第3話 初依頼
ゆりかご亭で部屋を借り一晩が空けた。
「さっそくだが依頼を受注しようと思う」
「おお!初依頼かどんなモンスターを狩りにいくんだ?」
「とりあえず朝食をとってから依頼を観に行こう。話はそれからだ」
ゆりかご亭で食事を取りリュカ達はギルドへと向かった。
「いらっしゃいませ!リュカさん、フランツさん。お待たせしました。ギルドカードをお渡しします」
「ありがとうエマさん。依頼を受けようと思っているんで後で受注を頼むよ」
「はい、分かりました。Fランクはそんなに危険な依頼もありませんのでご気軽にどうぞ!」
「フランツ最初は薬草採取を受けようと思う」
「はあ?何言ってんだよリュカ。男なら討伐だろ?迫り来る魔物とのギリギリの攻防。ああ、たまらん!」
フランツはせっかく討伐に行くことが出来るとうれしそうに武器を磨いてていたのにさっそく梯子を外されて憤慨していた。
「今僕たちには足りないものがあるんだ。それが何か分かるかいフランツ?」
リュカは諭すようにフランツに問いかけた。
「足りないもの?うーん……武器か?いやでも剣は持ってるし、お前も杖は持ってるよな……」
しばらく下を向いて考えこんでいたフランツだったが突然手をポンと叩き分かったぞという表情をして顔を上げた。
「そうか!金だな!金が欲しいなら討伐依頼の方が稼げるんじゃねーか。バカだなぁ。リュカは!」
「バカはお前だ!俺はお前だけにはバカ呼ばわりされたくないよ!いいかい?冒険者が活動するに当たって怖いのは怪我だ。これに備えて最低限薬草程度は持っておく必要がある。だからその採取がてら依頼をこなすんだ。分かったらさっさと行くぞバカ!」
さも呆れたぜというような表情をしてフランツに見下されたのに対しリュカは激高した。
そしてリュカはフランツを急かせエマに薬草採取の依頼を受注してもらいギルドを後にした。
町を出てしばらく草原を歩いていると薬草が生えている場所を見つけることができた。
「結構生えているなこの辺りでいいな。薬草採取は制限がないから宿一日分にあたる二十株ずつ採取しよう。自分達の分は五株くらいでいいから合計三十五株採取しよう」
「分かった。こんなちまちました作業さっさと終わらせようぜ」
特に何事もなく順調に採取していき小一時間足らずで無事にノルマを終えることが出来た。
「なんかあっけないな。初クエストってこんなものなのか?」
「小さなことからコツコツ積み上げてギルドランクを上げて行くのが普通さ。一気にランクが上がる奴なんてそうそう居ないよ」
「そうか……もっとこう、血沸き肉踊るような緊張感たっぷりの戦闘を期待していたんだけどなあ」
「そうは言っても仕方ないだろう。さてそろそろ帰ろうかフランツ」
「ああ……つまんねーな何かアクシデントでも起こらないかな」
「不吉なこと言うな。何事もないのが一番なんだよ」
リュカとしてはお金を少しずつ貯めてなおかつフランツに冒険者の知識を覚えさせてから、安心して村に帰るという計画を達成したかった。
「きゃあッ!!」
町に向かって歩き始めてからすぐに悲鳴のような声が聞こえた。
声の大きさ的にどうやら近くで何かが起きているようだった。
「女の悲鳴だ!行くぞリュカ!」
フランツをそれを聞き取るとすぐさま声が下方向に走っていこうとした。
しかしリュカがフランツの服を掴んで止めた。
「おい!待てよフランツ!危険かもしれないじゃないか!こっそり近づいて様子を見よう!」
「声に切羽詰ったような緊張感が含まれていた。そんな暇は無いかもしれないだろ!」
フランツは服を掴んでいる手を振り払うとリュカの制止を無視して飛び出して行った。
「まったく最初のクエストぐらい何の問題もなく平和に終わらせたかったな」
リュカは仕方なくぼやきながらもフランツを追いかけて行くのであった。
あれ思った以上に短くなった^_^;
次回はもう少し頑張ります(>_<)