第11話 カウント
一緒にいるのに。
別れだけが、確実だった。
最後の放課後。
僕と彼女は、並んで歩いている。
肩が触れるほど近いのに、手はつながない。
つないでしまったら、崩れる気がして。
「今日は……静かですね」
彼女が、そう言って小さく笑った。
「うん」
それ以上、言葉が続かない。
フードコートにいる。
ナゲットを、ふたりで食べる。
「サクッ」「サクッ」
もう、こうして音が重なることもなくなる。
「……忘れません」
いつもの公園。
ベンチに座る。
夕方の風が、少し冷たい。
「向こうでは、しばらく英語の特訓です」
「語学学校に入学させられるみたいです」
「……そっか」
想像しようとする。
彼女が知らない言葉を話している。
知らない場所で笑っている。
できない。したくない。
「連絡……」
言いかけて、やめる。
考え続けた上での、彼女の結論なのだ。
名前も連絡先も明かさない。
「大丈夫です」
彼女は、小さく笑っていた。
「悠人さんが、生きてさえいてくれれば」
沈黙。
同じ場所で、同じ時間を過ごしている。
それだけで、十分なのに。
まだ、一緒にいる。
まだ、隣にいる。
なのに。確実に。
その時は、近づいていた。
僕は、何も言えなかった。
言わなかったのではない。言えなかったのだ。
僕は、逃げようとしている。
夕焼けが、街を赤く染める。
止まらない。
明日は来る。
お読みいただき、ありがとうございます。
とても、とても嬉しいです。
いよいよ、次でラストです。




