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トガリ  作者: 吉四六
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トネリ最強説

ハーレム紛争勃発編です。

 王宮暮らしというのも悪くはないのだが、俺的には、あまり魅力を感じない。どちらかと言うと、魔狩りが本職という意識が強いので、魔狩りっぽい建物に住みたい。と、思って建てた一軒家がある。

 安寧城から最も距離のある一軒だ。

 都市と甲板空港との間にある森林公園、その公園の一角に建てられた二階建ての和風建築物。

 それが、俺の魔狩りとしての家だ。

 公園の樹木を借景にしているが、十分な広さを取った庭は、大きな岩がゴロゴロと転がる渓流を模している。その庭を望む形で、畳敷きの居間があり、居間と庭をつなぐ縁側も造ってある。

 居間は庭と坪庭に挟まれており、両側の障子戸を開ければ、心地よい風が吹き抜けていく。

「こいつはまた変わった家だね。」

「そうだろ?俺の好みで建てたんだ。」

「へえええ。お前が建てたのかい?」

 トネリは室内を見回しながら感心する。

「ああ。これでも魔狩りとしちゃ、結構、狩ってるんだよ?」

 うん。嘘じゃない。

 この国の王様になったってのは、黙ってるだけで、嘘吐いてない。

 座りながら、トネリにも座るように座布団を促す。

「お前が魔狩りだって?ホントかい?」

「本当だよ。あたしも吃驚してんのさ。」

 オルラの言葉にトネリの動きが止まる。

「ホントに義母さんなんだね?」

 トネリは、いまだにオルラがオルラだとは信じられていない。そりゃあそうだ。皺くちゃだった婆様がピチピチの二十代外見に若返っているんだから、信じろって方が無理だ。

「何だね?まだお前は疑ってるのかい?」

「いやあ、そりゃあ、やっぱりね…」

 トネリが頭を掻く。

「ああ。頭を掻くんじゃないよ。ノミが飛ぶじゃないか。そんなことより、さっさと風呂に入っておいで。ほれ。アラネとトドネも一緒に入っておいで。」

 こうしているとオルラも随分と変わったと実感する。

 今では、オルラが一番の風呂好きだ。

 ノミやシラミ、それにダニに関しては、既に駆除済みだが、風呂には入った方が良いだろう。初めてのことばかりで疲れたろうからね。

 俺が風呂に案内してから、居間に戻ると、トンナ達獣人三人娘が俺の方をジッと見る。

 ヒャクヤは当然、縛られたまま転がされてる。

「どうした?皆して?」

 トンナが首を振る。聞きたいことがあるけど、我慢してるのがバレバレだ。

「あのお姉さんって、魔狩りっぽいんよ。」

 アヌヤが目を眇めて、俺の方を見る。

「そうか?他の魔狩りを見たことないから、俺にはわからんが、猟師だから、そう見えるんじゃないか?」

「ふんがい、ほうだんごらんどうの。」

 ヒャクヤは猿轡を噛まされているため、何を言ってるのかよくわからん。でも、そのまま放置する。

「でも、なんだか凄く怖そう…」

 トンナが下を向いたままポツリと零す。

「そりゃあ怖いよ。ヤートの集落を襲撃された時なんて、俺と二人で襲撃者達を追って、皆殺しにしやがったんだぞ。最後の魔法使いなんか、首チョンパだもん。信じられねえ腕前だよ。」

 太刀で首を刎ねるにも、かなりの技量を必要とする。それを実行したトネリの腕前は、達人級と言っても過言ではない。

 無表情に人を殺せるトネリは本当に怖い。

 俺も本物のトガリかどうか疑われた時、殺されると覚悟した。

 そのことを皆に話してやると、獣人三人娘は一様に顔を蒼褪めさせていた。

 ヒャクヤがチビッているが、やっぱり無視する。

「まあ、俺の母親代わりだからな。皆、姉さんとは仲良くしてくれ。」

 獣人三人娘の首が、高速で縦に振られる。

 アラネとトドネが風呂から上がって居間に戻って来る。

「アー姉ちゃん。姉さんは?」

「えっ!その子もトガリのお姉ちゃんなの?」

 トンナが驚いて腰を浮かせる。

「いや、違う、違う。こっちは、姉さんの娘になるんだ。だから俺にとっては…」

「許婚よ。」

 アラネが核爆弾を投下する。

 俺、硬直。

 トンナ、呆然。

 アヌヤ、唖然。

 ヒャクヤ、おしっこジャー。

 ヒャクヤが漏らした量が、アレなので、流石に後始末する。

「いや、アー姉ちゃん?」

 アラネが涼しい顔で、俺の顔を睨む。

「だって、義母さんが、そう決めたんだもん。トガリはあたしと一緒になって、父さんの跡を継ぐのよ?」

 あー。そう言えばそんなことを言ってたな。

「え?アラネちゃん?トネリさんがそう言ってるの?え?嘘。」

 トンナが四つん這いになって、アラネの顔を覗き込みながら、詳しいことを聞き出そうとする。

「嘘じゃないわ。義母さんが決めたことだから、もう変えられないわ。まあ、あたしもトガリが相手だったら、問題ないしね。なに?あんた達は、何か文句あるの?」

 うわ~。ヤートの女って、どうしてこう気が強いのかね。

「でも、アー姉ちゃん、俺は返事をしてないよ?」

 アラネが冷めた目で俺の方を見る。

「あら、そうなの?でも、関係ないわ。だって、トガリが義母さんに逆らえるわけないもの。」

 その通りですが。

「トガリがホントのお兄ちゃんになるんだよね?」

 トドネの可愛い攻撃はダメージ大きいなぁ。

「いや、そうとは決まってないんだよ。」

 トドネの目が泣きそうに歪む。ほら、トドネはトドネで、女の子の武器を躊躇なく使ってくる。

「いや、まだ!まだ、そうとは決まってないだけでね。もしかしたら、そういう方向に流れていく可能性も無きにしも(あら)ずかもしれないような状況であって、まだ、決定的ではないというか、暫定的というか」

「えええっ!!!」

 トンナが蒼い顔で叫ぶ。

「ちょっと!チビジャリ!ちゃんとハッキリさせるんよ!」

「もうがの!んごんごうごふんがおうの!!」

 騒音が煩い。

「ちょっと、あんた。」

 アラネがアヌヤに向かって立ち上がる。

「え。何なんよ?」

「あんた。トガリのことをチビジャリなんて呼ばないでくれる?トガリには、トガリってちゃんとした名前があるの!あんたは、知らないでしょうけど、トガリのお父さんが一生懸命、考えて付けた名前よ?それをあんたはチビジャリなんて言って、トガリのお父さんまで馬鹿にするの?それとも、トガリのことが嫌いなの?トガリのことが嫌いならこの家から出て行きなさいよ。」

 おお。長台詞を淀みなく立て板に水の如くだな。

 アヌヤどころか獣人三人娘が、全員、タジタジだよ。

「いや、別に馬鹿にしてるとか、嫌いって訳じゃないんよ…」

「じゃあ、どうして、ちゃんと名前で呼ばないのよ?あんたは親しみを込めてるつもりかもしれないけど、トガリの許婚であるあたしの目の前で、しかも、初対面の親族の目の前で、トガリを馬鹿にしたような呼び方をするなんて、あんたどういう神経してるのよ?あたしにこんな風に責められても仕方ないと思わない?」

 アヌヤが俯きながら「悪かったんよ…」とボソボソと呟く。

「何言ってるの?あたしは、あんたに謝れなんて一言も言ってないわよ?あたしは、あんたがこんな風に責められても仕方ないでしょうって聞いてるの。だったら、あんたの答えは仕方ないと思ってるか、思ってないかのどっちかでしょう?それとも、あんた、あたしが年下だからって、馬鹿にして、あたしの話を聞いてなかったの?」

 アヌヤが更に俯く。

「いや、ちゃんと聞いてるんよ…」

「じゃあ、ちゃんと答えなさいよ。こんな風に責められるのも仕方ないと思ってるのかどうか。」

「…思ってるんよ…」

「そう。じゃあ、そのことに対してちゃんと謝りなさい。」

 アヌヤが頭を下げながら「悪かったんよ…」と謝る。

「あなた、謝り方も知らないの?」

 アラネの言葉にアヌヤがキョトンとした顔を上げる。

「悪かったなんて、謝罪の言葉じゃないわ。謝るんなら、ちゃんと、ごめんなさいか、申し訳ありませんでしたって言うべきよ。気分を害した相手に謝罪するのよ?相手の意向に沿った、ちゃんとした謝罪じゃなきゃ、相手の気分はもっと悪くなるわ。それに、謝る相手はあたしじゃなくて、トガリに対してよ。」

 アヌヤの眉が険しく歪む。そりゃそうだ。こんな言い方されたら、誰だって素直に謝れないわな。

 なんか、現代日本の隣国のことを思い出しちゃったよ。いや、他意はないよ?何故か思い出しちゃったってだけで。うん。

「あら?やっぱり、悪いと思ってないんじゃないの?そんな顔をするってことは、謝りたくないって顔ね。な~んだ。あんた、やっぱり、トガリに悪いと思ってないけど、取敢えず、そう言っておけば良いと、取り繕うつもりだったのね?」

「そ、そんなことないんよ!」

「じゃあ、ちゃんと謝りなさいよ。トガリに。」

 アヌヤが俺の方に向き直るが、俺はアヌヤの動きを、手を出して制する。

「アー姉ちゃん、言い過ぎだよ。アヌヤが俺を呼ぶときは、いつもチビジャリなんだよ。それは、俺も、もう慣れたから、別の呼び方なんてされたら、俺の方が気持ち悪くなるよ。」

 俺の言葉にアラネが冷めた目を向け、元の場所に座り直す。

「そうなの?まあ、トガリがそう言うなら、それでも良いわ。あんた、トガリが優しいから、こう言って貰えたのよ?その辺のこと勘違いしちゃだめよ?」

 なんか、昔見たアニメのキャラクターを思い出すなぁ。アラネには三角フレームの眼鏡が似合うんじゃないだろうか。

 もう獣人三人娘は、俯いてだんまりだ。アラネの圧倒的火力に成す術なしの状態だ。

「それで、トガリ、この三人とはどんな関係なの?」

「え?」

 こっちに来たヨ。

 アラネがジッと俺の目を見る。心の奥まで見透かしてやるぞ。と、その視線が語っている。怖えよ。お前、ホントに十二歳か?

「その三人はトガリと契りを結ぶ相手さ。」

 白旗を手に、満身創痍の状態で、死屍累々の戦場に立っている。

 その戦場から臨む光景は、核のキノコ雲。

 オルラ、核爆弾投下。

 一瞬、脳裏を過る、かくも仮想現実のような映像にトリップしたよ。

 もう、この戦場は駄目だ。戦後復興使用不可能な戦場だ。

「婆ちゃん!」

 今度はアラネが困惑する。

「あたしが、トガリにそうするように命令したのさ。だから、お前とトガリの許婚の件は白紙だね。」

 獣人三人娘が、オルラを救世主を見るような目で見てる。

 アラネはそれに対して、歯を食いしばって俯いてる。完全に形勢逆転だ。

「そいつは、聞き捨てならないねぇ。」

 おうっ。姉さん登場だ。

 トネリが、俺の隣に胡坐をかいて座る。核爆弾二個を物ともしない威風堂々たる男前っぷりだ。

「義母さん。トガリの許婚はアラネだ。他の誰でもない。アラネだよ。トガリの母親代わりのあたしが、そう決めたんだ。だから、トガリの嫁になるのはアラネだよ。」

「なにを勝手なことを言ってるんだい?トガリの気持ちも確認しないで、トガリほどの男の相手を母親代わりだってだけで、勝手に決めていい訳あるかい。」

「そんなことは関係ないよ。トガリはヤートの男だ。ヤートの男も、女も、親の決めた相手と添い遂げるってのが決まりだよ。あたしはトガリの親代わりなんだから、勝手でもなんでもないさ。それより、義母さんがトガリの相手を決めたりする方がおかしいじゃないか。」

「そうだね。あたしが、勝手に決めたんなら、あんたの言うとおりさ。でも、あたしは、ちゃんと、トガリの気持ちも確認したよ?トガリは、あともう一人、コルナって子の気持ちも確認した上で、その子が了解したなら、この三人も一緒に、合計四人の子と契りを交わすってね。あんたは、ちゃんとトガリの気持ちを確認したのかい?」

 あれ?オルラって、俺の気持ちを確認したっけ?

 それに、なんか、俺の息子が、凄い暴れん坊将軍みたいに聞こえるんですが、勘違いですよね?

「トガリ。あんた、四人も嫁にする気なのかい?」

 ああ。やっぱり、凄い暴れん坊将軍に聞こえてるんですよね。

 トンナは切羽詰まった顔で俺の方を見てるし。

 アヌヤは怖い顔で睨んでるし。

 ヒャクヤは怨みの籠った眼で見詰めてくるし。

 アラネはこの世の終わりみたいな目で訴えてくるし。

 オルラは涼し気ながら半目の視線で語ってくるし。

 トネリは顔全体を歪めて視線で殺そうとしてくるし。

 トドネはロデムスの尻尾にジャレついてるし。ああ、それはどうでも良かった。

 どうしろって言うんだよ。

「あんたら、一〇歳の俺に何を求めてるんだよ?どうしろってんだよ?」

 ああ、もう口に出してた。

「第二次性徴期もまだのガキに、コイツと契りを結べだの、アイツと許婚だのと、イイ大人が、一〇歳のガキを囲んで何を殺気立ってるんだ?俺は、今、そんなことにかかずらわってる暇はないの。姉さんを始めとする、ヤート族の受け入れに、ズヌークとヘルザースの領民の受け入れ、この国の法整備にインフラ整備、多種多様な民族の同調施策、国運用のための資金予算編成、官僚、閣僚の決定に、教育機関の充実施策、国民の生活安定のための雇用、最低賃金の決定、生活保護に通貨制度の確定と、やることが一杯あるの?わかる?どれか一つでも誰かがやってくれる?」

 俺の言葉に全員が静まり返る。

 トネリの方を向く。

「姉さんには、まだ言ってなかったけど。俺がこの国、国体母艦を造ったの。だから、俺はこれから、この国の国民のために、一所懸命に頑張らなきゃならないの。だから、こんなことに時間を割いてる暇はないんだよ。」

 トネリが不審人物を見るような顔になってる。

「…トガリ、やっぱり、あの時の傷が元で…どこか具合が悪いのかい?」

 俺は何度も頷く。

「姉さん、信じられないのはわかるけど、もうちょっとすれば、ここにヘルザースやズヌークも戻って来るから。とにかく、話はそれからにしよう。な?」

 トネリが目を眇めて、オルラの方を向く。

「義母さん、トガリに一体何があったんだい?あたしゃ、怒らないから全部話しておくれよ…」

 オルラが肩を竦めて「やれやれ。」と言いながら、話し始める。

 途中、トネリが「ええ?トガリの魔法で?魔獣を?」とか「トガリの魔法ってそんなに凄いのかい?」とか「ヘルザースってのはあの隣接領のローエル伯爵のことなのかい?」とか「ええ?ズヌークって、ズヌーク閣下のことなのかい?」とか「ええ?この猫が魔獣だって?」と脱線するわ。脱線するわ。

 日の出と共にトネリ達は到着したのに、話が終わったのは昼を回っていた。

 最後は、トネリとアラネの「へええ~トガリがこの国のねぇ。」と最後まで信じてない感じで、話が治まった。

 俺とトンナが昼食を用意して、ダイニングの方で食事をする。その間もヒャクヤをほったらかしにしていたので、遂に啜り泣きが聞こえ始める。

「ああ、そう言えば、あの、ヒャクヤって言うんだけど、アイツは、どうして縛られてるのさ?」

 俺は、背後の居間を親指で指しながら、トネリに問い掛ける。

「ああ、あの子かい?あの子は変わった子でね。あたしらの集落に到着するなり、いきなり喧嘩を吹っかけて来たのさ。」

 トネリの話を詳しく聞いていると、ヤートの集落、到着早々に「トガリに関わりの深い女がいると聞いたの!今すぐウチと勝負するの!!」と喧嘩を吹っかけたが、トネリの「まあ、あんたも長旅だったんだろ?疲れて、腹も減ってるだろうからさ。とにかく、腹に何か入れなよ。それから、あんたの勝負を受けてやろうじゃないか。」との言葉を素直に信じ、睡眠薬を一服盛られて、今に至るのだそうだ。

 セディナラからは、この子は困った子で、トガリも手を焼いている。縛ったままで良いから、トガリの下まで連れて行ってくれと頼まれたそうだ。

 ヒャクヤが帰ってきたら、全員でトンズラして、一人ぼっちにしてやろうと計画していたが、その必要はなくなった。十分に酷い目に遭ったようだからな。

 それにしても、セディナラも人が悪い。

 通信してた時は、断ってきたくせに、ヒャクヤを上手いこと焚きつけて、トネリの毒牙にかけやがった。ヒャクヤに嘘はついてないだろうと想像できるだけに、(たら)しはこれだから怖いよ。

 俺は居間に転がされてるヒャクヤの後ろに回り、縄を解いてやる。猿轡を外して、涙を拭いてやる。

 その手をヒャクヤが乱暴に払いのける。

 俺は、もう一度、ヒャクヤの頬を擦り、涙を拭いてやる。

 ヒャクヤが再び俺の手を払いのけるが、俺はまた、頬を擦る。

 口をへの字に曲げて、瞼が腫れて、ただでさえ、真赤な瞳に白目までが真赤だ。

「ヒャクヤ、俺は命令しない。お前が出て行きたいなら、出て行けばいい。でも自分の居場所は自分で作れ。お前が俺と一緒にいたいと思うなら、一緒にいればいい。でも、俺と一緒にいたいなら、俺に嘘を吐くな。俺はお前達が何をしようと、お前達を絶対に守ってやる。だから、俺にだけは嘘を言うな。」

 俺の言葉にヒャクヤが俯く。

「俺は嘘つきだ。ズヌークやヘルザース達に嘘を吐いたし、お前達にも嘘を吐かせた。でも、お前達には、仲間には嘘を吐いたことはないはずだ。」

 ちょっと自信ないけど。

「俺はお前達には嘘を吐かない。俺は嘘吐きだけど、お前達には嘘を吐かない。だから、お前も俺達には嘘を吐かないでくれ。」

 俯きながら、ヒャクヤが俺の方を見る。

「…ごめんなさいなの…」

 俺にだけ聞こえるように、小さな声でヒャクヤが謝る。

 そんなヒャクヤの専用カチューシャを掌の上に再構築してやる。

「これは?」

「ヒャクヤは可愛いのが好きだろ?こういうのは嫌いか?」

 俺の問い掛けに、ヒャクヤが驚いた顔のまま、横に首を振る。

 ヒャクヤの頭に新しいカチューシャを付けてやる。

「似合う?」

 上目遣いで、恐る恐る、俺に聞いてくる。

「ああ、似合うよ。皆に自慢しておいで。」

「うん!」

 ヒャクヤが、跳び上がりそうな勢いで皆の元に走って行く。

「ああー!ヒャクヤだけ!またなんよ!」

 アヌヤがヒャクヤの姿、カチューシャを見て、文句を言う。

「そうなの。いっつもウチは特別扱いなの!」

「なに言ってるのさ。お前、また、トガリに我儘を言ったんだろう?」

「トンナ姉さん、違うの。これはロリータ好きすぎマスターがヒャクヤのために、自分で作ってくれたの!」

「嘘!」

「そんなの嘘なんよ!」

 ヒャクヤに作ってやったカチューシャには、白い猫耳を付けてやった。勿論リボンも付いている。著作権で揉めるキャラクターのようだが、可愛いので、良しとして欲しい。

 新たに付けた猫耳は、ヒャクヤの脳波を受けて、動くようになっている。喜んでいる時は両耳がピコピコと動き、怒っている時は後ろを向く。悲しい時は外側に倒れ込むので、今後はヒャクヤのご機嫌を窺えるようになる。

 自分の感情が駄々洩れだとわかれば、怒るかもしれないが、そういうアイテムがないとヒャクヤのような子の感情を読み取るのは難しい。

 本人は「ピコピコ動くの!」と極めて嬉しそうにしている。まあ許してくれ。

 さあ。今日は皆のために何を作ろうか。こうして見てると、アラネとトドネも何か欲しがるだろうし、久しぶりに会ったトネリにも何かを作ってあげよう。

ちょっと、キャラクターが多すぎるのと、キャラクターの名前が似すぎているので、一旦、登場人物紹介を入れます。

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