犯罪組織は犯罪組織なんだから良いことなんてするわけない
今回も極端に短いです。すいません。
その日の夜、早速問題が発生した。
ハノダから連絡を受けて、二階の事務所に移動する。
トンナがソファーに踏ん反り返り、俺はその上で踏ん反り返る。
ヒャクヤとアヌヤが肘掛けに腰掛け、オルラが俺の後ろに立つ。
ロデムスは俺の膝の上だ。
何か親亀の上に子亀が乗ってって感じだ。
ハノダが、跪くカナデと俺達の間に立って、カナデに詳細を直接報告するよう命じる。
「実は…」
と、カナデが話し出した内容はこうだ。
別の犯罪組織との麻薬取引が二時間後にあるとのことだ。
その組織とは長年の付き合いがあり、麻薬を売るのがエダケエ側で、麻薬を買うのが、その組織、セディナラという組織とのことだ。
ここで問題になったのが、麻薬の供給量が足りないとのことだった。
麻薬の仕入れ方法は、警察の幹部貴族をパイプに、王国が麻酔用に栽培していた原料を横流しして貰っていたそうなのだが、それが、今回の対帝国の勅命でストップしたらしい。
カナデは、急遽、別の仕入れ先を探していたが、その途中で俺に拉致されてしまったため、麻薬の量が事前折衝時の量に達していないとのことだった。
「手付に三千万ダラネを受け取っておりますので、違約金に六千万ダラネを渡さねばなりません。」
まあ、別に金を払うのは良いけど。
俺は分体を王宮で作製する。
ハルディレン王国宮廷魔術師団鳳瑞隊執務室だ。
俺の姿を認めた鳳瑞隊の全員が、椅子から下りて、床に平伏す。
「リノデリア、セディナラとかいう組織のことが知りたい。」
リノデリアが、更に深く頭を下げる。
「セディナラは、中規模の犯罪組織でございますが、私共の管理下にはございません。結成された時期は不確かにございますが、少なくとも五十年以上続く、ホノルダ群統括中央府の老舗でございます。構成員は百四十三人で、ホノルダ群統括中央府と周辺の宿場町だけで活動しておりますれば、あまりお気にお留になさりますような組織ではないと考えます。」
「ふむ、じゃあ、潰しても影響はないか?」
「はい。一向に構いません。」
俺は「よし。」と頷き「邪魔したな。」と言い残して、その場から分体を消す。
ハノダの方に視線を移して、俺は「吸収しよう。」と告げる。
「御意。」
ハノダは当たり前のように返事をするが、カナデは顔を上げて「はっ?」と驚いている。
「うん。俺達が、取引現場に出向くから、そのまま吸収するか、壊滅しちゃおう。」
カナデにそう言ってやるが、カナデは今一ピンとこないようだ。
「いいから、その場所に俺達も連れて行け。」
俺の強い言葉に慌てて頭を下げて「しょ、承知いたしました。」とカナデが答えた。
という訳で、本日のアヌヤ&ヒャクヤVSトンナの寝心地対決は延期だ。




