19.超悪い子軍団とライセンス更新
丁京都フリーヶ丘。
住みたい街ランキング常連・スイーツの聖地として知られるこの街には──
今日も恐ろしい(?)悪の組織が存在していた。
そして恐ろしい、ライセンス更新も迫っていた。
そんなこんなで書類処理回です。
一体どんな恐ろしい書類が待ち受けているのか。
ごゆるりとお楽しみください。
「ああ、もう書くこと多すぎるのよ!」
アレプトは頭を抱えながら机に向かっていた。
「……アレプト様、何してるの?」
「ライセンス更新の書類手続きだ」
「アレプト様、いつも面倒ごとは後回しにして締切ギリギリになるタイプなんですよ」
「うるさいわねそこ!聞こえてんのよ!」
アレプトは書き損じた書類をグシオンに投げる。
「申請書はオンライン申請可能なのにライセンス更新はいまだに書類じゃないとできないんですよねえ」
「なになに……?『今年度行った一番の悪事』『正義の味方との交戦結果』……?」
「あー、もううるさいわね、気が散るじゃない!」
いつも通り理不尽だ、とブエルは感じる。
「これっていつ提出なの?」
「明日締切だ」
ブエルはギリギリにも程がある、と思うが黙っておいた。
「うーん、天使セラのロボットを自爆させた、は誇張と取られかねないし、そうね……『大学の講堂を乗っ取った』でいいかしら……」
「規模がショボい」
「そこ!うるさい!喋ってるなら手伝なさい!」
そう言ってアレプトは三人の顔に書類を叩きつける。
「『悪の組織運営方針改善案』ですか、得意分野ですよ!」
「……『正義の味方所感』か」
「『悪の組織内組織図』?まあなんとなくできるか……」
そうして三人は机へと向かう。
全ての書類が片付いたのは夜七時くらいだった。
「はあ、本当書類が多すぎて嫌になるわ。あんたたちの書いた書類、確認するから見せなさい」
「わかりました!まずは僕からですね!」
「いいわよ。……相変わらず字が汚いわね」
「理系は字が汚いものなんです」
「理系への酷い偏見だ」
ドヤ顔のグシオンからアレプトは書類を受け取る。
「内容は……まあいいわね、私たちは悪の組織だもの、改善案通りになんて動かなくていいわ」
「え?じゃあなんで書かせたの?」
「面倒だから」
そう言いアレプトは書類をまとめ置くと、オティスから書類を受け取る。
「相変わらず達筆すぎて読みづらいわね。あんたたち足して二で割りなさいよ。内容は……私怨たっぷりね、主にハマリエルへの」
「あの女は黒髪以外の要素が私と被りすぎている」
美形と長髪という点以外被ってないけどね、と思いながらブエルは黙っている。
「まあこのくらいの温度が悪の組織としてちょうどいいでしょう、いいわ」
そしてまた置くと、ブエルから書類を受け取る。
「うん、このくらいの字が安心するわ。……なにこれ?」
「組織図って言うから……」
「だからじゃないのよ、『アレプト様 一番偉い』じゃないのよ!くっ、これだけ私が書き直すわ……罰としてブエル、ご飯作りなさい」
「え?今日はアレプト様が当番の日じゃ……」
「だからよ!私はこの書類完成させるからあんたが代わりにご飯作りなさい!」
そう言うとアレプトは再び机へと向かう。
「まあ最初ですからね、こういうこともありますよ」
「……仕方ない」
グシオンとオティスが励ましてくるが、OJTがこの職場には足りないな、とブエルはキッチンに向かいながら思った。
「はい、確かに受領しました」
そうして書類は見事に受領された。
しかし後日、行政からは『悪行が異様に軽いのでもっと重くすること』という指導があった。
「軽くていいじゃない!」
書類仕事には勝てない。
世界を制するには書類から。
そんな回でした。
明日も更新予定です、お楽しみに!




