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魔王様は楽しみたい

 俺は魔王だ。


 いきなり何を言っているかと思われるだろうが、魔王だ。

 あの剣と魔法のファンタジーに出てくる、お姫様を攫って勇者と戦う魔王だ。


 あれこれあって死んでしまった俺は、この異世界に魔王として生まれた。生まれた瞬間から魔王であった。それも俺のよく知るゲームの魔王だ。

 そのゲームは人気のRPGで、王道のストーリーにやり込み要素、魅力的なキャラクターといくらプレイしても飽きないものだった。そのゲームを開発している会社は、いろんな種類のゲームを出しているらしいが、俺はRPGしかしたことがない。


 ただのプレイヤーであった俺が魔王なんて、と初めは緊張もしたが、慣れとは怖いものでいつのまにかすっかり魔王でいることに違和感を感じなくなっていた。

 いつしか勇者と出会うのだろうかと、いろんな国の騎士たちを視察しにもいったが、妙なことにこの世界に勇者と呼ばれる者は存在しないらしい。

 魔物は全て魔王が生み出すという設定だからわかるが、勇者候補さえいないのは些か疑問だった俺は、ふと気づいた。


姫を攫うから物語が始まるのだから、攫うまで勇者は誕生しないのではないか?


 悪は急げ、俺は一番近くの城へ姫を攫いにいくことにした。

 けが人が出ない程度に天井に穴をあけ、その中でも一際美しいと思った女性を腕に抱く。なんか他にもきらきらした王子っぽいのと、可愛い系の女の子もいたが俺はこっちの方が好みだ。

 そういえば、前世では女を腕に抱くことなんてなかったな…と一瞬空しい記憶が戻ったが、そんなことを考えている暇はない。


「姫君はこの魔王がもらい受けた!」


 本家の魔王のように格好いいセリフが浮かばなかったため、それだけ言って城を後にする。

 こちらを見上げる王子が俺に待てと叫んでいたが、もちろん待つわけもない。おそらくあの王子が姫を助けにくる展開だろう。美男美女、お似合いだ。

腕の中の女性が何かをぶつぶつと呟いていた。助けを求めるのかと思えば、これなら追放か処刑がマシだとか、王子やハーレムとか、攫われた反応とは思えない単語をつぶやいている。

 それを聞いているうちに、俺はまた気づいた。気づいてしまった。


この世界、RPGじゃなくて乙女ゲーの世界だ、と。

 つまりなんだ、俺は間違った世界に転生してしまったらしい。これはバグというやつなのでは?そのうちアップデートで処理されてしまうのでは??


 どうしたもんかと思ったが、攫ってしまった手前返すのも格好がつかない。それに案外、ここから本当に勇者が誕生するかもしれないじゃないか。


 短絡的?前世で最も言われた言葉だ、ありがとう。

 いいじゃないか、人生楽しんだもん勝ちの精神でいこう。

 そして俺の章短くない???まぁいいか。



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