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トガリ  作者: 吉四六
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連なる星々と光を齎す者

 晩餐会が催される部屋の前では、ローデルとその妻が待っていた。

 俺の姿を認め、程良い距離を測って、俺達に対して、二人揃って頭を下げる。

「お待ちいたしておりましたトガリ殿。」

「えっ?俺?」

 オルラじゃなくて俺なの?代表はオルラでしょ?

「勿論でございます。今宵の主賓は誰あろうトガリ殿でございます。」

「いや、でも私はまだ子供ですから。」

 ローデルは「ふふ。」と笑ってスルーした。

「私の妻、アリミア・セロ・スーラでございます。」

 ローデルは、そのまま隣の女性を俺に紹介する。

 女性は、スカートを摘まんで、正式なお辞儀をする。清楚な奥様って感じだ。長い金髪を複雑にアップに纏め、薄いブルーのイブニングドレスを着ている。

「初めまして、本日はヘルザース閣下と共に、我が夫を救って頂きふ感謝の言葉も見つかりません。今宵はご存分にお楽しみ頂ければと思っております。」

 むーん。苦手な世界だ。

「こちらこそ、今宵は多大なる歓待、痛み入ります。」

 何かこんな感じで良いのだろうか?

『いいだろ別に。』

『そうだ。所詮ヤート族なんだ。マナーとか知らなくて当然だ!』

 タナハラは乱暴だなぁ。

 広い部屋だった。

 パーティー会場として、普段から使っているのだろう。

 大きなシャンデリアが三基も吊るされ、壁には数多(あまた)のブラケットライト、テーブル上にも燭台が置かれ、室内を明るく演出している。

 その明かりに照らされる色とりどりの天井画は、余すところなく細密に描かれ、荘厳な雰囲気を醸し出していた。

 壁には精巧な装飾が施された金唐革が貼られ、重厚な柱と梁が部屋を支えている。

 広い空間を維持するために、アーチ状に組まれた構造材は、その組方だけで優美さを表していた。

 晩餐会のテーブル配置は、見慣れた披露宴会場みたいだった。

 部屋の奥に長いテーブルが一脚。

 メインテーブルだな。

 そのテーブルの片側、部屋の奥側が上座で、そこに椅子が四脚並んでいる。

 ふむ。

 あの席はヘルザースとローデル、その妻に跡取りか。

 そのメインテーブルから直角に、三脚の長テーブルが並び、その長テーブルの向かい合わせに椅子が五脚ずつ並べられている。

 披露宴のような配置だな。と、いうことは、メインテーブルに近い所が上座だから、出入口に近い、こっちのテーブルが下座だな。

 一番下座に当たるテーブルに着こうとすると、ローデルが、俺達をメインの長テーブルに案内する。

 ええ?こういう案内ってメイドとかがするんじゃないの?主人がするの?

『客を案内するのは主人の役目だよ?』

 おお、流石はイチイハラ、その手の知識もあるのか。

 いや、でも待て。

 いやいや。この席は、この邸の主と領主の席でしょう?

 俺は必死に固辞するが、聞き入れてもらえず、そのまま座らされることになる。

 しかし椅子は四脚しかないと思っていたが、中央の椅子に促されてよくわかった。

 中央の椅子だけ座面が大きい。

 トンナ専用の椅子だ。

 トンナは何の躊躇いもなく、俺の両脇を抱えて、その椅子に座り、俺を膝上に乗せる。

 な~んだ。

 俺がトンナの膝の上にのるのって、この世界じゃ当たり前のことなんだ。

 …

 ノリツッコミする気にもなれねぇよ。

 車椅子に乗ったヘルザースがローデルの案内で現れる。

 俺の目の前のテーブルを挟むように別れて、対面してテーブルに着く。

 俺の真正面、目の前だ。

 ちょっと居心地が悪いんですけど?あの、席、変えてもらってイイですか?

 ヘルザースとローデルの隣には、用人らしき男達が座る。

 その内の一人には見覚えがあった。ヘルザースの城で激高していた用人だ。

 俺がローデルの所に向かうとわかっていて追いかけて来たのか?

『出兵の件もあるからな、兵を連れて来たんだろう。』

 成程、と、いうことはヘルザースの用人じゃなくって息子か?

 え?でも、ヘルザースの夢を弄った時に見た息子と顔が違うぞ?

『あの時の息子は嫡子で、今ここにいるのは二番目か三番目だろう。』

 え?そうなの?

『仮にも戦争に行くんだ。嫡子をそんな危ない目に遭わせるわけにはいかんだろう。』

 おお、なるほど。

 息子と言えばローデルの家族は?

 そう思っていると、ローデルの後ろのテーブルに、ローデルの妻を始めとした、家族らしき人々が座る。

 ヘルザースの後ろのテーブルには、やはり用人らしき人々が座る。

 俺にあてがわれた部屋に来ていた武官や文官、魔法使いもいる。

 う~ん晩餐会のメンバーってこれで良いのか?

 用人はあくまでも使用人?のスタンスだろ?一緒に食事をとるのがスタンダードなのか?

 全員が席に付いたことを確認したローデルが、立ち上がって全員の顔を見回し、言葉を発する。

「今宵新たな出会いがあり、このヘルザース・フォン・ローエル伯爵領を襲っていた未曽有の危機が回避された。本日は、そのことを祝う晩餐であり、新たな絆を確固足るものとするためである。」

 ローデルがこちらを見る。

「トガリ殿を始め、ズヌーク・デロ・セヌーク男爵閣下のお使者の方々、お立ち頂きたい。」

 言われるままに俺達は立ち上がる。

 うん、トンナの膝から下りて床に立つと、鼻から下はテーブルの下だ。

「おっと、トガリ殿はお顔が隠れてしまいますな。」

 ローデルの言葉に、トンナが俺の両脇を持って抱き上げる。

 うふふ、ぶら下がってます。

 トンナに捕まった小動物みたいになってる。

「トガリ殿。只今よりこの場に居る者のご紹介をしたいと思いますがよろしいでしょうか?」

 ローデル、凄いな、こんな状態の俺に向かって真面目に敬語で話しできるなんて。

「ええ、それは勿論、私の方がお願いしたいと持っておりました。」

 俺の言葉にローデルが頷き「では、」と言葉を続ける。

 ヘルザースの隣から、ヘルザースの二番目の息子、ヘルザースの武家方筆頭用人、同じくヘルザースの第一軍団軍団長、そして、ヘルザースの近衛騎士団団長が紹介される。

 勅命に備えた第一陣とのことで、行方不明だったヘルザースの名代として、息子が出兵するとのことだった。

 明日にはズヌークの軍も出征するから、タイミング的には今日となったんだろう。

 ヘルザース不在となったのに、一日でここまで準備しているとは、日頃の錬磨の成果が窺える。

 息子を始め、各用人は、紹介される度に俺に礼を述べていた。

 それはローデルの家族、用人も同じで、口々に俺を称賛し、感謝の言葉を並べ立てる。

 もうワザとらしいくらいにだ。

 一通りの紹介が終わったので、こちらの番だ。

「トガリ殿。お手数ですが、この場に居る者に皆様のご紹介をお願いいただけますでしょうか。」

 俺はトンナに抱かれたまま、ってか、なんか穴から引っ張り出された小動物みたいになってるんですが。

 とにかく、全員を紹介する。

 俺の紹介に合わせて、それぞれが自分の名前を名乗るが、ヒャクヤだけが「ギンテンと呼ばれております。」と少し変則的な名乗りとなった。

「ありがとうございました。それではご着席をお願いいたします。」

 俺達が着席するのを見計らって、ローデルが言葉を続ける。

「こちらの五人のお使者の方々の働きによって、ヘルザース・フォン・ローエル伯爵領に現れた悪魔が退けられ、ヘルザース・フォン・ローエル伯爵が救われました。また、トガリ殿の魔法のお陰で、ヘルザース・フォン・ローエル伯爵の両手、両足が復元されたのです。」

 ヘルザースが薄ら笑いを浮かべながらも、満足気に頷いている。

 んんん?何か嫌に和やかな雰囲気だぞ?ヘルザースは、気付いたんじゃないのか?あの悪魔も何もかんも俺の所為だって。

『案外、気付かれてないのか?』

 ヘルザースが口を開く。

「某如きが新王国の建国などと、今から思えば片腹痛い慢心であった。このまま決起しておれば、我が身だけでなく、領民にも多大なる犠牲を払っていただろう。」

 ヘルザースが俺の方を見る。口元が笑っている。

 何かゾッとする。

「セヌカの召喚せし悪魔は、我が蛮勇を諫め、その罪を我が身に刻んだ。領民にとっては、あの悪魔は救い主となったわけだ。」

 あかん。

 やっぱり気付かれてる。バレバレだ。

 なのに、なんだ?この和やかなゆっるぅぅい感じ。

「皆に問いたい!」

 おおっ、吃驚した。いきなり声のボリューム上げるなよ。

 ヘルザースが皆の顔を見回す。

「真に力ある者とは!どのような者を指すのか!!」

 全員が静かにヘルザースを見詰める。

「私は、この力をもって、多少の犠牲を覚悟しながら、新王国建国を目論んだ。しかし、真に力ある者は多少とは言え、その犠牲を覚悟するのか?慰撫すべき領民に犠牲を強いるのか?救うべき領民に死を覚悟させるのか?」

 ヘルザースが俺の方を見る。

「決してそうではない。」

 打って変わって静かな口調に静かな眼差し。

「トガリ殿の戦い方を知る者なら、犠牲を払うことなく全てが手に入る。その事実を知ることが出来る。」

 …

 …え?

 全員が俺に視線を向ける。

 ヘルザースの目の前、ローデルが杯を掲げる。自然と、その場に居る人間が次々と杯を掲げる。

「トガリ殿に!」

 ヘルザース!トガリ殿にって何だよ!その後にはどんな言葉が続くんだ?おい!

 全員が俺の名前を唱和して、杯の中身を飲み干す。

 ヘルザースの隣に控えていたメイドが、ヘルザースの口に杯を傾けている。

「さあ、それでは頂こうではないか。今宵は我らの絆を更に強固にするためのもの。飲み、食べ、光り輝く未来へと備えようではないか。」

 全員が「応!」と応える。

 全員が座って、再び、トンナの膝上に座る。

 …ちょっと待って。

 決起集会か?何だ?(おごそ)かな晩餐会じゃなかったのか?

「トガリ殿。」

 何だい?ヘルザース君?

「先にも申しましたが、この老骨、まだまだ、お役に立てることがございますぞ?」

 何の役に立つんだい?現状では、お前は魔獣の餌ぐらいにしかならないよ?

「トガリ様、私も王国唯一のドラゴンスレイヤー、トガリ様には兵など不要でしょうが、私もお役に立てるものと確信しております。」

 ローデル?何か変な物食べた?幻覚の見える茸とか食べた?殿から様に変わっちゃってるよ?

「ローデル閣下、トガリを‘トガリ様’って呼ぶんじゃないよ。」

 おお?トンナが強いぞ!ハッタリと勢いだけだが、トンナ、相変わらず…

 トンナがグイグイと酒を飲んでいた。

 完全に目が座ってる。

「ほう、トンナ殿、トガリ殿は様付けされることがお嫌いですかな?」

 トンナが左手に持った杯をテーブルに打ち付ける。

 テーブル上の食器が音を立てて揺れる。

「いいかい?トガリは神様だ!」

 …

『…』

『…』

『…』

『…』

 おいぃぃぃぃぃっ!

 何を勢いよく言い切ってんだ?!

 トンナ!トンナ!トガリ教の布教活動はするな!

「あんたら如きが、トガリの名前を呼ぶこと自体が恐れ多いよ!」

 お~い?下僕長トンナさ~ん。下僕長としての仕事をするんじゃない!

 それまでの喧騒から、水を打ったような静けさに包まれる。(まさ)しくシーンだ。

 やばいよ。空気読もうよトンナ。いや無理か、酔っ払いだもんね。

 ところが「確かに。」とか「うむ。言われてみれば。」とか「では、どのようにお呼びすればよい?」とか、そこはかとなく聞こえてくる。何それ?

「ふむ。トンナ殿の仰ること(はなは)(もっと)もである。私はトガリ殿のことを今後‘光を(もたら)す者’とお呼びしたいと考えるが、皆は如何か?」

 おい。

 ヘルザース?何言ってる?

「おお、それは良い。‘光を齎す者’正にその通り。我らの希望、‘光を齎す者’に感謝を!」

 おい。

 ローデル?信者になるのか?

「此処に居る者に問う。‘光を齎す者’に誓うべきは何か?」

 この席に居る者が一斉に唱和する。

「我が命をもって(あがな)われる忠誠を!」

 おい。ローデル。良いのか?お前の家族まで叫んでるぞ?一家揃ってインチキ宗教に入信か?

 やばい。ヤバいぞ!

 オルラをチラリと見る。

 グビグビ行ってるよ!駄目だ!にこやかにグビグビ行ってる!!

 ヒャクヤとアヌヤは?!

 駄目だ!同じように「オー!」とか言ってる!諸手を挙げて「オー!」とか言ってる!

 敵だ!敵しかいない!

『妙だな。』

 妙じゃないよ!奇妙だよ!珍妙だよ!珍奇、奇態、奇矯、奇体、奇怪、奇っ怪、奇怪千万、怪奇、変奇、奇異、奇奇怪怪、異様で異常!不思議に妙ちきりんで、突飛で、へんてこ!妖しげ、異常、不可思議、面妖!怪異か?怪しげ!異様、けったい、変、怪しい、怪態、変ちき、狂逸、滑稽だよ!

『お前の語彙が凄いのはわかった。わかったから落ち着け。』

 どこをどうやったら落ち着けるんだよ?!

『いいから、落ち着け。奴らの脳を確認してみろ。』

 …

『…』

『…』

『…』

『…』

 このマイクロマシンって…

『コルナだな。』

『ああ、あのフクロウっ娘?』

『おお!あいつか!』

『あの娘かぁ。』

 俺は立ち上がって「トイレ。」とだけ言って、この部屋を出る。

 居場所はわかってる。隣の部屋だ。

 ノックすることもなく、その部屋に飛び込む。

「来たか。胸糞の悪くなるチビが。」

 コルナは出会った時と同じ服でベランダに佇んでいた。

 月光を背負うコルナには言いしれない迫力があった。

「どういうつもりだ?」

 ほつれた茶色い髪が微風にたなびく。

 フレームレスの大きな丸眼鏡のブリッジを中指で押し上げ、大きくも鋭い目を俺に向ける。

「致し方あるまい。私は帝国を裏切ることは出来ん。火種を絶やすことは出来んのだ。」

 幼い顔立ちには似合わない、その言葉遣いは密偵頭としてのものだ。

「トンナ様は胸糞の悪くなる貴様を大事な人だと言った。胸糞の悪くなる貴様は謀反を押さえたいと考えている。その考えは麗しきトンナ様のお考えでもある。不本意ながら胸糞悪い貴様の考えに沿って、やるしかあるまい。」

 こいつも俺のことをディスるのか。しかも真顔でディスるとか、結構来るんですが。

 コルナが顔を上げる。俺の顔を通り過ぎ、振り返って月を望む。

「新たな勢力の誕生。長年に渡り、築いてきた反乱勢力は、その新興勢力に呑み込まれ、拡大している。」

 俺はコルナの後姿を見詰めて、静かに言葉を紡ぐ。

「それが、お前達が、ヒラギ族が生き残るためのシナリオだと?」

 月を見ながらコルナが頷く。

「胸糞悪い貴様を神輿に担がねばならぬとは苦渋の極みだが、致し方あるまい。貴様は間違いなく力ある者だ。」

 コルナが俺を見る。

「力ある者として、その責任を果たせ。貴様がその責任を放棄すれば、ヒラギ族は滅亡する。」

 俺は拳を握りこむ。

『道理だな。致し方なしだ。』

「コルナ。」

 俺はコルナを睨みつける。

「なんだ?」

「これ以上の洗脳は不要だ。」

「承知した。」

 俺は振り返り、この部屋を出る。俺の殺気が、残照のように部屋を漂う。

 後には、月光のように顔を蒼褪めさせたコルナだけが残った。

 ヘルザース達の狂気の原因はわかった。

 だからと言って、現状を覆す策はない。

 この現状を引っ繰り返せば、コルナのヒラギ族は仕事に失敗したとして、罰せられる。

 娘諸共だ。

 コルナも命を狙われるか、帝国に帰参することが出来なくなる。

『コルナ諸共、密偵を殲滅するか、そう帝国に思わせるか。』

 駄目だ。どうやっても、次の密偵が送り込まれる。

『そうだな。コルナのヒラギ族を丸々助ける策が必要だ。』

『ちょっと難しいねぇ。』

『帝国をブッ飛ばしに行くか?』

『じゃあ。このまま神輿として担がれても良いじゃない?』

 そうだ。帝国と事を構えるのなら、このままでも問題はない。

『現状としては不利になったり、窮地に追い込まれた訳ではない。維持して問題ないだろう。』

 そうだな。仕方ない。

 俺は元の部屋に戻るまでに諦めた。

「我々は‘連なる星々’で如何ですかな?」「いやいや。‘零れる光’と言うのもよろしいかと?」「うむ。‘光を齎す者’の側近であらせられる、魔狩りの方々を星に例えては如何?」

「おお。それは良い!オルラ殿は‘光を齎す者’の伯母上様、差し詰め‘太陽’のオルラ殿か?」「いや、太陽の称号は‘光を齎す者’の母上様に残すべきかと。」「ならば、オルラ殿にはシリウスの称号では如何か?」「おお!それは良い。‘シリウスのオルラ’語呂も良いではないか。」「では我々は今後‘連なる星々’と名乗りましょうぞ!」

 話進んでるー。

 オルラがシリウス。

 トンナがカノープス。

 ヒャクヤがリギル。

 アヌヤがアークトゥルス。

 それぞれが一等星の称号を頂戴した。って言うか、そう呼ばれることになった。

 ヘルザースはアルゴル。

 ローデルはエルタニン。

 どちらも二等星だ。駄目だ。こいつら全員厨二病だ。

 ヘルザースの用人達はアルゴルがペルセウス座のベータ星であることから、自分達をペルセウスアルファ、ペルセウスベータと呼ぶことになったらしい。

 何だそれ…

 ローデルの用人達も同じように、エルタニンが竜座のガンマ星なので、ドラゴンアルファとか、ドラゴンベータと呼ぶんだと。誰かがドラゴンスレイヤーのローデル閣下に相応しいとか言ってたが、真面目な顔して大の大人が恥ずかしくないのかね?

 酔っ払いも甚だしい。

 俺は溜息を吐きながら、トンナの膝上に座る。

 大量の料理を目の前に、ぼそぼそと食事をとり始めると、ヘルザースがいきなり大声で俺を叱り始める。何だよもう。

「いけませぬぞ‘光を齎す者’よ。そのような食べ方。力ある者が、その信用に足る食事のマナーを守らずに如何なさる。」

 お~い、爺やキャラが出来上がってるよ?

「うむ、その通り。普段の立ち居振る舞いは正しく‘光を齎す者’として相応しきものでございますが、先程から拝見いたします、その食べ方は(いささ)かよろしくございませんな。」

 ローデルお前もか。爺やキャラ×2はいらないよ。勘弁してよ。

「ふむ。今後は私、アルゴルのヘルザースが‘光を齎す者’の貴族としての立ち居振る舞いをご教示せねばなるまいな。」

 ヘルザースの目が生き生きと輝いてるよ。

 ああ…

 どうしてこうなった?

 俺は食事と一緒に食事マナーについて、延々小一時間ほど説教を食らった。

本日の投稿は、ここまでとさせていただきます。お読み頂き、誠にありがとうございました。

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