見る農民兵は少し練度の悪い軍といった感じであった。農民兵はひたすら槍を使い、集団戦闘訓練を行っていた。私の横にいる小坂が言った。

 「どうでしょうか。この軍は一年目が終わったころです。彼らはほとんどが農民であるためかなりの体力を持っているので二年の間ひたすら槍での集団戦闘法を叩き込んでいます。」

 この練度であれば何とか実際の戦場でもつかるのではないか。小坂に私は聞いた。

 「実際にとは言わないが演習などで実践形式の訓練を行ったことは在りますか。」

 「たまに志願兵軍を相手に演習を行っていますし年に一回、近衛兵以外の軍を集め大規模な演習なども行っているます。」

 「そうですか。今度見せていただけますか。」

 「もちろん。しかし全体の演習は時期が決まっているのでお見せすることはできませんが志願兵との戦いだったらかまいませんよ。」

 「重ねてお願いするようで悪いのですが農民軍を私に率いらせてもらうことは可能ですか」

 「ということは全軍での演習をするということですか。」

 「できればそのようにしていただけるとありがたいです。」

 「分かりました。土地などの確保もありますのでしばらく待ってもらわないといけませんが何とかしましょう。」

 小坂はそういって近くにいた従者にいくつかの指示を出した。さらに私たちはほかの農民軍の様子を見に行った。他の部隊を見ても練度と訓練時間がしっかり比例関係にあること以外特に面白いところはなかった。しっかりと練度と訓練時間が比例しているのは小坂が言うには長いこと松島家内でくみ上げた練習予定表としっかりとした訓練官の育成のためであるらしい。

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