第2話
はじめまして、作者の”のすけ”です。
この物語は、中学生たちが異世界に転移し、成長していく群像ファンタジーです。
少年少女たちの葛藤・仲間との絆・壮大なバトルといった熱い展開が好きな方に届けば嬉しいです。
転移、バトル、伏線、そして最後には希望を込めた結末を目指しています。
感想・評価など、お気軽にお寄せください。
よろしくお願いします!
「……ここは、どこ?」
教室にいたはずのこはるが目を覚ましたのは、見知らぬ石畳の広場だった。周囲には同じように制服姿の生徒たちが何人も立ち尽くし、声を上げていた。ざっと見渡しても、彼女の知る限り、西が丘中学校の1年生ほぼ全員がこの場所に転移しているようだった。
「なんで!? え、え、マジでどこ!?」
「スマホも繋がらない!圏外だよ!」
「夢じゃないの? これ…」
パニックの渦の中、誰かが「みんな、落ち着いて!」と声を張った。声の主は、生徒会副会長だったりこだ。
「点呼を取ろう。何が起きたかはわからないけど、今はパニックになるのが一番危険。まず、怪我してる人はいない?」
しずくの冷静な指示で、少しずつ生徒たちは落ち着きを取り戻していった。
――だが、その場にのぞむの姿はなかった。
その混乱の広場に現れたのが、町に住む少女、ローリだった。赤い髪を一つにまとめた彼女は、生徒たちの異様な服装と人数に目を丸くしながらも、毅然とした態度で話しかけてきた。
「あなたたち、どこから来たの? こんなにたくさん…」
「た、助けてください!」
「ここがどこなのか、まったくわからなくて!」
質問責めにあいながらも、ブルマはこの町の公会堂の一室に案内し、彼らを保護することに決めた。町の人々は驚きながらも、見たこともない制服を着た彼らを不思議そうに眺めていた。
「この町の名前はセラフィル。ここは壁に囲まれた小さな町よ。あなたたちは一体どこから...?」
そう語るブルマの言葉に、生徒たちは言葉を失った。
その夜、公会堂に集められた生徒たちは、班に分かれて寝床を用意された。しずくとこはるを中心に、リーダー格のたけるやまことも加わり、情報共有と安否確認が進められる。
「……96人、全員は揃ってないな」
たけるが言うと、こはるも頷いた。
「のぞむの姿が、まだ見えない。多分、みんなはまだ気づいてないけど。」
「無事だといいけど……」
静かに更けていく夜の中、不安は拭えないままだった。
一方、ブルマはひとり、古びた書庫を開いていた。何かを思い出すように、指でページをなぞる。
「『青き双眸が時空を裂き、新たなる選定者を導く』……こんな言い伝え、まさか本当に...?」
まだ誰も知らない――
この町に転移してきた彼らは、やがて、味わったことのない、味わうはずがなかったものに直面することを...。