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悪の組織はままならない!【第二部開幕】  作者: 白洲晶
デカ井町線はままならない編
27/30

24.正義の味方と会合

丁京都フリーヶ丘。

住みたい街ランキング常連・スイーツの聖地として知られるこの街には──

今日も恐ろしい(?)悪の組織が存在していた。

そしてもちろん、正義の味方たちも存在している。


今回はそんな正義の味方たちの会合回。

……なのだが、思想も立場もバラバラな“正義”が集まって、

まともな会議になるはずもなく。


ごゆるりとお楽しみください。

世知谷(せちたに)区デカい町線沿線の対悪の組織作戦会議、始めます!」

司会役のハマリエルは緊張しながらホワイトボードの前で話す。

その場には五人の正義のヒーローがいた。

(うう、セラ様に任されたけど、こういうの向いてないんだよなあ……)

ハマリエルは脳内にエア等館(ひとたち)を召喚する。

(大丈夫だ処能(しょのう)、お前ならできる)

(等館くん……!)

「ハマリエル、元気がないな!しっかりするんだ!」

双子玉川の正義の味方、ハイソレッドが声を出す。

「はっ、はい!」

上の空になっていたハマリエルだが、その一言で我に帰る。

「ハマリエル、調子が悪いの?」

「お腹が空いてないかい?僕のヘルシーな料理を食べるんだ」

「そして植物見るといいよ〜!」

「それらは煩悩、瞑想すべき」

各々がハマリエルを励ます。

「す、すみません、緊張してて……。そ、それではまずはみなさんの街の、悪の組織の活動についてご報告ください!」

「まずは俺からやろう!」

ハイソレッドが声をあげる。

「奴らがやるのは一つ。……双子玉川をロリィタの街にすることだ。この前は景観を台無しにするデコトラまで走らせていた」

「然し、だ。その程度では悪事と言えぬ」

「その通り。しかし奴らは双子玉川ライスの店に地道に嫌がらせを行っている。俺たちもシフトの合間を縫って対応しているが」

「えっと……それだけ、ですか?」

「ああ、そうだが?」

「……?わかりました、次、どうぞ」

少しのズレを感じながら、ハマリエルは次へと促す。

「ええ、じゃあ上模毛(かみもげ)ね。……あいつ、妙なのよ。悪事といったら悪趣味なアートを街に置くだけ。それだけなの」

「えっと、それだけ、ですか?」

「ええ。妙でしょ?だから私、創造破壊デザニウムのアジトに行ったの」

「ええ?!アジト、知ってるんですか?!」

場が騒めく。悪の組織のアジトは普通わからない場所にあるからだ。

「……創造破壊デザニウムのリーダー、絵心はその道では有名なアーティストなのよ。一部には狂信者もいるわ。だから、アジトの場所は丸わかり。だからどういう意図か聞きに行ったんだけど……『いまはまだ、ほぐすとちゅう』しか答えなかったの」

「……一体どういうことかな?」

「わからない。だけど、街を破壊したりとかはしてないわ」

「……え?街を破壊しないんですか?」

ハマリエルは驚く。超悪い子軍団は日常的にフリーヶ丘の街を破壊して回ってるからだ。

「……なんで街を破壊する必要があるんだい?」

「うーん、たしかに等々久(とどろく)は自然が多いから壊す場所少ないけど、そんな野蛮なことしてないわよ?」

「奴らは雑音を垂れ流すばかりだ」

「……え?」

詳細を聞いてみる。

等々久は過激な自然推し、尾山谷は住民を飯テロで太らせる、十品仏(じゅっぽんぶつ)は雑音垂れ流し。

……どの街の悪の組織も、街の破壊を行っていない。むしろ━━

「ど、どこが悪の組織なんですか!ただの迷惑な一般市民ですよ!」

心の底から叫ぶ。

「むしろフリーヶ丘がおかしいのよ。だって……その、セラ博士の妹さん、なんでしょう?」

「双子玉川の悪の組織とも仲がいいと聞いた」

「ああ、聞いてるとも。実に大規模な兄妹喧嘩、とね」

「セラ博士には世話になっているわ、私も恩を返したい」

「フリーヶ丘の爆発も雑音だ」

各々が好き勝手言う。

「……ああもう!やってらんないよー!」

ハマリエルの叫び声が響く。



後日。

「今日のハマリエル、ブチギレだったわね」

「なんかいつも以上に怖かった……」

「街を破壊するなと叫びながら街を破壊していましたね」

「全く……なんなんだあの女は」

そんな感想が、アジトを支配していた。


街を破壊しているのはなんと、超悪い子軍団だけだった。

そんな衝撃的な事実が発覚した回です。


正義の味方は意外と真面目……なのかと思いきや、

方向性が違うだけでだいぶ厄介でしたね。


でもまあ、毎回街を壊すのはコスパが悪いですよね。

そこも含めて悪事なのかもしれません。


次回更新は金曜です!お楽しみに!

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