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ルルイエ浮上前の大正に転生しました、帰りたいです  作者: kaichi
第十二話:まといまとわれ
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Scene-09 せんぺんばんか

「ひょーほほほほ!」


 黒化千代松とカースティアズの分霊的なナニカが混沌合体した黒いナントカ――長い!

 とにかく、黒いのがコッチへ突っ込んでくる。


「――ニュート、アイツに呼び名ない?」

『ジャンルとしては混沌に取り込まれた(ルルイログ)人間かね。個体としては……ううむ? 本人が名乗っているのだし、ゴーマイン・バルゼルでいいのではないか』

「それはそれでちょっと――うわっち!?」


 エコーで笑う四つ目の黒い奴と空中で激突した。

 重さをまるで感じない移動してきた割りにブチ当たりは強く、プラトーで受けた手がジンと痺れる。

 こいつ意外と強い!

 僕を睨みつける縦二つの四つ目から、強い神話の気配を放つ――


「わはははは!!」


 ギリギリと鍔迫り合いしていると、真正面からエコーの掛かった笑い声を浴びせられた。

 真っ黒な口内がキしょい!

 顔は向かって右が千代松で、左がカースティアズか。それが真ん中でピッチリとくっついている。

 ただ――


「カースティアズにしては弱いよね」

『ふむ……井手上と同じくスペルバインダーかも知れん。千代松を強化改造したのか、カースティアズを復活させようとしてるのかは分からんが』

「コレの量産は勘弁して欲しいー!」

「ひょほー!!」


 ドゲシと蹴飛ばした――ら、足が反れる!?

 なんだ磁石か。

 オマケに体勢が戻せない。

 反射的にバックステップしようとして、()()()()()()


 不味っい!?

 あとス、スカートが……外道に見せるパンツはないぞ!!

 体勢が決定的に崩れかける寸前、シュカっと伸びてきたモーサンの尻尾が足を支えてくれる。

 ぞくぅ!!


「(だいじょぶですか!?)」

「ありがとー、助かったよ! でもちょっと……あうあう」


 足が……うう、変な部位に妙な癖がつきそう。

 でも何とか距離を取って貰えはした。

 その場に置いてかれた四つ目の黒いのは、大笑いの高笑い。

 おま、いま馬鹿にしやがりましたね!?


「ひゅーほほほ!! かはっ、ひゃははははは!」


 狂気を滲ませる。

 左右で別々だから表情が読み難いけど――左右どっちも逝ってるな。

 ただ微妙に狂気が甘いかも?

 特に千代松サイドには恐怖や羞恥が垣間見える。

 さっきもキチンと返事をしたし、人間的な部位が残っているんだろう。

 もう、どうにもならないけど――


「トドメを刺してやりたいけど、あと幾つ倒せば終わるんだか」

『複数の神話存在による《混沌》だからな。――しかし瑛音ならば倒し切れる、信じているとも!』

「がんばるー」


 ニュートの激励で気持ちをアゲる。

 再び四つ目の化身と真正面からぶつかり合った。プラトーの一撃は――通らない!

 さっきの蹴りの時もそうだったけど、ぐぐ……な、なんだこの反発力は。

 プラトーの刃が押し返される!?


「ひょほほほほ!」

「くっ……」

『厄介だな、こいつは何からの力場で身体を包んでいるのか』


 ニュートの言う通り、黒い化身は力場か念力みたいなモノでカタチを作ってるらしい。

 近づけば近づくほど強く反発される。

 ただ、攻撃が全く通らないワケでもないようだ。もっと力を加えれば刃が届くかも!


 そう思って一度体勢を入れ替え、返す刃で二撃目を打ち――損ねたー!

 駄目だ、反発に負けて刃が弾かれる。

 最後の一押しが足りない。――少なくとも、いまここでは!


「ひょーほほほ!」

「こ、この……」

『どうした、剣に力が入っていないようたぞ』

「足の置き場がないー」

『あー』


 地面ないから仕方がないんだけど、空はチャンバラに向かないー

 も、盲点だった。

 モーサンがバサリとツバサをはためかせ、このまま戦い続けていいんですよね――と、問いかけてくる。

 それはもちろん!


「な、なんとか頑張ってみる。――取り敢えず行く!」

「(あいあい)」

「ひょーほほほーっ!!」


 四つ目の化身は自由に動く。

 飛んでるというより、見えない階段の上でダンスでもしてるようだ。

 あっちは、あの反発力での飛行かな……


「ええい、妙に楽しそうで腹立つな」

「ひょほほほー!」


 四つ目の黒いのが、両手から黒い雷みたいなのを放ってきた。

 物理の電気ではなさそう!?

 神話マシマシの黒雷をプラトーとモーサンのツバサで弾き、受け流す!

 ただ……ぐぐ。

 やっぱり足がブラブラして、力が込めにくいー

 筋肉だけで何とか下半身を支えてるけど、これムチャクチャ体力喰うよ!?


「こ、腰が逝っちゃいそう……」

『ふぅむ……瑛音、モーサン、奴の上を取れるか? ――腰が入らない分は振り下ろしでカバーだ』

「りょー!」

「(こくこく)」


 ニュートの作戦通り、速度で優位にあるモーサンがまず奴の頭上を取った。

 そこから降下!

 ぶつかり合うように真上から一閃を叩き込み――よし、押し勝った。


 そのまま反発の上から神性をズバッと切り裂く。

 う、こいつ内臓とかなさそう。

 刃にゲル状の泥みたいのが纏わりつく――けれど、僕の一振りで払われた。

 刀身キラン。


 ふふん、そう簡単にプラトーを穢せるものか!

 だけど四つ目の黒いのも負けてはいない、再び黒雷による反撃が――ぐっ!?


「い、いたたた!?」


 投網みたいに細く広く展開した黒雷を頭から被る。

 プラトーとモーサンのツバサで弾くけど、少し食らった。

 いて、ててて!

 しかも空気が粘性を帯びたみたいにネットリとなって……か、身体が思うように動かせないっ!?


「こいつ反発の力場を自由に操れるの!?」

『くくっ……そのようだな! 瑛音、この電撃は長く浴びないほうがいい』


 フードの中でニュートの尻尾が膨らむ気配がする。

 不味いっ!?


「モーサン、離脱お願い!」

「(あいあい)」


 モーサンはヤンノカコラー、スッゾオラーみたいな顔しながらツバサをバサリとはためかせた。

 風渦がゴウと唸り、力場その物が千々に吹き飛ぶ。


 おお、凄いかも。

 どうやらモーサンは奴の力場自体すら羽ばたきの推進力に変えられるらしい。

 一気に距離を取ると、皆で上空側に退避。


「ニュート平気? だいじょぶ!?」

『尻尾が膨らんだ程度だ、問題ない。――瑛音も、足は大丈夫か?』

「ダメージはないけど、そろそろお腹と腰が痛くなってきた。体勢が悪いというか……空だと足の置き場がなーい!」

「(しっぽ使います?)」


 ニュートがマズル下をカキカキ翻訳。

 その後ろで、うにゅうる――と、尻尾が立ち上がった。

 びくっ!


『――だ、そうだが?』

「あ、あはは……あれはちょっと。でも気持ちは嬉しい、ありがとう!」


 はーいと答えたモーサンが身体をヒネり、今度は水平のマニューバに入る――って、落ちる落ちる!

 体勢が変わった直後は厳しい。

 足がブラブラしてやり難い……って、モーサンの尻尾が足に掠ったー!!

 ひー


『瑛音、モーサン、下から奴が追ってくるぞ』

「――なっ、なんの!」

「ひゅほーほほほほ――ぶもっ!?」


 バッチーン!!

 僕らを追って上昇してきた化身をスレスレまで引きつけ、纏ってる黒雷や力場ごと頭頂をプラトーで張り倒ーすっ!

 不可視の反発力がグニュッと歪み、奴の体へダメージが入った。

 エッジを立てるより効きそうだ。


 ついでに、その反動でバランスを取る。

 前に枢戸村でやった奴の応用だ。

 さらに力場越しに後頭部を思い切り踏ん付けて蹴飛ばし、反発を逆利用してジャンプする!!

 ジャンプす――


「――ひゃあ!」

『どうした、瑛音!?』

「足の裏から伝わる力場の感触がきしょいー」

『ええい……ほら、気を取り直せ』


 ニュートがフードから出て頭ポンからのナデナデ。ああ、癒される。

 それでも身体は伸ばしそこねた。

 上昇のタイミングがモーサンとズレて――なんの!


 どうにか足を引き込んで畳み、モーサンにも引っ張ってもらう。

 それで掴みかかってきた化身の手をすり抜けた。

 ――ええい、空中で戦うにはもっと一体化しないと駄目か。

 目指すは、猫と人とマントとの三位一体!


「モーサン、背中だけじゃなくて足とかも支えられないかな? ――ニュート、通訳よろ!」

『ううむ、聞いてはみるが……』


 一匹と一枚の相談が始まる。

 その間、自分はブラ下げられながら四つ目の黒い奴を相手に奮戦する。

 プラトーを振り回し、対《神性》防御も駆使。――いや、そんな大層なものではないですが!

 とにかく猫とマントの会話は邪魔させない。


「(提案)」

『――ふむふむ? 瑛音、モーサンから一つ提案があったが、なかなか微妙な案というか』

「だいしょぶー、細かいことは任せるって伝えて!」

「(任されましたー)」


 さーて、本格的な空中戦だ!

 ゲームの話だけど、幾つかエースの称号は持っているんだぜい――と、気持ちを新たにした瞬間だった。





「にぎゃぁぁーっ!!」


 モゾッと身悶え――からのぉー、悲鳴!!

 モーサンの一部がスカートの隙間から服の下に差し込まれー、るぅー!!

 ひはは、にひひ……にゃははははは!


『瑛音、何を笑ってるか!』

「モ、モーサンの一部が、腰からスカートの中に、中に――ってか、危っ!?」

「ひょほほほほ!」


 四つ目が黒雷をまとったままハグを仕掛けてきた。

 ぜ、全力回避……あぶっ!?

 体を捻り、派手にくるつと回転しつつ――モーサン上昇!

 慣性で置いてかれた足も何とか畳んで引き上げると、ガーターベルトがモーサンに置換され始めた。

 避けた時のアクロバテイックなポーズのまま、黒から白へと――

 さらにポップな効果音まで鳴り響く!


 あー、そういうえばモーサンにはスピーカーみたいな能力あったっけ……

 さらにタイツへの擬態も進む。

 濃い白へと変化!

 見ていたニュートが肩に前脚ちょこんのまま、首をくるん。


『魔法少女の変身バンク……?』

「男ですー!」

『瑛音の実際の性別は知ってるが。――なるほど、こう足を支えるか』


 モーサンがそうですーとゼスチャーしつつ、最後の仕上げとばかりスカートの中でガーターごとタイツを引っ張った。

 ベルトがパチーンと弾かれる。

 おしりー!!


「ぜー、ぜー、ぜー。――最後の何!? ニチアサだったら出禁になるよ! あと何でタイツが白く?」

「(ごにょごにょ)」

『位置調整で滑っただとさ。――色については、モーサンは基本的に単色だからだな。マントが白ならタイツも概ね白系となる。代わりにデザイン凝りましたー、だと』


 まあ、確かにいい感じだけど――あ、いや、単純に足の置き場があることの方がね!

 デザインについては……ああ、うん。


「(にこにこ)」

『華やかに仕上げました――だ、そーだぞ?』


 ええい、もう!

 いつの間にかスカートとか服も一部変わってるし、タイツはレースやステッチが華やかで確かに可愛い。

 フードにも妙に可愛い飾りが……じゃない、これモーサンの角か。

 あーうー……まあ、可愛いんだけどさ!!

 デザインがまるでウェディングドレス的というかですねー

 洋風の白無垢! 男なのに!!



 うう。取り敢えずモーサンをナデナデ。

 やったー、うれしーみたいなリアクションをされる。

 ありがとう……

 四つ目の黒いのもジーッとこっちを見て――見て? て?


『瑛音、やけに下半身を見られているな。――子供にしてはケツがデカイと言いたいのかね?』

「不自然に見えるほど大きくはない!!」

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