成長
俺はドラゴン王国から出てきてからもやはり誰かが俺たちの後を着いてきている様な気がしていた
すると、後ろから声をかけられた
「りゅうのすけ様、待って下さい」
後ろを振り替えるとエメラルドが立っていた
「あれ?エメラルドーどうしたの?」キュアが首を傾げて聞いてきた
「私もりゅうのすけ様の仲間に入れて下さい」
エメラルドの目は真剣だった、一国の姫様が仲間に成りたいとは何か理由があるみたいだと俺は察した
「その目は本気みたいだね、それに何か理由もありそうだし、いいよ」
と俺は了承した
「ありがとうございます、りゅうのすけ様」
「でも、エメラルドは姫様だから城に居なくていいの?」
「本当はいけません、でもお父様にお願いして今回のゴルドン討伐まではいいってしぶしぶ了解して下さいました」
「でも、ゴルドンは魔王軍のNo.2だけどエメラルド大丈夫なのか?」
「はい、大丈夫ですりゅうのすけ様、仮にも最強の種族ドラゴンの姫ですので自分の身は自分で守りますし、皆様の力添え出来ると思いますよ?」
「そうだね、じゃあみんなゴルドンを倒しに行こう」
こうして俺たちやパーティーにエメラルドが加わった
「はぁ、はぁ、はぁこいつらいくらでも出てくるな」
ゴルドンシティの方角にいくにつれてゴルドンの手下達が襲ってくる回数も人数も増えていた
「本当にきりがないわ」
「もう音をあげているのですか?でしたらここはマスターと私の二人きりにして帰っていいですよ」
「だめよ、そういうレキこそ疲れた顔をしてるわ、帰っていいよ」
「本当に二人は元気だな、俺はへとへとだよ」
「りゅうのすけ様大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ、エメラルドありがとう」
エメラルドが俺の肩を持ってくれた
「あー!!エメラルドが抜け駆けしてる」キュアとレキの声がハモった、本当に元気だなこいつら
「ぬっ抜け駆けなんてしてません、それより早く倒しましょう」
エメラルドの顔が少し赤くなっていた
「疲れたー」
とりあえず、近くにいた敵を一掃した
しかし俺は自分が戦えてる事に喜びを感じていた
そして自分が今までいろんな出来事があったが乗り越え成長している気がしていた
最初来た時は戦えず守ってもらっていた、何もせずにかわいい女の子がいるなってぐらいしか考えていなかった
だけど、俺は少しずつ変わっていっていた
キュアに助けられ力をもらい、仲間が増えて仲間を守りたいという気持ち、魔王をみんなの為に倒したいという気持ちから俺は心も成長していた
ドラゴン王国で貰ったこのドラブレイドもゴルドンの手下達を倒すことでかなり使いこなせていた
俺はみんなから支えられていることを実感した
そして俺はみんなを助けたいと願った
「甘いなー、こんな奴らではゴルドン様は倒す事は出来ないだろうな」
どこからか声が聞こえた
「エメラルド、危ない!」キュアが叫んだ
「きゃあー」
ガキンと金属のぶつかる音が響いた
「大丈夫か?エメラルド?」
間一髪、俺は反応しエメラルドへの攻撃を防いでいた
「あ、ありがとうございます」
「無事で良かったよ」
そういうとエメラルドの顔がぽーと赤くなっていた
しかし、ギリギリまで気付かなかったなこいつの攻撃
「ひゃっひゃっはー、よくこの俺の攻撃を防げたな、俺はゴルドン様の右腕にしてゴルドンシティの俊足、ゴルドだ」
すると、軽いフットワークからスピードをあげ目にも止まらぬ速さで走っていたが前の俺なら負けていたな、確実に
だけど、奴の攻撃は軽い、今までの戦いで経験を積んだ俺の敵では無いな
「これでも食らえ」とゴルドが飛びかかってきた
だがバキッと奴の武器をへし折りそのまま真っ二つに切った
「よし、これで大丈夫だな」と剣をしまった
前の世界で弱かった自分がここまで成長していたことに驚きながら今の自分の強さをかみしめていた
日が傾いていた
「そろそろ宿を探さなくては」
そして辺りは暗くなっていた
「私この先に旅館があるのを知っていますよ」と言ってエメラルドが案内してくれた
着いてみると何とも懐かしい気分にさせてくれる旅館だった、自分の元の世界の旅館にとても似ていた
とりあえず入ってみた
「4名様ですね、こちらへどうぞ」とそこで働いてる女の人に案内されて部屋に着いた
さすがに男女一緒の部屋ではなく、俺は一人で三人は別の部屋となった
早速、俺は風呂に入った、普通に露天風呂である
「ふー、生き返るー」どの世界でも風呂に入ると疲れがぶっ飛ぶなー
長らく浸かっていると誰かが入って来た
この広い風呂を一人じめしている時間も終わりか
そう思って出ようとするとそのもう一人の人が話し掛けて来た
「今日は助けていただきありがとうございました、りゅうのすけ様」
も、もしかしてこの声はエメラルド?
急に緊張してその声の方に振り替えらなかった
「いやいや、大したことじゃないよ」
そう答えると、じゃばじゃばじゃばとこっちに近づいて来ている音がした
次の瞬間、俺の背にエメラルドが抱きついてきた
「なっ何を!?」俺は驚いた
エメラルドは真面目で清楚で冗談が嫌いでこんな事をする人ではないと思っていた
「私がりゅうのすけ様に着いてきたのは、あなたに興味があったからなのです。あの私以外誰も信じていなかったキュアも気難しいお父様もレキっていう子もみんなりゅうのすけ様を信頼していた」
背中にあたる柔らかなものを感じ生唾をごくりとのんだ
エメラルドは続けて言った
「そして私も一緒に来て、危ないところを助けていただきました。本当はもう死んでしまうのではないかと感じましたが助けられりゅうのすけ様が信用出来る方であると感じました」
「だから、お願いを言いにきました」
「何のお願い?」
「私をりゅうのすけ様の妃にしてください、私はりゅうのすけ様の側にずっと一緒にいたいです。りゅうのすけ様が危ない時は助けたい。何よりりゅうのすけ様を愛してます」
「あ、ありがとう」
俺は考えた、エメラルドの事をそんな風にみた事がなかったから
エメラルドは美人で多分俺より年上でお姉さん的な感じでとても俺にはもったいなかった
しかし、俺は今は魔王を倒す事しか考えていなかった
もはやフィアー姫の結婚の話も今の俺にはどうでも良かった、何よりキュアとの約束を果たしたかった
この世界の人の悲しみが減ってほしかった
この時、キュアが俺に見せた悲しい顔がよぎった
「りゅうのすけ様?」
ずいぶん、黙っていた俺を気にかけてエメラルドが話し掛けてくれた
「今の俺は、魔王を倒す事以外よそ見できないみたいなんだ」
そう答えた
「そうですね、勝手な事言って申し訳ありませんでした」
そう言ってエメラルドは俺の背中から離れた
沈黙が続いた
するとまた誰が入って来た
「あーまたエメラルドが抜け駆けしてるー」
「マスターは私のものです」
キュアとレキも入ってきた
二人とも裸で俺の前に来た、焦った俺は後ろを振り向くとエメラルドの裸を見た
前も後ろもとても嬉しい状況だったが俺はもうこの状況にのぼせそうで急いで出ていった
自分の部屋に帰りエメラルドの言った事を考えながら俺は眠りについていた