24.正義の味方と会合
丁京都フリーヶ丘。
住みたい街ランキング常連・スイーツの聖地として知られるこの街には──
今日も恐ろしい(?)悪の組織が存在していた。
そしてもちろん、正義の味方たちも存在している。
今回はそんな正義の味方たちの会合回。
……なのだが、思想も立場もバラバラな“正義”が集まって、
まともな会議になるはずもなく。
ごゆるりとお楽しみください。
「世知谷区デカい町線沿線の対悪の組織作戦会議、始めます!」
司会役のハマリエルは緊張しながらホワイトボードの前で話す。
その場には五人の正義のヒーローがいた。
(うう、セラ様に任されたけど、こういうの向いてないんだよなあ……)
ハマリエルは脳内にエア等館を召喚する。
(大丈夫だ処能、お前ならできる)
(等館くん……!)
「ハマリエル、元気がないな!しっかりするんだ!」
双子玉川の正義の味方、ハイソレッドが声を出す。
「はっ、はい!」
上の空になっていたハマリエルだが、その一言で我に帰る。
「ハマリエル、調子が悪いの?」
「お腹が空いてないかい?僕のヘルシーな料理を食べるんだ」
「そして植物見るといいよ〜!」
「それらは煩悩、瞑想すべき」
各々がハマリエルを励ます。
「す、すみません、緊張してて……。そ、それではまずはみなさんの街の、悪の組織の活動についてご報告ください!」
「まずは俺からやろう!」
ハイソレッドが声をあげる。
「奴らがやるのは一つ。……双子玉川をロリィタの街にすることだ。この前は景観を台無しにするデコトラまで走らせていた」
「然し、だ。その程度では悪事と言えぬ」
「その通り。しかし奴らは双子玉川ライスの店に地道に嫌がらせを行っている。俺たちもシフトの合間を縫って対応しているが」
「えっと……それだけ、ですか?」
「ああ、そうだが?」
「……?わかりました、次、どうぞ」
少しのズレを感じながら、ハマリエルは次へと促す。
「ええ、じゃあ上模毛ね。……あいつ、妙なのよ。悪事といったら悪趣味なアートを街に置くだけ。それだけなの」
「えっと、それだけ、ですか?」
「ええ。妙でしょ?だから私、創造破壊デザニウムのアジトに行ったの」
「ええ?!アジト、知ってるんですか?!」
場が騒めく。悪の組織のアジトは普通わからない場所にあるからだ。
「……創造破壊デザニウムのリーダー、絵心はその道では有名なアーティストなのよ。一部には狂信者もいるわ。だから、アジトの場所は丸わかり。だからどういう意図か聞きに行ったんだけど……『いまはまだ、ほぐすとちゅう』しか答えなかったの」
「……一体どういうことかな?」
「わからない。だけど、街を破壊したりとかはしてないわ」
「……え?街を破壊しないんですか?」
ハマリエルは驚く。超悪い子軍団は日常的にフリーヶ丘の街を破壊して回ってるからだ。
「……なんで街を破壊する必要があるんだい?」
「うーん、たしかに等々久は自然が多いから壊す場所少ないけど、そんな野蛮なことしてないわよ?」
「奴らは雑音を垂れ流すばかりだ」
「……え?」
詳細を聞いてみる。
等々久は過激な自然推し、尾山谷は住民を飯テロで太らせる、十品仏は雑音垂れ流し。
……どの街の悪の組織も、街の破壊を行っていない。むしろ━━
「ど、どこが悪の組織なんですか!ただの迷惑な一般市民ですよ!」
心の底から叫ぶ。
「むしろフリーヶ丘がおかしいのよ。だって……その、セラ博士の妹さん、なんでしょう?」
「双子玉川の悪の組織とも仲がいいと聞いた」
「ああ、聞いてるとも。実に大規模な兄妹喧嘩、とね」
「セラ博士には世話になっているわ、私も恩を返したい」
「フリーヶ丘の爆発も雑音だ」
各々が好き勝手言う。
「……ああもう!やってらんないよー!」
ハマリエルの叫び声が響く。
後日。
「今日のハマリエル、ブチギレだったわね」
「なんかいつも以上に怖かった……」
「街を破壊するなと叫びながら街を破壊していましたね」
「全く……なんなんだあの女は」
そんな感想が、アジトを支配していた。
街を破壊しているのはなんと、超悪い子軍団だけだった。
そんな衝撃的な事実が発覚した回です。
正義の味方は意外と真面目……なのかと思いきや、
方向性が違うだけでだいぶ厄介でしたね。
でもまあ、毎回街を壊すのはコスパが悪いですよね。
そこも含めて悪事なのかもしれません。
次回更新は金曜です!お楽しみに!




