表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の選定  作者: のすけ
4/4

第4話

はじめまして、作者の”のすけ”です。

この物語は、中学生たちが異世界に転移し、成長していく群像ファンタジーです。

少年少女たちの葛藤・仲間との絆・壮大なバトルといった熱い展開が好きな方に届けば嬉しいです。

転移、バトル、伏線、そして最後には希望を込めた結末を目指しています。

感想・評価など、お気軽にお寄せください。

よろしくお願いします!

セラフィルの朝は早い。鐘の音が、石畳にこだまする。


こはるたちが暮らす公会堂の広間には、昨日よりも張りつめた空気があった。


「――この町を出るには、“騎士団”に所属するしかない」


重厚な扉を開け、公会堂に現れたのは、銀髪の青年――騎士団副団長のカリオスだった。


彼はゆっくりと全員を見渡し、続けた。


「騎士団は、セラフィルを守る壁の“鍵”だ。外はまぁ...。とにかく!許可なき者は一歩も出ることはできない」


「じゃあ……私たち、この町から出られないってこと?」


そうまの問いに、カリオスは頷いた。


「出たいのならば、“鍛錬の誓い”を立て、二年間、剣と魔導の修練に耐えよ。それが条件だ」


一斉にどよめく生徒たち。誰もが「二年」という時間の重みに驚いていた。


「そんなの……無理だよ。私たち、中学生なのに……」


「帰る方法を探すって言っても、出られないなら意味ないじゃん」


だが、その中で一人――こはるが立ち上がった。


「でも、それしか方法がないなら……やるしかない」


その言葉に続いたのは、たける、ゆい、まこと、そしてえいじだった。


「面白そうじゃん。剣とか魔法とか、本気でやってみたかったし」


「お前、バカだろ。けど……そういうの、嫌いじゃねえ」


次々と挙がる手。その空気は、ゆっくりと広がっていく。


「……よし。だったら俺もやる」


りくが呟くと、周囲から驚きの声が上がる。


「いつまでも泣き言言ってたって、ここからは動けない。それなら、“動ける側”にならないと」


それは、彼らが“生き残る側”に立つための、初めての決断だった。


夜。セラフィルの外縁、黒の森の奥。


焚き火の炎が、獣の骨でできた串に焼き肉を照らしていた。


「チッ……また干し肉かよ。飽きたっつってんだろ」


黒ずんだマントを羽織る大男――グラウスが、骨ごと肉をかじりながら吐き捨てる。


「贅沢言ってんじゃねぇ。火薬と矢じりで金がねぇんだよ」


脇に座っていた女――ナイフを研ぎながら笑うミラが応じた。


その周囲には、いかにも胡乱な男たちが数名。泥と血の匂いをまとう、ならず者の群れ。


「で? 噂はマジなんかよ。東洋人がまた来たって話……」


「来たらしいぜ。今度はガキ共が何十人もだとよ。西のババアどもがビビってた」


グラウスはにやりと笑った。


「だったら歓迎してやらねぇとな。青二才らがどーしたこーしたなんざ、知ったこっちゃねぇが……」


その目が、薄笑いを浮かべる。


「弱そうなガキなら、騎士団に取られる前に“品物”にしてやりゃいい」


「女子も混じってるらしいよ」


「へっ……久々の大稼ぎってわけだ」


笑い声が森にこだまする。


彼らは正義でも、復讐者でもない。

ただの――ハイエナだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ