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トガリ  作者: 吉四六
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でっきるっかな?さて、さて、ほほう~ん!

 白い空間にて、イズモリが説明する。

「構造設計は、イデアのお陰で、しっかりとした物が出来た。あとは、実際に創るだけだが、全員の力が必要だ。霊子回路をフルに使う。力を途切らせたら、最初からやり直しだ。」

 ここで、創るのか?

「仮想で創る。」

 じゃあ、別に、そこまで気合を入れなくても…

「ここでの仮想は、現実に限りなく近くできる。ここでは、自分の思った通りに、例えば、力を使わなくても空が飛べたり、それこそ何だって出来る。その何だって出来る力を使って、限りなく現実に近付ける。」

 理屈はわかったけど出来るのか?そんなこと。

「俺が仮想の現実世界を構築する。物の創造はカナデラに任せる。お前は、俺とカナデラへのパワーの振り分けと、現実世界に戻った時の練習だ。他の全員は、考える必要はない。どちらかと言えば余計なことを考えるな。」

 パワーの振り分けって、どうやったらいいんだよ?

「分体を作った時に霊子体を振り分けるだろう?それと同じだ。まあ、ここでのお前の仕事は大したことはない。現実世界に戻った時、本物を創る時が、お前にとっての本当の勝負だ。ここでは、その練習だと思え。」

 わかった。じゃあ、やろう。

「行くぞ。」

 キミマロとトーヤを除く全員が頷き、境界のない白い空間に銀色の粒子が収束と成形を繰り広げる。

 広がる青い空、草原を渡る風。

 俺が国創りを考えていた、あの草原が再現される。

「じゃあ、行くよ。」

 カナデラが、珍しく気合の入った表情を見せる。カナデラが両手を前に差し出し、目を閉じる。

 リンクしている俺達の両手も自然と前に差し出される。

 横一列に並んだ俺達の目の前に銀色の粒子が煌き、その形状を露にする。

「いいか?霊子バッテリーの出力は、単純にその大きさで決まる。もっと言えば、その表面積で決まる。表面積の最も大きな立体は何だ?」

 えっ?球体かな?

「違う。球は最も表面積が小さくなる立体だ。薄いシートを想像しろ。薄いシートを想像して、細かな皺を刻め。それで表面積を稼げる。」

 銀色の粒子が薄いシートのように形状を整え、その色が霊子金属のものとなる。薄く広がり、その大きさを目に見えて広げていく。

「ダメ!マサト!やりすぎ!」

 カナデラが叫ぶ。

 同時にシートが破れる。

 全員が両手を下ろす。

 なんでだ?

「広げ過ぎだ。加減が難しいか?」

 加減も何も、破れる寸前の感覚なんて、わからなかったぞ。そんなに薄くする必要があるのか?

「手持ちの霊子金属で造るには、ギリギリの線だ。やるしかない。」

 わかった。

 二度、三度と繰り返し、ようやく思惑通りの霊子バッテリーが出来上がる。龍十五頭分の霊子金属を使って二十枚の霊子バッテリー用シートを作り上げる。その霊子バッテリーのシートをロール状に巻き、コンパクトにした後に、別の霊子金属を使って配線を伸ばしていく。

「同時にフレームを創るよ。」

 ど、同時に?

「そう、フレーム自体が大きいから、自重を軽減させるために製造中も霊子を通さなくっちゃ。」

「幽子除去のマイクロマシンの操作も忘れるな。」

 やることが多すぎる。

「だから、ここでやっとくんだよ。泣きごと言うな。」

 やっぱり、お前ら厳しい。

「馬鹿野郎。空中城塞都市だぞ。高空に都市が浮かぶんだ。龍の襲撃にも備える必要がある。気圧の変化に、太陽からの直射日光対策に、宇宙線などの放射線対策、雷対策に暴風対策、やること、考えることは山盛りあるんだ。これ位で音を上げてもらっちゃ、空中城塞都市なんて、夢のまた夢だ。」

 マッドサイエンティスト全開だな…

「子供達を救うんだろ?」

 キミマロ。

「なら、やりなよ。」

「そうだぞ!やるしかないぞ!」

「頑張ろうよ。」

「将来の美人が、死んじゃうのは、耐えられないからね。」

 わかったよ!やってやるよ!畜生!何が、ここでのお前の仕事は大したことはない、だ。結構大したことあるじゃねえか!

 そうして、仮想シュミレーションが終わったのは、深夜どころか、明け方だった。


 俺は草原に立っている。

 仮想世界を含めれば、三度目の草原だ。

 同じ場所に同じ方角を向いて立っている。違うのは、今、俺の隣にはトンナが立っていることだ。

 朝日を背後に、目を閉じる。

 ゆっくりと両手を上げて、深く息を吐き出し、深く息を吸い込む。既に体中のマイクロマシンは駆け巡り、霊子回路はフル回転だ。

「イデア。ここへ来い。」

 イデアが俺の隣に瞬間移動で現れ、すぐさま跪く。

「イデア、俺とリンクして、龍の鱗に使っているマイクロマシンとセクションを構成しているマイクロマシンを供出しろ。」

「了解いたしました。」

 イデアの返事を確認した後、俺は、ヘルザースの元で影武者をしている分体を呼び戻す作業にかかる。

 ヘルザースは現在も王都へ向け進軍中だが、丁度、王都手前の宿場町テオリザンに宿営していた。

 俺はヘルザースの部屋に分体を移動させ、しばらく本体の方に戻ると告げる。ヘルザースの了解を得て、俺は分体を量子情報体へと分解し、亜光速で俺の元へと移動させた。

 準備は出来た。

『いくぞ。』

 ああ。

 イズモリの声を頭の中で聞き、フル稼働の霊子回路に更に霊子を送り込む。

 俺の周囲を金色の輝きが取り巻き、草原を覆う勢いで金色の粒子が広がって行く。

 練習していた時は、イズモリの力はなかった。分体を使用していたため、意識の一割近くが使えなかった。

 集中力を高める。

 超高速ゾーンに突入する。

 金色の渦が草を舞わせる。草原に広がっていた金色の渦が俺を中心に収束を始める。

 集束する渦は、高く空へと伸び上がり、巨大な竜巻となる。俺とトンナは金色の竜巻の中心に立つ。

 金色の竜巻の中で、俺は極薄の霊子金属を作り出す。

 多孔構造の薄いカルビンを作製し、霊子金属に張り合わせ、カルビンが内側になるように丸めて、円筒形に整える。全長二十メートル、直径二メートルの巨大な霊子バッテリーが出来上がる。

 その霊子バッテリーを二十本。

 空中城塞都市の中心となる動力部だ。

 さて、ここからが勝負だ。

全ての部材に霊子を通しながら、幽子除去マイクロマシンで部材を覆い、質量を限りなくゼロへと近付け、同時に形を整えながら、十分な強度を持たせる。予定では八百メートル級の航空母艦のような物を考えている。

 考えているが。

 力が及ばなければ、もっと小さな物になる。

 一体、どれだけの物を創れるのか、勝負だな。

「リンクを結びました。」

 イデアのその声と同時に、俺はイデアの演算能力も使って、六十四万人の脳もフル稼働させる。

 銀色に輝くマイクロマシンが、そのフレームを構築する。

『おい。おかしいぞ!』

 なんだ?何がおかしい?今更、止められないぞ!

『イデアの演算能力が桁違いだ!六十四万人分の脳の演算能力と同等以上の力がある!なんだ?何がどうなってる?!』

 支障が出るのか?

『逆だ!予定以上に、でかいのが出来る!!』

 なら、やっちまえ!!

お読みいただき、ありがとうございます。ようやくキイワードに明記したロボットを出せそうです。

それでは、本日の投稿は、ここまでとさせていただきます。ありがとうございました。


分体と空中城塞都市造営の描写が抜け落ちておりましたので、改稿いたしました。

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