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悪の組織はままならない!【第二部開幕】  作者: 白洲晶
フリーヶ丘はままならない編
16/32

閑話休題1.一班甚と入団面接

丁京都フリーヶ丘。

住みたい街ランキング常連・スイーツの聖地として知られるこの街には──

今日も恐ろしい(?)悪の組織が存在していた。


そして、そんな悪の組織では入団面接が行われていた。


今回は過去編、ブエルこと一班甚の入団面接回です。

ごゆるりとお楽しみください。

「じゃあ面接を始めます」

目の前の少女、超悪い子軍団のリーダー、アレプトが声を上げる。

緊張しながら、俺は座っていた。


俺の名前は一班(いちはん)(じん)。春から高校生になる。

丁京都の高校に合格できたはいいけど、金がなかった。だから金になるバイトが欲しかった。

だからこそ、俺は、金のために悪に手を染めることに決意したのだ。

──だって住み込みOK、三食付き、兼業OK、ノルマなしなんてあまりにも夢みたいな条件じゃないか!

「まず弊組織への加入希望とのことだけど、悪の組織について知識はある?」

「実はないんですよね」

「そう、じゃあ説明してあげるわ。この世界の悪の組織は『地域を統治する能力』を見るために存在しているの。一種のカリスマ性、それを見るための制度でもあるわ。実際に他の地域では悪の組織のリーダーから政治家になった人間もいるの」

そういえばそんなニュースを見た気がする。アレプトは続けて言う。

「悪の組織に許されている権利、それは街の破壊よ。それもただの街の破壊。歴史的建造物の破壊や人へ危害を加えることは禁止されているわ。なんでかわかる?」

「えっと……カリスマ性を見るためだから、価値のあるものを壊すのはルール違反、とか……征服した後に価値になるものを残しておくため、ですか?」

そう答えると、アレプトは二コリと笑った後言う。

「その通りよ。街は復興できるけど歴史や人は修復できない。だからそのような行為は禁止」

「でも、たまに迷惑系悪の組織とかがニュースになっているじゃないですか?」

ネットで見かけるニュースを例に出すとアレプトは関心した顔をする。

「あら、意外とわかってるじゃない。あれは『やりすぎた』例よ。交通の阻害とかね。地道な嫌がらせとかはOKよ。ポストに入っている迷惑なチラシを抜くとかね」

「なるほど、意外と理に適ってるんだ……」

「そうよ、嫌になるくらいにね」

アレプトは一瞬顔をゆがめるが、すぐに笑顔に戻り続ける。

「それで、悪の組織のメンバーはそのリーダーを支えるための土台よ。土台がなければどれほど立派な柱も立たないわ。あんたはその土台になる覚悟、ある?」

「……あります、だって俺、お金欲しいもん」

場が凍る。本音が出てしまった。

「……アレプト様、この者、金目当てです」

アレプトの隣に黙って座っていた男が声を上げる。

「まあ、あんな条件で出してるんだもの。金目当てで来る輩がいるとは思ってたけど……びっくりするくらい素直ね」

「す、すみません。つい本音が……」

これはやらかしてしまったな、と猛省する。これは、落ちた──

「でもこのくらい素直なほうが使いやすいわね。いい?ここからは本音で話しなさい。志望理由を話しなさい」

「金です!高校に通いながら働ける職場が欲しかったんです!」

「……あんた、家族は?」

「ああ、特に期待されてないんで」

アレプトが複雑そうな顔をする。

「……一個だけ聞くわ。あんた、今黒髪だけど、髪染めれる?」

「え?校則で禁止されてなかったから染めれると思いますけど……」

「ああ、もう採用よ採用!一つだけ条件!髪を金髪にしなさい!いいわね?!」

「え?!いいんですか?!ありがとうございます!」

そんなこんなでとんとん拍子に採用が決まった。やった、早く引っ越す準備しなきゃ!

「いいから、お礼は働いてしなさい!」

「はい、わかりました!」

そんなこんなで、俺は悪の道へと足を踏み入れたのだった。



「アレプト様、何を基準に彼を採用したのですか?」

甚が帰った後、オティスがアレプトに尋ねる。

「簡単よ、私の勘。彼がいればアイツに人の心を理解させれるってね」

「……あれが、そう簡単に人の心を理解できるでしょうか?私にはそう思いませんが」

オティスは言う。その通り、一班甚は何も持たない、いたって普通の善良な少年だった。

「だからよ。何も持っていない。だからこそ、足掻いた時になにかを残せる……そんな存在を探していたの。一班甚、あいつは何もないのが長所になる。そう、思ったの」

「そうですか、いえ、アレプト様の決めたことに異論はありません」

「そう、それでいいのよ。いずれわかるわ」

いつかを夢見て。そう信じながら。


そんなこんなで、今の超悪い子軍団があります。


悪の組織法、意外とよくできています。

ルールがあるからこそ、悪は成り立つのかもしれません。


まあ、受かったところで待遇は本編の通りですが。

応援(ブクマ・評価など)いただけますと、超悪い子軍団の活動資金になります。


次回もお楽しみに!

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