白いヘビ
桜が目立つ春。寒さが和らいで、虫や動物などの生き物が冬眠から覚めるころであろう。
晴れた日の空、広い庭の中で、キレイに整えられた芝生に、スコップで、庭の土を掘っている青年がいた。彼は掘った土の中を、顔を近づけてボーッとのぞいた。そこにはたくさんのミミズなどの虫がいた。彼は、毎年春になるとこの庭の土を掘ってボーッと眺めていた。
すると建物の方から、声が聞こえた。母親だ。
『与月、ご飯よ!』
『そこで何してるの!』
『またぁ〜!』
『土を掘らないでていったでしょ!』
『さっき近所から褒められたばっかりだったのに!』
と、そんなことを言っている母。
変なプライドがつきもので、いつも見た目を気にしていた。
与月は掘った土を、元の場所に戻してうめた。
もう夕方が過ぎる、今日も一日が終わる。明日は休みだ。
野田与月 17歳
与月は、裕福な家庭の中で、生まれた。
母は巨大企業で社長をしている。与月が5歳の頃に、母は夫と離婚をしている。今は息子と二人で、同居している。
後から知った話しだが、母はバツ3だと、親戚が集まった時に、そのことを知った。
それから与月は、幼い頃から毎日、勉強をさせられ、外に遊ぶことはなかった。
当時はなにより苦痛で、公園で遊んでいる同い年の子たちを見ると、気分が悪かった。
小学校にはいると、当たり前かのように成績は毎年よかった。また、友だちにも恵まれていた与月は、幼い頃に、できなかった遊びなどを知った。特にババ抜きが面白かった。
毎日、しない日もなかった、没頭していたのであろう。
だが与月は、心全部が、満たされていなかった。
何か足りない
何かほしい
何かつまらない
そんなことを感じながら、与月は問題なく、中学、高校までかわりなく、平凡な生活を、過ごしていたなか、ある日、学校から帰宅途中に、奇妙な白いひものようなものを見つけた。
近づいて見てみると。
まだ、太陽が明るいというのに、妖しく光るヘビじゃないか。
『キレイな白いヘビだ』
そんなことを口にしていたら、与月は、白いヘビに、ジワジワと、心の中から興味が湧いていた。
ふっと思い出したことがあった。
『そういえばどかで耳にしたな。町中を歩いてる時だったがそんな噂話を聞いた。たしか、二人のおばさんの話しを、きいたな。』
それは、一昨日のことだった。与月が学校帰り、その日は木曜日だった。木曜日は授業が早く終わるため、よく商店街に、寄ることが多かった。そんな中を、歩いている時に知った。
『ねぇ、こないだ、息子が変なことを、言い出したんだよ。』
『白いヘビを見つけたって、言うんですよ。』
『白いヘビです。あら、楽しそうに過ごしてらっしゃるんですねぇ。』
『ハッハッハッハァ〜。』
楽しそうに話す、おばさん二人組みが、自分の子を、ネタにして話しあっていた。
しばらく与月は、その場を、ボーっと立っていた。
あの白いヘビが、草むらに向かうところを、眺めていた。
なんも変哲もない、ただ真っ白のヘビを。
だが、彼には、珍しかった。
彼はそこで、単純なものに、出会ってしまったからだ。この世界は、灰色しか見えない、ただ不自然な色に、慣れていたからだ。
白は我々には、目にしない色だった。
なぜなら、空気が汚れているのも、あるが、なにせ、まわりには、派手な色しか、受け入れていなかった。
いや、派手な色が当たり前だった。食べ物は、ピンクや黄色など、車は明るい青、ビルは明るい緑色
与月は、白の美しさに、やられた。
今までに過ごした中で、一番キレイだった。
色には興味がなかったが、心を奪われてしまっていた。




