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トガリ  作者: 吉四六
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勝負が斜め上方向に向かっているような気がするのは俺だけ?

すいません。この話だけ、極端に短かったです。私も吃驚です。

 朝を迎えて、やっぱり揉めた。

 揉めたと言うより、俺が吊し上げられた。

「なんなんよ!あの時の啖呵は一体何なんよ!!」

「そうなの!ブランコいい加減チビなの!」

「ホントにねぇ。良い男になりそうなのに、やっぱり一〇歳の子供だね。」

「主人よ、これはあまりに情けないのう。」

 アヌヤとヒャクヤに正座を命じられ、オルラとロデムスは、朝食を食べながら、横目で俺を見詰めている。

 トンナは嬉しそう、というか、満足そうな顔で「うふふ。」と笑ってる。

 アヌヤとヒャクヤは俺の目の前で椅子に踏ん反り返って、鬼の首を取ったような言い草だ。

「なああああにが、俺は誰とも同室にならない。一人で寝るんよ!!」

 アヌヤが昨日の俺の台詞をマネする。

「そうなの!命令って言ったの!!」

 命令したよ?何が悪いの?

「命令したくせにっ!その日の内に、自分からトンナ姉さんの部屋で寝るなんて信じられないの!」

 俺だって信じられないよ。

 アヌヤが床をドンッ!と踏み鳴らす。完全に目が座ってる。

「これは、あたしらに対する宣戦布告なんよ…」

 アヌヤの目が本気だ。

「いや、だから、トンナの上での寝心地に慣れちゃったから、それで仕方なくで…」

 トンナが立ち上がる。

「ええっ!仕方なくなの?!」

「いや!言葉が悪かった!もうトンナの上じゃないと眠れないみたいな感じで、トンナの上での寝心地が良すぎて、どうしてもトンナの上で眠りたくなっちゃうんだよ。」

 またもやアヌヤが床を踏み鳴らす。

「本当にトンナ姉さんの上が、最高に寝心地が良いんか勝負なんよ。」

 また、訳のわからないことを言い出しやがった。

 アヌヤとヒャクヤがトンナを睨みつける。

 トンナは余裕の表情で「ふふん。」と笑う。

「じゃりン子助平、今夜はウチらの部屋で寝るの。」

 そんな怖い顔で迫って来るなよ。

「えっ?でも…」

 アヌヤが魔獣モードで俺の顔を両手で挟み込む。

「これはトンナ姉さんとの勝負なんよ。」

「はい。」

 俺に選択肢は無いのか。

「トガリ、寝心地が悪かったら、いつでもあたしの部屋に来て良いからね?」

 ナッシ~ング。無いようだ。

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