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01 どこかの幼子の叫び、願い
生まれたときから空は自由だと思っていた。
それはどこまでも広く、広く続いていて。
空を飛び回れるぼくは、この星を自由に支配できているのだと思っていた。
その全てはぼくの為にあるのだと。
世界が無償の愛でぼくを抱きしめてくれていると、思っていたんだ。
けれど今は違う。
空には限界があることを知ってしまった。
天井があることを知ってしまった。
生き物が到達できない青じゃなくて、黒い空。
深い海みたいに果てが見えない、宙。
空が自分のものでないことを知ったとき、どんなことを思っただろう。
哀しい、だった。
悔しい、だった。
けれど、それだけじゃなくて。
高揚するぼくもいた。
知らない一面を知れたみたいで、その宙に憧れた。
……なんだか、頭が痛い。
どうにかなってしまいそうだ。
ぼくの中に知らない気持ちが混ざる。
知らない宙の記憶。覚えのない思い出が入ってくる。
とても異物感。でも不快じゃなかった。
ぼくは、ただひたすらにこう思う。
宙が見たい。
本物の宙が見たい。
星が瞬く、息を飲むように暗く、底の見えない宙が見たい。




