Intermission 東京ホテル
日比谷三角にある自室に戻ってきた頃には、既に夜になっていた。
双子は帰った後だ。
二人は包帯の取り替えに明日も来ると言いつつ、迎えの車に引っ張っていかれた。
あの二人なら絶対に来るだろう。
「ふう……」
そのままパジャマに着替える。
今日会ったあの人と二度と会う必要がありませんようにと、祈りながら。
人殺しは気が進まない――
珍しくヘソ天で寝ているニュートのご飯を用意して上げてから、テーブルに置いた紙袋を開けた。
ラヴォワールのマスターから差し入れてもらった僕のご飯だ。
中に入っていたのはトウモロコシ粉の焼きパンだ。
それを白い乳酸菌飲料で流し込む。こっちは令和にもある製品だけど、大正のは水で薄めないタイプ。味も少し違う。
これはこれで美味しいけどね。
ニュートも同じく、マスターから差し入れてもらった猫用ご飯だ。
この時代では残飯が普通らしいんだけど、猫に塩気の強い物は食べさせられないからとお願いして作ってもらった。
『瑛音、今回の件でイース本国から連絡が来ている。ゴクロウ=ゴザイマシタ――と』
「翻訳アプリは何を使ってるの……」
ニュートが肩をすくめた。猫の骨格でそれができるのは、おそらくニュートだけだ。
『明日からは『本』を運んだと思われる船を追おう。確か、カイロン商会が所有していた快速船アラート号だったかな。まずは横浜から当たる』
もくもくと猫飯を平らげたニュートが重々しく告げ、水を飲みに椅子から降りる。
僕は答えず、手の中でゴロっと乳酸飲料の瓶を回した。
褐色の瓶を包む包装紙は令和とは逆で、青地に白い斑点になっている。
『どうした?』
「労ってもらえて嬉しいんだけどさ……それよりイース人たちに言っといてよ。帰還なんとかしてって。もう一年以上も大正時代っぽい異世界に島流しだよ!」
『むう……』
「クトゥルフ、ハスター、クトゥグア、ツァトゥグァの頂点四柱も活発に動き始めてる。信者たちも半端ないんですけど! クトゥルフの信者って心臓握りつぶせるんだよ。魔力だけでさ! 矮小化した成れ果てにすらボロボロにされるのに、そんなのの相手を令和のフツーの人間にさせる気じゃないよね!?」
『にゃあ』
「うがー!!」
誤魔化そうとしたニュートをひっくり返すとお腹を吸う。くかくか!
ニュートが猫前足で顔芸を押し返した。
『伝えはしている! まあ、気長に待ってくれ』
「ちゃんとね! イース人はタイムトラベルと転生が普通の種族だから、説明しないと僕が困ってると思わ……目を反らすなー!」
以上、第一話的な
漫画なら読み切り一本分くらいをイメージ
オマケ
千駄ヶ谷御殿
お札燃やした成金の人が本当に持っていた屋敷の一つです
当人は史実でも破産していて、大正末期にはとっくに一文無し
昭和まで侘しく生きていたそう
日比谷三角
史実では建設途中で火災により焼失
現在だと日比谷マリンビル~東宝ツインタワービルくらいのところにあります
初代サクラ大戦の街マップ右下三角のあたり
主人公
綾瀬杜瑛音
「戸口にあらわれたもの」のアセナス・ウェイトのもじり
だから女にみえる男
イーフレイムはエフレイムの英語読み
大正時代
大戦不況から始まる氷河期の真っ最中
軍部は明治からずっと暴走状態
クトゥルフの呼び声に出てくるエインジェル教授はまだご存命(ルルイエ浮上前だから)
#2部ジョセフはまだ幼稚園、ポルコは既に豚、アシリパさんはアラサーくらい
日本とその周辺
台湾、サイパンのみ日本国内(上海は史実通り半分を日英米で共同統治、残りは仏)
歴史が違うので朝鮮~中国東北部はバルカン半島状態
チリ政府からトライバル級艦隊の代金にイースター島を割譲して貰った(史実では交渉決裂)
なので日本にはルルイエの横を通る長距離航路がある
そんなこんな
設定考えるの楽しいです




