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混濁到(コンタクト)

 真っ暗な部屋の中でふと気が付いた…。


「おーい!」


誰かに呼ばれている。


「ほら、行くぞー!」


この懐かしい声は間違い無く兄だ。いやまさか、それはあり得ないんだ。

だって兄はここには居ないのだから。

おそらく久し振りに実家へ行ったからこんな夢を観ているんだろう。


ぼんやりとした闇の中から現れた人影には不思議と恐怖は感じなかった。

何故なら…。


「にいちゃん!なんでここに?」


思わず叫んでしまった。身長がありやや肉付きの良いそれは紛れもない兄の姿。

もはや夢か現実かはどうでも良かった。


「でもさ、行くって言ってもゲーセンでしょ?みんな辞めちゃってたんだよ。」


我ながら妙に子供っぽい喋り方になってしまい恥ずかしくて俯いてしまう。


「はいこれ持って!」


兄から旧いコントローラーを渡された。

妙に手にフィットするのはこれが子供の頃慣れ親しんだ物だからだろう。

続けざまに目の前がぱっと明るくなりそこにモニターが浮かび上がってきた。

そこに映し出されたのは見覚えのある商店街。

そうだつい昨日寄ったあのイーグルの近くだ。


そこで警官数人が何かを鎮圧しようとしているが、何処かぎこちない。


「よく見てみな」


兄の言葉に目を凝らすとその理由が解った。

小鬼だ!小鬼が居る!それに骸骨剣士も!更に大男が巨大なハンマーを振るって暴れている。

この敵達は俺がよく遊んでいた「金斧〜バトルアックス」のキャラクターそっくり。

いやそのものと言っても差し支えないレベルのキャラクターが現れたのだ。

(金斧なのにバトルアックスという名前なのは永遠の謎である。)


 警官隊はそれら敵と闘っているが何故か中には相手の姿が見えていなさそうな人が居て、かなり混乱しているらしい。


「なんでこんな事に…?」


俺は訳が分からなくなって兄の方を見た。


「その話は後回しだ!行くぞ」


思わず両手に力が入り、コントローラーがピシッと音を立てる。

するとモニターに細かなドットが滲み中からあの青年の姿が現れた。


「ROUND1だ!」


兄の掛け声に合わせて俺の意識が青年の中に吸い込まれて行った。

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