第81話 その冒険者、世界を変えた者。
「ポルッカさん、今晩食事いっしょにどうですか? もちろんヘンリエッタさんも!」
ヒイロにしては珍しく、ノックからの返事を待たずに扉を開け、挨拶も迷宮攻略の報告もすっ飛ばしてポルッカを食事に誘う。
『世界会議』のあとポルッカがヒイロへ相談し、協力の快諾を受けて速攻で略式結婚した、今や人妻であるヘンリエッタ嬢。
彼女も誘うということは、その食事会がヒイロの私的なものであるのは間違いない。
優秀な秘書であったヘンリエッタ嬢にこのタイミングで引退されるのは組織としては痛手ではあったが、冒険者ギルド総長の秘書兼妻というのもいかにも聞こえが悪い。
よって現状は専業主婦になってもらっている次第だ。
ポルッカ禿げろ、とはアーガス島冒険者ギルド古参たちの総意である。
もっとも口に出して言うのはそういう憎まれ口だが、貴族どころか王族の娘でも望めば得られる立場になってなお、ただの中年の頃から想いを寄せていたヘンリエッタを妻にしたことでポルッカの評価は実は上がっている。
内緒にしていたつもりなのはポルッカのみで、男女問わずバレバレであった事実は、仕事以外の脇が甘いポルッカらしいと言えるだろう。
当時から同僚に「ないわー」などと言われながらまんざらでもなさそうにしていたヘンリエッタ嬢は、現在女性陣の中で「男を見る目」の伝授を熱望されている。
ポルッカを狙う貴顕の方々には『天空城』が釘を刺しているので問題ないだろう。
このまま正妻だけで済まされる立場ではないのだが、その点については現在ポルッカもヘンリエッタも考えないようにしているらしい。
お互いが今の立場に慣れれば、受け入れられるようにもなるだろう。
それでもやっぱりMURIとなった場合、ヒイロは全面的に協力するつもりではある。
「えらいテンション高いな、ヒイロの旦那。藪から棒にどうした?」
そんなこんなで「家族つき合い」状態になっているポルッカも、ヒイロの常にないテンションに若干引いている。
「いや昨夜は運が良くて。21階層で希少魔物の「ラグ・ケルゥス」が狩れたんで一緒にどうかなって」
「そりゃ有り難い申し出だけどよ……」
興奮気味に報告するヒイロを見て、ポルッカは嘆息する。
信頼されているという実感を得るのは嬉しくもあるが、さすがにこれはどうかと思う。
現在21階層以上まで攻略できているのは当然ヒイロのみ。
そこで運よく希少魔物が狩れたのはまあいいとして、それが「美味しい」という情報をすでにヒイロが持っていることは、せめて隠してほしいものだと思わざるを得ない。
もはやヒイロは何でもありだとは思っているポルッカだし、その他の『世界連盟(仮称)』に関わる者たちもポルッカとそう変わるまい。
だが「絶対者」であるヒイロが持つある種の不気味さを、自ら吹聴してまわることは出来れば避けてもらいたい。
詳しいことを知らない者が多い、迷宮の現場などでは特に。
ヒイロに付き従うエヴァンジェリン、ベアトリクス、白姫の三人も呆れ顔を隠さないし、『千の獣を統べる黒』に至ってはすでにこの後のことを思ってか調子が悪そうだ。
未だ正式にカミングアウトはしていないが、ヒイロに近しいものはみなシュドナイも僕の一体であろうことは予測がついている。
大っぴらとまでは行かないまでも、『世界連盟(仮称)』の中核人物たちと話せるようになれば、さぞやポルッカとシュドナイは気が合うことだろう。
中身おっさんという意味ではヒイロも足して三人で呑めば盛り上がるかもしれない。
エレアやセヴァスも乱入してきそうではあるが。
ヒイロの発言に対してまあここにいる面子ならばいいか、とポルッカは思いなおす。
そういう情報を知ってもよい立場のものしか今この部屋にはいないことではあるし。
ポルッカ以外といえば、今日も今日とてヒイロの帰還をこの部屋で待っていた、幼女王スフィア、第一皇女ユオ、総統令嬢アンジェリーナの三美姫である。
彼女らはポルッカに対してけして偉そうにするわけではないが、つい最近まで一受付であったポルッカにしてみれば「大陸の三美姫」と同室でヒイロを待つのは少々息苦しい。
ヒイロが目当てである以上、要らん疑いをかけられることがないことが唯一の救いである。それでもたまにヘンリエッタに拗ねられるのでたまったものではないのだが。
ヒイロの前でのみ見せる「可愛らしい女の子」の顔とは違い、彼女らの本質は有能な為政者に近い。
ヒイロの発言から、それがどういう意味を持つのかなど、瞬時に理解しているだろう。
とはいえ『世界会議』に出席していた者たちにしてみれば今更の話ではある。
特にシーズ帝国の第一皇女様などは、ヒイロの真の姿をその「竜眼」で見てしまっているのだ。ヒイロが100階層を突破していると聞いても驚くまい。
「余も参加してよいのだろうな? こ、婚約者であるからには……」
「(仮)じゃろう、スフィア陛下。私たちが主殿から聞いておるのは『世界連盟(仮称)』の円滑な成立のために「婚約(仮)」が必要だということのみ。今日の晩餐がそのために必要とは思えんが?」
例によって大国ウィンダリオンの王を十全に務めていた者とも思えぬことを言いだし、対応担当である『真祖』に斬って捨てられているスフィアである。
スフィアたちをこの世界の貴顕として逢っていた公式歓迎会及び舞踏会では丁寧な態度を一切崩さなかったヒイロの僕たちだが、スフィアたちが女としてヒイロを狙うことが明確になってからはその態度を一変させている。
敵に遠慮する必要を認めていないのだろう。
一切の遠慮は感じられない。
ヒイロに関することでは『支配者の叡智』の力を借りることを自ら禁じているスフィアが、本気の『真祖』に敵うはずもない。
ある意味においてアドバンテージかもと思っていた己の歳、容姿についてもこれ見よがしに「幼女バージョン」をみせられてはどうしようもない。
すでに苦手意識を植え付けられているスフィアである。
「わ、私はお料理できますし、一応側室候補でもありますし、参加を表明します、ええ」
「料理の腕はエヴァンジェリン様の方が上だと判断できますし、側室候補というのも(仮)を前提としたものですので(仮)が取れない限り有効なものではないと判断できます」
こちらはポンコツ度が加速しているのではないかと、皇帝の父と皇太子の弟に心配されつつあるユオである。
こちらもすぱりと白姫に斬って捨てられてあうあうしている。
戦闘能力においても政治能力においても、素の状態では三美姫の中で群を抜いていると言ってもいいユオなのだが、事がヒイロに絡むと今のところ全くもってダメである。
自身で制御しきれない血統能力である『竜眼』が見せるヒイロのみならず、その僕たちの真の姿にさらされていてはさもありなんと思えるのは実の弟のみだろう。
「そんな立場など関係なく、愛しい方と一緒にいる時間を少しでも長く持ちたいというのはそんなにおかしなことですか? それとも私たちがヒイロ様の御側に仕えては、何かご都合の悪いことでもあるのでしょうか?」
「べつに、ないよ?」
三美姫vsヒイロの三美女の図式で最も戦力の高いアンジェリーナが、その清楚な空気に悲しみと毒を混ぜて言い放つが、『鳳凰』がそれに笑顔で答える。
いつもの首をこてんと傾げる、あざとい仕草つきである。
――くっ。
ベアトリクスと白姫はアンジェリーナの圧倒的な清楚さとそこに潜む色と艶に僅かにたじろぐのだが、エヴァンジェリンは一切動じない。
それこそ今まではどんな相手でも、男であれば手玉に取れてきた己の「呪い」だとまで思っていた色仕掛けが、エヴァンジェリンの前ではまるで通用しない。
ヒイロに通じないのではない。
多分一対一であれば、ある程度は通じる。
だがアンジェリーナがそういう誘いをかける時、かならずエヴァンジェリンがそれ以上の色と艶をヒイロに向け、本気で悔しいことにヒイロの意識は完全にエヴァンジェリンに持って行かれるのだ。
『清楚な娼婦』とまで言われたアンジェリーナが本気を出してなおである。
自分がそれを「悔しい」と思っていることが、アンジェリーナは少し嬉しい。
スフィアがベアトリクスを、ユオが白姫を苦手に思っているのとは違い、アンジェリーナはある意味エヴァンジェリンにひどく懐いていると言っても過言ではない。
公人としての本来のアンジェリーナは、先のような毒をわざわざ言葉にするほど愚かではない。あれはエヴァンジェリンに構ってほしくて言っているのだ。
ただ悔しいものは悔しいので、その美しい笑顔には圧が加わる。
それを受けるエヴァンジェリンも、昨今『天空城』勢内で「天然」は偽りでは? との疑いがもたれはじめている「わかっている笑顔」である。
「旦那……」
「うん……わかってる……わかってるから……」
ある意味いつも通りの女の戦いに、ポルッカが何とかしろよという意味でヒイロに声をかけ、疲れた声でヒイロが答える。
『千の獣を統べる黒』は最近いつもだが、すでに豪奢な毛布の上にパタリと倒れ伏している。
「エヴァ、ベア、白姫。要らん意地悪しない。慌ててポルッカさん先に誘っちゃったけど、みんな呼ぶのは『ラグ・ケルゥス』狩れた時に決めたでしょ」
「はあい」「うむ……」「事実を述べただけですが?」
ヒイロのかけた声に、三体の僕たちは矛を収める。
白姫だけがきょとんとしているが、これは『鳳凰』とは違って本物の「天然」だろう。
「おい、旦那。誘ってくれんなぁありがてえけど、みんな?」
だがヒイロの台詞に聞き捨てならないものを聞いて、ポルッカが突っ込む。
「みんな」
ヒイロの言うみんな。
つまり『天空城』に関わる者みんなということだ。
ここにいる者だけではなく、ヒイロがたまに一桁ナンバーズと呼んでいるエレアとセヴァス、『黒旗旅団』の凜団長とカイン副団長、『黒縄会』のシャ・ネル会長も来るのだろう。
ルシェルだけは万が一に備えて持ち場を離れないが、他の連中はどこにいてもヒイロの誘いとあれば惜しげもなく「転移魔法陣」を使って集まってくる。
もっとも本当の姿となれば、己の力で跳べる者ばかりなのだが。
序列第一位については、どうも分身体の方にはさほど興味がないようだ。
そんな時間があれば『黒の王』のメンテナンスに時間を割きたいものと見え、幾度かあった集まりにも参加していない。
いや参加したとしても「表示枠」のみになるのだが。
それに加えて昨今のヒイロが言う「みんな」には、アルフレッドやアンヌら『神殺し』パーティーや、拠点をアーガス島へ移した『黄金林檎』のヴォルフやサジたちも含まれる。
つまりは大所帯。
「どこで」
「ポルッカさんの新居」
その言葉にポルッカは頭を抱える。
いや、別に嫌というわけではないのだ。
また要らんやっかみを受けると思うとちょっと気が重いだけだ。
「…………断ったら不敬罪ってか?」
「僕は『世界連盟(仮称)』の議会が議長にどんな判断を下すかには関知しませんよ?」
軽く嫌味を言ったら、ヒイロに悪い笑顔で返される。
だがその言葉は事実なのだ。
ヒイロは基本的に『世界連盟(仮称)』の意思決定に自分が影響を与えることを嫌う。
自分自身や『天空城』に仇為すものであれば逆に『世界連盟(仮称)』の意志など無視して行動するが、とるに足りない対象に対しては判断を任せる。
そして正式に発令された依頼、もしくは任務に従って必要であれば己の力を行使する。
一部では甘いとも評されている、先の『道化十国』とヴェリス連盟五大都市『ズィー・カーク』の責任者たちに行った処置についても、ヒイロは何も言わない。
酒の席で訊けば、意見くらいは言うのかもしれないが。
そんな風にして、敵対者以外には極力善人であろうとしているらしいヒイロは、なぜかポルッカにだけは素を出す。
素というよりも、より偽悪的にしている節さえある。
――まあそれで旦那が愉しいってんなら、それでいいか。
「……嫁に連絡入れさせてくれ」
「嫁」
「ヘンリエッタ嬢だよ! うるっせえな!!!」
ヒイロとポルッカのバカなやり取りを、僕たちと三美姫が笑ってみている。
――いや、嫁呼ばわりをいいなーって顔してんのが自称僕の御嬢さんたちで、正室だの側室だのいってるお偉方が「みんな」に含まれてるだけで嬉しそうにしてるってのはどうなんだ?
ポルッカは賢者なので、口に出していいことと悪いことの区別はつく。
ゆえに沈黙を守って、嫁へ連絡を入れた。
みんなが集まり、幼女王や第一皇女、総統令嬢、いわば貴顕中の貴顕、美味しいものなど食べなれている三人をして「今まで食べた中で一番美味しい」と言わしめた「ラグ・ケルゥス」――ポルッカが思っていたよりも巨大な鹿の魔物――のシチューを中心とした料理も進んで、酒も入っている。
「ラグ・ケルゥス」を調理したのはエヴァンジェリンであり、その助手についたベアトリクスはともかく、ユオの料理に対する自信は粉砕されたようである。
自分が嘯いた「ヒイロの理想の女性」のハードルが如何に高いかを知って再び内心でうなだれる。
ポルッカの新居で、宴もたけなわである。
酔ったふうには見えない『鳳凰』が「ラグ・ケルゥス」の角を軽々ともって「ブレド様!」とかやっているが、受けているのは『天空城』勢だけで、それ以外はみなきょとんとしている。
いやユオだけが人知れず酒が醒めた貌をしているが、それには誰も気付いていない。
そんなエヴァンジェリンを見たヒイロが、自分の膝をばしばし叩いて受けているがそれでいいのか『秘匿級冒険者』にして『神殺し』
自身もいい具合に酒がまわり、つまみを造りにヘンリエッタも側を離れたポルッカが独り、その様子を見ている。
――その冒険者、世界を変えた者。
最初に『黄金林檎』が回したヒイロに対する『その冒険者、取り扱い注意』の文言にあわせるようにして、『世界連盟(仮称)』の中核人物たちの間で言われている言葉である。
今だけを切り取ってみれば、どう見てもそんな大それた存在には見えないヒイロの様子にポルッカは一人笑う。
だがヒイロが現れてからこの世界は大きく変わった。
それも間違いなくいい方向へと。
時間でいえば未だ冒険者ギルド支部、その受付中年でしかなかったポルッカが、自分を魔法使いだと言い張るえらく整った容姿を持つ少年の担当になってから、まだ半年も経過していない。
だがたったそれだけの期間で、世界はここ一世紀の積み重ねよりもその姿を変えている。
百年前と半年前よりも半年前と今を比べた方が、その変化は大きい。
そのあたりは代々の王の知恵と記憶を次代へと繋ぐ至宝『支配者の叡智』を持つスフィアに聞けば、ただの印象ではなくその通りだと答えるだろう。
アーガス島を天空より守護する『九柱天蓋』よりも高空に、遙かに巨大な『天空城』が浮遊している。
ラ・ナ大陸は事実上統一され、『世界連盟(仮称)』のもとに大陸中の国々が基本同じ方向を見て動いている。
そもそもここアーガス島が世界の中心と見做されるようになり、そこへ冒険者ギルドの本部が移され、各国の大使館が立ち並ぶようになるなど、漁村しかなかったアーガス島を知る者にしてみれば御伽噺でしかない。
何よりもすべての迷宮、魔物領域が『連鎖逸失』から解放され、そこから得ることのできるあらゆるものを原動力としてヒトの世が豊かになっていっている今の状況。
これこそ、ヒイロがふらりと冒険者ギルドに現れなければ実現しなかったのは間違いない。
誰もが共通認識としてみる世界、人々が生きる舞台としての世界――それを変えた者がヒイロであることは確かだ。
――だけどよ。
ポルッカは思う。
その世界の中で日々を懸命に生きる一人のヒトにとって、「世界」とは「自分」と同義でもある。認識がどうのこうのと難しいことはポルッカにはわからないが、少なくとも死ねば自分にとっての世界は終わる。
そういう意味での、一人一人がもつ「世界」
ヒイロが変えたものは、世界の在り方だとか規律だとか、そういうものだけじゃない。
ヒイロは間違いなく、ポルッカという一人の人間を大きく変えた。
それはある意味ヒイロの一番側にいる「この世界のヒト」として、ポルッカが一番実感を得やすいだろう。
それはそうだ。
冒険者ギルド支部の熟練受付中年でしかなかったポルッカの出世記録、成り上がり譚は後世にまで語り継がれるほどのもの。
もともと有能だったとはいえ一ギルド職員が、あっという間に領主や貴族にとどまらず、世界を左右する意思決定機関の議長にまで上り詰めたのだからさもありなん。
だが立場が変われば、ヒトは中身も変化する。
冒険者ギルドの「執行役員」としてみせた、アルビオン教の神域調査隊に対する対応。
アーガス島独立勢の旗印として、ウィンダリオン中央王国の幼女王と行った交渉会議。
そして『世界会議』においてヒイロたち『天空城』の力を、ヒトの意志――冒険者ギルドの総長としての判断で行使し、世界に仇為すものを皆殺しにする苛烈さと、その結果に対する覚悟。
そんなものは、アーガス島冒険者ギルド支部の受付中年をやっていたポルッカ・カペーの中には一欠片もなかったものだ。
その種子はあったのかもしれないが、たった数ヶ月で花開くものでもないだろう。
立場がヒトを変える。
世界が変わったから、自分の中の世界――要は自分も変わった。
それは今、ポルッカだけではなくラ・ナ大陸中のヒトが多かれ少なかれ実感している事だろう。
今ポルッカの目の前で連敗記録を更新している、大陸の三美姫。
幼女王スフィア・ラ・ウィンダリオン、第一皇女ユオ・グラン・シーズ、総統令嬢アンジェリーナ・ヴォルツの三人は、ポルッカに次いでその実感が強いかもしれない。
もっともポルッカとは逆で、ほとんど公的な自分しかいなかったものが、ヒイロに出逢って普通の女の子としての自分が生まれたというパターンだが。
これらはヒイロという絶対者の力を借りて、運よく為し得たことだ。
そこに異論はないし、自分たちの力で世界を変えたと嘯くつもりなどハナからありはしない。
じゃあ逆は?
自分が――自分たちの中の世界をみんなが変えれば、現実の世界を変えることもできるのではないかと思ってしまうのだ。
ヒイロの持つ巨大な力が世界を変え、それが細分化されてヒトは変わった。
だったらヒトが変わる力を束ねて、世界を変える。
それをヒイロに見せられる日が来ればいいなあ、などとポルッカは思っているのだ。
口が裂けても言葉にはしないが。
だがそれこそが。
無謬と思われたヒイロの瑕疵を、今度はこの世界のヒトが補うことになる。
今ここにいる三美姫や、己の愚かさに打ちのめされ、それでも再起した幼い聖女。
ヒイロに関わって己の世界を変えた者たちが、力に呑まれようとする者たちを救い上げる奇蹟を起こす。
数年のうちに『天使襲来』は、ヒイロの想定とは違う形でこの世界を襲うことになる。





