18.正義の味方と生活
丁京都双子玉川。
ハイソサエティなこの街に、似合わない気配が忍び寄っていた━━
しかし、この街には混沌から街を守る、正義の味方がいた!
ハイソなこの街に、ロリィタは似合わない。似合うのは我ら、ハイソティーズのみ!
いけ、上流戦隊ハイソティーズ!この街をより優雅にするために!
「ありがとうございました~」
俺の名前は赤築燃。双子玉川にあるデパート『高杉屋』内のスーパーでレジ打ちのバイトをやっている。
「燃、休憩だ」
「燃、あたしも休憩入るから一緒にご飯食べよ!」
この二人は品出しの青波光と同じくレジ打ちの黄畑める。
一見ただの同期にしか見えない俺たちだが、ある共通点がある。
それは──
「……悪の組織レーダーが反応している」
「よーし、悪い子にはおしおきしちゃうんだから!」
「おう、行くぞ!」
この街を守るヒーロー、『上流戦隊 ハイソティーズ』だということだ!
「覚えておいてね、次こそはロリィタで染め上げてあげるんだから!」
「ハイソティーズ、次こそは負けないからな!」
Nico×Jumeauxが去っていく。
「もうっ、私の店をロリィタブランドにするなんて許さないんだからっ」
そう怒っているのはハイソピンクの桃風恵。双子玉川ライスの中にある女性向けアパレルブランドの店長をやっている。
「流石に双子玉川ライスの店を全部ロリィタブランドにするのは現実味、ないよね」
そう達観しているのはハイソグリーンの緑場良太。双子玉川ライスの飲食店の店長をしている。
「……休憩が潰れた」
青波ことハイソブルーが呟く。
「本当だよね、最悪~」
黄畑ことハイソイエローが言う。
「まあいいじゃないか!こうして双子玉川の平和は守られたんだから!」
ハイトレッドである俺は言う。俺たちはこの街の平和のために戦っているんだから──!
「赤築君、青波君、黄畑君。ちょっといいかな」
そして仕事に戻ろうとすると店長に呼び止められる。
「はい、なんでしょう!」
「ちょっと仕事のことで話しがあってね。あ、タイムカードは切っていいよ」
そう言って休憩室に引き留められる。
「君たちね、正義の味方だ~だのなんだの言って仕事抜けられるの、困るんだよね」
「ですが店長、俺たちはこの街を守るために──」
「あー、わかってるわかってる。悪の組織制度でしょ。それは知ってる。でもさあ、困るんだよ。特に赤築君、君に抜けられるのは」
……俺?何かしただろうか。
「赤築君のレジ対応、丁寧で感謝の手紙が届くレベルだから主戦力なんだよね。だから繁忙する時間に抜けられると困るんだよ」
「やったね燃、褒められてるよ!」
「しかし店長、俺は人を救うことを生き甲斐にしているんです!レジ打ちも人たちの生活を守るための基盤になってて嬉しいですけど……やっぱり俺は、人を救いたいんです!」
「君がそう言うならいいけどね……、それでも黄畑君も一緒に抜けられると困るんだよ。君たち十年以上のベテランだからね」
そう、俺たちは学生時代からこの店でバイトしている。正義の味方の活動をする以上、就職と両立はできないため、フリーターとして今も働いているのだ。店を経営しながら仕事ができている桃風と緑場が異常なのだ。
……就職にあたり、脱退していった仲間達の顔が脳裏を過ぎる。
「君たちが望むなら正社員雇用もするから、本当頼むよ?」
そう店長は言い解散となる。
「……燃、俺はお前と戦い続けたい」
「あたしも!あたしたちが愛するこの街を守りたいよ!」
「お前たち……!ありがとう、一緒に力を合わせて頑張ろう!」
ガシッと二人の肩を掴む。
俺たちの正義は、これからだ!
「いつもの神レジお兄さん、いませんわねえ」
「気に入ってたのに。今日はシフトに入ってないのかな」
「そうかもしれませんわね。あ、支払いはカードでお願いしますわ」
「レジ袋はいらないよ」
ゆけ、ハイソティーズ!
シフトを円滑に回すために!
憎む悪も愛する街の住民の一員。
一体どうなってしまうのか。
次回、「上流戦隊ハイソティーズ」!
見切り品の罠。お楽しみに。
(※次回の更新は悪の組織はままならない!の続きになります)




