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63 ボクはまだ非日常の中に居る
お世話になったダイン達に見送られて、ボク等三人は街を出る。
休憩を挟みながら、緑の海域を航海する。ただひたすらに歩き続ける。
目印のように木の柱が等間隔に建っていた。
アンテナを建てる柱だ。
この柱は次の街まで続いているらしい。
これがボク達の道しるべ。
青空はやがて傾き、美しい朱に染まる。
草原は緑一色から、燃えるような真っ赤な化粧をする。
気持ちの良い風が吹くと、生命体のように草原は脈動する。
やがて空気は湿気を帯びて、夜の帳が織られていく。
夕日が夜を編み上げる情景はとても美しく、思わず目を細めてしまう。
フェリーにそう言うと、彼は「ただの夕日だろう」と一蹴した。
同じ景色を見ているのに、こうも印象が違うとは。
彼とボクの違いは何なのだろうか。
「日常か、非日常か」
独り言を言う。
ボクはまだ、非日常の中に居る。
この空に広がる朱と紺の境界、紫の下を歩きながら、思った。




