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俺が勇者?あいつが勇者?  作者: タツヤ
12/13

絶望

俺は第113代目ドラゴン王国の王となっていた

そして、先代のドラゴン王を倒してから数日が過ぎていた


「りゅうのすけ、りゅうのすけ大丈夫なの?」

いつ通りキュアが俺の部屋のドアを叩きながら声をかけていた

俺はひきこもっていた

エメラルドを守れず、力を奪い、その父まで手をかけた

見覚えは無かったが周りの証言者は多数いて俺が殺した様だった

何に関しても絶望し無気力で何もしたくなかった

気を抜くとエメラルドとの日々が頭の中を駆け巡っていた


「どいてください」

「ちょっと、レキどうするつもりよ」

「この扉をぶち破ります」

どうやら扉の向こうでレキとキュアが言い争っているみたいだった

「はぁーーー、は!」

レキが魔法で扉を破壊して入ってきた


「マスター」

そう言ってレキは俺の体を抱きしめた

「ちょっと、あんたどさくさに紛れて…」

いつもの様に言おうとした言葉をキュアは飲み込んだ

想像以上に俺が痩せ干そっていたのである

「こんなに痩せてしまったのですね」

「あぁ」

「これからどうするのですか?」

「もうこんな嫌な世界にいたくない」

「はい、マスターお供します」

「だから、死にたい」

「はい、マスター一緒にいます」


パチン


俺は顔を叩かれた

そこには涙を流したキュアが怒りの表情を浮かべて俺を平手打ちしていた

「ばかぁ、りゅうのすけぇ」

俺は呆然としていた

「エメラルドが命をかけて救ってくれた命をこんなところで失っていいの?」

「それにエメラルドは魔王を倒せるのはりゅうのすけと信じてたのを裏切っていいの?私の為に魔王を倒してくれるって言った約束破るの?」

「今のりゅうのすけをエメラルドが見たら後悔するわ、きっと、犬死にだったって」


俺は立ち上がった

「そうだった…」

「ごめん、キュア目が覚めたよ、俺は弱い」

「けどこんな俺を信じてくれた人の為、約束を守りたいと思う人の為、一緒にいてくれるって言っていつも俺を支えてくれる人の為」

「俺は魔王を倒す!」

「りゅうのすけぇ」

キュアも俺に抱きついてきた

俺はその二人を抱きしめ言った

「ありがとう」と


するとドーンという爆音が王国の外から聞こえた

「なんだ?」

配下のドラゴンがやって来た

「りゅうのすけ王、敵襲です!」

「何?このドラゴン王国に侵入できる敵がいるのか?」

「分かりません、ですが敵は三人で内一人は自分の事を勇者と名乗っております」

このドラゴン王国はドラゴンでしか分からない霧が掛かっていてドラゴン以外はたどり着けないはず、それに勇者ってまさか…?

「とりあえずその三人のところに案内してくれ」

「分かりました!」

俺達はドラゴン王国の城の出入口の門のところまで着くなりその大きな門が吹き飛ばされた


「お前は!?」

「ずいぶんと偉くなったわね、残虐の王りゅうのすけ、それとも偽りの勇者とでも呼ぼうかしら?」

そこにはハイネが立っていた

「ハイネ?」

「あら、覚えてくれてたのね、そうよ、私は勇者ハイネよ」

「どうしてここに?」

「愚問ね、あなたが魔王と変わらず侵略をして先代のドラゴン王を殺しドラゴン王国を手に入れたという噂を聞き付けたのよ」

「それは、嘘ではないけど俺はこの国の力と共に魔王を倒すと誓ったんだ、だからこの力は俺に必要だった」

「それで何の罪の無いドラゴン王を殺したら魔王達の侵略と何ら変わりが無いじゃない」

俺は反論出来なかった

「それでもりゅうのすけは魔王を倒すわ!」

「はい!マスターは最強のマスターです!」

二人が俺の肩を持ってくれた

「まあ、いいわ、あなたの行いは魔王と何ら変わりが無いわ、だから真の勇者である私達があなたを倒すわ!」

「覚悟!りゅうのすけー!」

ハイネが斬りかかってきた

ハイネの手にはあのとき持っていた勇者ブレードを手に持っていた

ガキン!

俺はドラブレイドで受け流した

「ハイネ、俺達が争っても魔王を倒せないぞ!」

「うるさい!魔王を倒すのは私だ!」

ハイネは聞き耳を持っていなかった


仕方ない、これは力で押しきるしかないな!

キン、ズバッ

俺はハイネの勇者ブレードを弾き飛ばし、防具を砕き蹴りを腹に一撃くらわした

「がはっ」

ハイネの体は宙に舞った

「こんなに強きなってたなんて」

防具を砕かれたことでさらけ出された肌を手で隠しながら膝まついていた

「情けないですね、勇者ハイネ」

後ろで見ていたハイネの仲間のアルメテウスが出てきて地面に刺さった勇者ブレードを手に取った

「りゅうのすけさん、僕がお相手致しましょう」

ひょろっとした体つきとは裏腹に明らかにハイネより強い気配と余裕をアルメテウスと呼ばれる男は持っていた

「ふっふっふ、りゅうのすけ、これで終わりだなアルメテウスは私のパーティーの中で最強なんだよ!」

ハイネ、性格変わってないか?


まあいいか、とりあえずこのアルメテウスと呼ばれる男と戦ってみるか

「りゅうのすけさん、あなたと戦える日を僕は心待ちにしてました、今日は念願がかなって僕はうれしいです」

「それは良かったな、さぁやろうか?」

ガキン、ガキン

激しく剣のぶつかり合う音が響いた

こいつ、強い、隙が全然無い

それに少しでも油断したら必ずやられる

俺は今までにないプレッシャーをアルメテウスから感じた

座りこんでいるハイネが魔法を唱えていた

「アルメテウス、援護するわ」

と言った瞬間、レキとキュアが押さえた

「りゅうのすけの邪魔はさせないわ」

「はい、そうです」


一撃が決めきれないない、それにやつの方が体力も技の量も多い

次第に俺は圧されはじめた

「りゅうのすけさん、楽しいです!僕とこんなにやりあってくれるのはりゅうのすけさんがはじめてです!」

くっ、こいつ、楽しんでやがる、それにこの余裕

ヤバいかもな、ひきこもっていた分、体も鈍っているし痩せた分パワーもでない

これは早く決着をつけなければ

ガキン、やつの剣を上に弾いてその隙を俺は突こうとした

「引っ掛かりましたね」

奴はそのまますごい速さで剣を振り落とし俺の剣を地面に刺した

そしてやつの剣は俺の喉元に触れそうな位置で止めていた


「楽しかった時間ももう終わりなんですね」

「くっ」

「りゅうのすけー!」「マスター!」

キュア、レキが叫んでいた

死を覚悟した瞬間

「とりあえず、この戦いは保留にしましょう、もっと強くなってからもう一度戦いましょう」

そう言ってアルメテウスは剣を引いた

「何をしてるのアルメテウス、早くりゅうのすけにとどめを」

「嫌です」

「なっ!?」

「僕はりゅうのすけさんが気に入りました。なので僕の父を倒せるぐらい成長したりゅうのすけさんと戦ってから決着をつけたいと思います」

「アルメテウス、お前の父って?」

「魔王です」

「魔王?」

「そうです、僕は魔王の息子、アルメテウスです」

「何ですって?」

ハイネが驚愕の顔をしていた

そしてすごい速さでハイネに迫りハイネの持っていた倒魔王剣を奪った

「この二本の剣は頂いていきますね、来るべき日に必要なので」

「りゅうのすけさん、強い貴方の事が好きみたいです。また会いましょう、僕との決着を果たすまで死なないで下さいね、では失礼します」

そう言ってアルメテウスは消えた

やつの強さは本物だった、魔王はあれ以上なのか?

とりあえず、鍛えなくてはならないな


ハイネの方を見ると絶望し魂の抜けた様な顔をしていた

小言で「私のパーティーに魔王の息子がいた」と何度も繰り返し言っていた


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