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男と女のラプソディー
「そろそろ、帰らないと…」
と、女が言う…
「えっ?もう?」
女の傍で寝ていた男が、顔を女に向けた。
「早いだろ?」
と、男は女の髪を触りながら言う…
「もっと、一緒にいたいけど…。ママが、心配するから…」
男が伸ばそうとした手をすり抜け、女は立ち上がった。
「なぁ、今度いつ会える?」
と男は寂しそうに聞く。
「ふふっ。そんなに、心配?」
「なにが?」
「安心して。私が好きなのは、あなただけだから…。そうね、次の土曜日は?」
と女が男に聞く。
「土曜日?んー?たぶん、休みだから大丈夫だな。あいつ、寝てるとうるさいから…」
顔をしかめて男が言った…
「だぁめぇよぉ。そんなこと言っちゃ。」
少し甘ったるい声で男に言う。
「愛してるわ…」
「俺も…」
「じゃ、また、ここで…」
「うん。じゃな。」
1本の紅白の梅が咲く木の下で、いつものように男と女が、別々の方向へと歩いていく…
チリーンッ…
春らしい風が、どこからか鈴の音を運んできた…