13.超悪い子軍団と反省会
丁京都フリーヶ丘。
住みたい街ランキング常連・スイーツの聖地として知られるこの街には──
今日も恐ろしい(?)悪の組織が存在していた。
それはともかく、反省会もしていた。
ごゆるりとお楽しみください。
「今日の反省会、始めるわよ」
アレプトのその一声で、夕飯を兼ねた反省会が始まろうとしていた。
「ちょっと待って、鍋置きたいんだけど、これ何?」
ブエルは机に置かれた薄っぺらいもの──猫とうさぎと犬を足して三で割ったら二余ったような物体を指差しながら言う。
「それは『悪い子くん』です。超悪い子軍団のマスコットキャラクターですよ」
「なんかキモくない?」
「僕が作ったんです。耐熱実験も兼ねてるのでそのまま置いてください」
微妙な顔をしながらブエルは鍋を置く。
今日の夕飯はキムチ鍋だ。鍋をつつきながらアレプトは言う。
「今日の反省点。やっぱり連携が上手くいってないわ。……なんであんたたち、非常時には連携取れるのに普段は取れないの?」
「僕の計算ではやはり練習が足りないのではないかと思います」
湯気で眼鏡を曇らせながらグシオンは言う。
「僕たちはやっぱり慢心が多いのではないのかと思います」
「舐めプって感じだよね」
「なめぷ……?」
オティスが首を傾げる。
「あれだよ、相手を舐めてかかってるって意味」
オティスは納得いったように頷く。
「確かに私たちは慢心が多い。特にブエル、貴様だ」
「俺ぇ?!」
「ああ、貴様はいつも攻撃する時深く踏み込む癖があるだろう。その時に隙が生じている」
オティスが指摘するとブエルは若干納得いかない顔をする。
「だってさあ、攻め手が多い方が反撃させずに済むじゃん」
「そう言っているわりにはいつも反撃されているようだが?」
「ぐっ……、そ、そんなこと言ったらグシオンなんていつも計算外してるじゃん!」
「なんで僕に飛び火するんですかぁ?!」
不機嫌になったブエルはグシオンへ意見する。
「確かにこいつの計算はいつも当たらないわね」
「アレプト様まで?!僕の計算は正しいんですよ!ほら、見てください!」
そうグシオンは言うとよくわからないプログラムを走らせている画面を見せてくる。
「なにこれ?」
「僕の独自の計算プログラムソフトです!これで僕は毎回計算しているんですよ!」
「ちょっとソース見せなさい」
「はい」
カタカタとパソコンを弄るグシオン。そしてソース画面をアレプトへ見せる。
「コード汚すぎ。あとここの記述間違ってるわよ」
「な、なんですってぇ?!」
「スパゲッティコードになってるじゃない。あんたそのプログラム綺麗にしなさい」
「くっ、そんなこと言ったらいつもアレプト様は何もしてないじゃないですか!」
プライドを傷つけられたのか、グシオンはアレプトに文句を言う。
アレプトはやれやれ、と肩を竦めたあと、こう言う。
「あのねえ、リーダーはいざというときに動けるようにしておかないといけないのよ。あんたたちの一挙一動を観察して指示を出すのがリーダーの役目なの」
ご飯を一口食べるとこう続ける。
「あんたたちのカバーをできなかったのは申し訳ないと思ってるわ。でも今日はハマリエルの様子がおかしかったからオティスのカバーに全面的に走るしかなかったの」
「ああ、あいつ、今日は様子がおかしかったな」
オティスが同意をする。
「どうおかしかったの?」
「こう、目がすわっていた」
「なんかブツブツ呟いていたわね。『この展開ならこのあとお姫様だっこが~』だの『いやいっそアレプトがオティスのこと好きで~』とか意味不明なことを喋ってたわ」
鍋をよそいながらアレプトは続ける。
「まあ十中八九天使セラに何か言われたんでしょう。気にしなくていいわよ、オティス」
「ああ」
実を言うとネットではアイドル活動で一気に顔の知れたオティスの人気が爆発しており、ハマリエルの裏名義で書いている夢小説が同時に大バズしているのだが、そこらへんに疎いメンバーは知らないだけだ。
「しばらくは悪事は中断して屋上で訓練でも行いましょうか。仮想敵のプログラム、お願いするわよグシオン」
「承りました。任せてください、今までの戦闘データから僕たちの苦手な敵をプログラムしてみます!」
「ということで今日の反省会はおしまいよ。プログラムの完成次第、一日一回訓練を行いなさい!」
「「「了解!」」」
そして全員で鍋を味わうのだった。
後日、訓練の音がうるさい、と一階のコンビニからクレームが来たのと、悪い子くんがドロドロに溶けていたのはまた別のお話。
そんなこんなで何も進まない反省会でした。
悪い子くんは犠牲となったのだ。
次回はバレンタイン回です!
お楽しみに!




