1話 敗戦
「この戦は負けかな」
俺は一人でつぶやいた。
現在の状況を説明しよう。我が大清帝国は内戦状態にある。ことの発端は皇位継承の際に揉めたことを理由に統制派と呼ばれる革新的な一派が皇帝を廃止し、そして有力貴族による合議制にしようとしたことにある。 200年ほど前に起きた内乱を終わらせるために落ちぶれた名家を形だけの皇族にしたものだ。しかしそれでも200年も皇族をしていたわけで民間信仰では皇帝は現人神になり、その考えが一部の貴族にも及んでいた。その一部の貴族たちが反対した。彼らは皇道派と呼ばれるようになった。最初は皇道派は、小さいものだったが利権などの関係で少しずつ大きくなっていった。そのうち国全体を巻き込む論争にかわってた。この国の貴族は領地を持ち、その領地内では中央政府に税を収めれば好きに政治をおこなってよいため軍を持ってる人も多い。だから皇道派と統制派は最初のうちは小さいものだったけれど武力抗争に変わっていった。そして今日、最終決戦が行われた。そして統制派の勝利に終わった。領土の防衛上、皇道派についていた俺はこうして負けたのだ。
話を現在に戻そう。
俺は皇道派の主力軍が撤退し始めたのを確認するとバラバラになっている自分の兵に向かって
「あつまれ!」
とさけんだ。もともと100人しかいなかった兵が20人くらいになっていた。まあ激戦地ではなかったものの前線にたたされて最初から戦っていたわりにはいいほうだろう。しかしこの後戦場から抜け出すにはかなり厳しい。なぜならここらは俺のように少ない兵力で皇道派への忠誠心が薄いやつが回されている。だから後数分もすれば「皇道派のために全滅するなんてまっぴらごめんだ」と思っている俺のような奴らがいっきに逃げ始める。しかしそうやって逃げ切れるなら良いが多分追いつかれる。その時は抵抗なんてできないからやられたい放題にやられて全滅する。たとえ降伏したとしても結局は殺されるだろう。
「あれを使うしかないか」
俺はそういった