心の反映
自分の姿を鏡に映した時、頬のあたりに
線が浮き出ているのを見つけました。
私は信じられないほどの恐怖で慄きました。
美しいと褒め称えられ、育て上げられた私の顔が
醜く歪んでいたのです。
それから私は毎日、顔を元に戻そうと無我夢中で
試みましたが、顔は一向に元通りにはならず
それどころか以前よりも頬の線が濃くなっていくのです。
顔の歪みは増すばかりです。
それからは鏡を見るのが恐ろしくて仕方ありませんでした。
私の顔は少しずつ、それでも確実に心を破壊しにきたのです。
私は老いが怖くて仕方がありません。
これ以上老いていく自分を見たくない。
我慢ならない、私の弱さでもあります。
そして今日死ぬことに決めました。
どうかお許しください。
1948年10月10日