ほこら
次の日、俺はとりあえず言われた通りワイハ山の倒魔王剣を手に入れる為、旅立った
今のパーティーは俺とハイネさんの二人きりだった
「あのーハイネさん、ワイハ山は遠いのですか?」
「そのような事はありません、勇者様 案外近いですよ」
「それは良かったです」夢なのに案外どうでもいい道のりをちゃんと通らないかんのだなー
でも、女の子と二人きりの旅、嬉しいなーでもそんな事思ってたらフィアーちゃんに悪いな
そんな嬉しい妄想をしながら歩いていると
ワオーン、四つ目のオオカミのようなのがあらわれた、結構怖い
「勇者様、魔物が現れました、ご一緒に倒すのよろしいでしょうか?」
「よっしゃー、まかせとけ!」やっと俺がこの世界に来て活躍できるイベント発生!ここで勇者としての特殊能力がでてすぐに倒せるな、ハイネさんにほれられるかも、ぐふふ
俺はフィアーちゃんから貰った剣を振りかざしオオカミに立ち向かった
パキーン、俺の剣はオオカミの爪で一撃で折られそのまま顔に一撃かすめかれた
血が流れる、痛い?あれ?これは夢じゃない?俺弱い?
「いけない、勇者様!」
ブシュー、ハイネがオオカミを一撃で倒した
いや、ハイネ様ありがとうございました、心底から感謝します
ハイネが言った、「勇者様戦えないのですか?」あきらかにあきれ果てた顔で
「いや、ちょっと俺も勇者だから勝てると思ってたんだけとだめだった、でも倒魔王剣さえ抜ければ俺も戦えるはず」
そう俺にはまだ剣を抜いて活躍できるはずだそう思っていた
ハイネ山までの道中は全てハイネに守ってもらった、自分が弱いのはわかっているが女の子に守られるのはなんとも情けないな
でも、剣が手に入ったらハイネは俺が守ってやるよ
そんなこんな思いながら倒魔王剣のあるほこらについた
中に入ると石に2つ剣が刺さっていた
あれ?剣は一本じゃないの?
素朴な疑問が頭の中いっぱいに広がった
剣の刺さって石には文字が書いてあった、うっ、読めない、言葉は分かるがやはりこの世界は別の世界なんだな
改めて痛感した
ハイネに何て書いてあるか訪ねると
「この世界には勇者が必要である、汝が勇者ならこの倒魔王剣と勇者ブレードの二本の剣が汝を選ぶであろうと書いてあります」
成る程、二本あったのかまぁいいだろう二本でも三本でも抜いて今までの汚名返上し勇者として活躍してやろうじゃないか!
俺は石に刺さっている剣を握りしめ、うぉーーーーと唸りをあげながら抜こうとした
しかし、抜けないどんなに力をいれても抜けない勇者のはずなのに、抜けなければ何の為に召喚されたかも分からない
でも抜けなかった、落ち着こう
まぁ災厄今手にしてるどっちか分からない剣が抜けなくてももう一本あるし、とりあえずそっちを抜こう、俺は力の限り抜こうとした、うぬぬぬ
また抜けなかった、ハイネに聞いた
「どうしよう、抜けない」俺は少し自分が情けなくなり涙目になった
ハイネは言った
「幻滅しました、やはりあなたは勇者様じゃなかったのですね、もうあなたに価値はありません、さようなら」
そうハイネは言った
次の瞬間俺は目を疑った
あんなにも抜けなかった剣をハイネが抜いていた
どういう事だ?ハイネが真の勇者だったのか?
二本の剣を抜いたハイネは俺の方には目もくれずほこらを出ていった、去り際に「魔王は私が倒し私がこの世界の救世主、勇者になります」と言っていた
俺は呆然とその姿をただ見ていた