第4話
はじめまして、作者の”のすけ”です。
この物語は、中学生たちが異世界に転移し、成長していく群像ファンタジーです。
少年少女たちの葛藤・仲間との絆・壮大なバトルといった熱い展開が好きな方に届けば嬉しいです。
転移、バトル、伏線、そして最後には希望を込めた結末を目指しています。
感想・評価など、お気軽にお寄せください。
よろしくお願いします!
セラフィルの朝は早い。鐘の音が、石畳にこだまする。
こはるたちが暮らす公会堂の広間には、昨日よりも張りつめた空気があった。
「――この町を出るには、“騎士団”に所属するしかない」
重厚な扉を開け、公会堂に現れたのは、銀髪の青年――騎士団副団長のカリオスだった。
彼はゆっくりと全員を見渡し、続けた。
「騎士団は、セラフィルを守る壁の“鍵”だ。外はまぁ...。とにかく!許可なき者は一歩も出ることはできない」
「じゃあ……私たち、この町から出られないってこと?」
そうまの問いに、カリオスは頷いた。
「出たいのならば、“鍛錬の誓い”を立て、二年間、剣と魔導の修練に耐えよ。それが条件だ」
一斉にどよめく生徒たち。誰もが「二年」という時間の重みに驚いていた。
「そんなの……無理だよ。私たち、中学生なのに……」
「帰る方法を探すって言っても、出られないなら意味ないじゃん」
だが、その中で一人――こはるが立ち上がった。
「でも、それしか方法がないなら……やるしかない」
その言葉に続いたのは、たける、ゆい、まこと、そしてえいじだった。
「面白そうじゃん。剣とか魔法とか、本気でやってみたかったし」
「お前、バカだろ。けど……そういうの、嫌いじゃねえ」
次々と挙がる手。その空気は、ゆっくりと広がっていく。
「……よし。だったら俺もやる」
りくが呟くと、周囲から驚きの声が上がる。
「いつまでも泣き言言ってたって、ここからは動けない。それなら、“動ける側”にならないと」
それは、彼らが“生き残る側”に立つための、初めての決断だった。
夜。セラフィルの外縁、黒の森の奥。
焚き火の炎が、獣の骨でできた串に焼き肉を照らしていた。
「チッ……また干し肉かよ。飽きたっつってんだろ」
黒ずんだマントを羽織る大男――グラウスが、骨ごと肉をかじりながら吐き捨てる。
「贅沢言ってんじゃねぇ。火薬と矢じりで金がねぇんだよ」
脇に座っていた女――ナイフを研ぎながら笑うミラが応じた。
その周囲には、いかにも胡乱な男たちが数名。泥と血の匂いをまとう、ならず者の群れ。
「で? 噂はマジなんかよ。東洋人がまた来たって話……」
「来たらしいぜ。今度はガキ共が何十人もだとよ。西のババアどもがビビってた」
グラウスはにやりと笑った。
「だったら歓迎してやらねぇとな。青二才らがどーしたこーしたなんざ、知ったこっちゃねぇが……」
その目が、薄笑いを浮かべる。
「弱そうなガキなら、騎士団に取られる前に“品物”にしてやりゃいい」
「女子も混じってるらしいよ」
「へっ……久々の大稼ぎってわけだ」
笑い声が森にこだまする。
彼らは正義でも、復讐者でもない。
ただの――ハイエナだった。