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白いヘビ

作者: 松川正郎
掲載日:2021/08/10

桜が目立つ春。寒さが和らいで、虫や動物などの生き物が冬眠から覚めるころであろう。


晴れた日の空、広い庭の中で、キレイに整えられた芝生に、スコップで、庭の土を掘っている青年がいた。彼は掘った土の中を、顔を近づけてボーッとのぞいた。そこにはたくさんのミミズなどの虫がいた。彼は、毎年春になるとこの庭の土を掘ってボーッと眺めていた。


すると建物の方から、声が聞こえた。母親だ。


『与月、ご飯よ!』

『そこで何してるの!』

『またぁ〜!』

『土を掘らないでていったでしょ!』

『さっき近所から褒められたばっかりだったのに!』


と、そんなことを言っている母。

変なプライドがつきもので、いつも見た目を気にしていた。

与月は掘った土を、元の場所に戻してうめた。

もう夕方が過ぎる、今日も一日が終わる。明日は休みだ。




野田与月 17歳


与月は、裕福な家庭の中で、生まれた。

母は巨大企業で社長をしている。与月が5歳の頃に、母は夫と離婚をしている。今は息子と二人で、同居している。

後から知った話しだが、母はバツ3だと、親戚が集まった時に、そのことを知った。


それから与月は、幼い頃から毎日、勉強をさせられ、外に遊ぶことはなかった。

当時はなにより苦痛で、公園で遊んでいる同い年の子たちを見ると、気分が悪かった。

小学校にはいると、当たり前かのように成績は毎年よかった。また、友だちにも恵まれていた与月は、幼い頃に、できなかった遊びなどを知った。特にババ抜きが面白かった。

毎日、しない日もなかった、没頭していたのであろう。

だが与月は、心全部が、満たされていなかった。


何か足りない

何かほしい

何かつまらない


そんなことを感じながら、与月は問題なく、中学、高校までかわりなく、平凡な生活を、過ごしていたなか、ある日、学校から帰宅途中に、奇妙な白いひものようなものを見つけた。

近づいて見てみると。

まだ、太陽が明るいというのに、妖しく光るヘビじゃないか。


『キレイな白いヘビだ』


そんなことを口にしていたら、与月は、白いヘビに、ジワジワと、心の中から興味が湧いていた。

ふっと思い出したことがあった。


『そういえばどかで耳にしたな。町中を歩いてる時だったがそんな噂話を聞いた。たしか、二人のおばさんの話しを、きいたな。』


それは、一昨日のことだった。与月が学校帰り、その日は木曜日だった。木曜日は授業が早く終わるため、よく商店街に、寄ることが多かった。そんな中を、歩いている時に知った。


『ねぇ、こないだ、息子が変なことを、言い出したんだよ。』

『白いヘビを見つけたって、言うんですよ。』

『白いヘビです。あら、楽しそうに過ごしてらっしゃるんですねぇ。』

『ハッハッハッハァ〜。』


楽しそうに話す、おばさん二人組みが、自分の子を、ネタにして話しあっていた。



しばらく与月は、その場を、ボーっと立っていた。

あの白いヘビが、草むらに向かうところを、眺めていた。

なんも変哲もない、ただ真っ白のヘビを。

だが、彼には、珍しかった。

彼はそこで、単純なものに、出会ってしまったからだ。この世界は、灰色しか見えない、ただ不自然な色に、慣れていたからだ。

白は我々には、目にしない色だった。

なぜなら、空気が汚れているのも、あるが、なにせ、まわりには、派手な色しか、受け入れていなかった。

いや、派手な色が当たり前だった。食べ物は、ピンクや黄色など、車は明るい青、ビルは明るい緑色


与月は、白の美しさに、やられた。

今までに過ごした中で、一番キレイだった。

色には興味がなかったが、心を奪われてしまっていた。

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