表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/17

第十一話 「ケツに電話がかかってきた!」

 ジーム爺との不可解な邂逅を終えた俺とヴァイスは、夜の森を抜けていった。


 木々の隙間から現れたのは、荘厳な石造りの屋敷。高い塀に囲まれ、門には二人の兵士が立っている。槍を持ち、鎧を着て、目つきは鋭い。


「……着いたな」


「ああ。ここが、リリィがいるはずの屋敷だ」


 ごくりと唾を飲む。どうやってリリィに会うか。正面突破はリスクが大きすぎるだろう。


「ここは……忍び込むしかないな」


「おう。静かに行くぞ」

 

 俺たちはそっと身をかがめ、茂みを伝って近づいていく。息を殺し、一歩ずつ慎重に。緊張で心臓が高鳴る。その時だった。


 ぐるるるるる。


 腹の奥から、不穏な音が響いた。


「……やべ」


「おい、どうした」


「……屁が出そうだ」


「我慢しろ! ここで出したら即アウトだぞ!」


 必死で堪える。だが、ケツは正直者だった。


 ブルブルブルブル。


 俺の尻が、携帯電話のバイブみたいに震えだす。ケツ肉が小刻みに揺れ、ズボンの布地がぷるぷると共鳴している。


「お、おい……! お前のケツ、震えてるぞ! 着信音みたいになってんぞ!!」


「わかってる!! 今、ケツに誰かから電話かかってきてるんだよ!!」


「出るな! 切れ! 切れぇぇ!!」


 しかし、もう限界だった。


 ブボォォッ!!

 

 夜の静寂を破る轟音。しかも、悪いことにそれは小さくもなく、派手で豪快な音色だった。


「!? な、なんだ今の音は!」


「おい、臭いぞ……な、なんだこの臭気……く、くっせぇぇぇ!! おえぇぇぇぇ!!」


 兵士二人が同時に顔をしかめ、鼻を押さえて呻き声をあげた。目を白黒させながら、辺りを見回している。そして、彼らの視線がこちらに向けられた。


「や、やべぇ……完全にバレた……!」


「だ、だから我慢しろって言っただろうが!!」


 兵士たちが槍を構え、こちらに突っ込んでくる。


「侵入者だァァ!!」


「くっせぇ……けど戦えぇぇ!!」


 ふっ、君たちにはさらに極上の屁をプレゼントしてやる。


「くらえぇぇぇ!!」


 ブボォォォッ!


 至近距離からの屁魔法。衝撃波と悪臭が同時に炸裂し、兵士たちは鼻を押さえながら吹き飛んだ。


「ぐえぇぇ!?」


「おえぇぇぇ!! なんだこの攻撃ぃぃ!!」


 門前で兵士二人がのたうち回る。しかし、それで終わりじゃなかった。屋敷の奥から、わらわらと兵士たちが湧いて出る。

 

「任せろ、屁で吹き飛ばす!」


 俺は腹に力を込め、連続発射。


 ブボッ! プスッ! ブシュゥゥッ!


 右へ、左へ、正面へ。


 屁の嵐が夜気を切り裂き、兵士たちをなぎ倒す。


「ぐああああっ!」


「くせぇぇぇぇぇぇ!」


「うぇぇぇ……ちょ、ちょっと吐く……!」


 兵士たちは剣を振るう前に、次々と地面に転がった。だが、すべてを俺だけで片付ける必要はない。


「おらああああっ!!」


 横でヴァイスが炎剣を振り抜き、燃え盛る刃で兵士の盾を一刀両断する。さらに炎が夜風に踊る。兵士たちをまとめて焼き払った。


「くっ……あいつら……ただ者じゃないぞ!」


「一人はケツが爆発してるし、もう一人は炎を操ってる……なんだこいつら!!」


 生き残った兵士たちが、警戒しながらも俺達を囲む。俺とヴァイスは背中合わせになり、肩で息をしながらも不敵に笑った。


「……なぁ、ヴァイス」


「なんだよ」


「やっぱ俺たち、最強コンビじゃね?」


「ケツと剣で最強って、響きは最悪だけどな!」


 笑いながらも、戦いはまだ終わっていない。屋敷の奥から、さらに足音が響いてくる。


「くそ……やっぱ正面突破は大騒ぎになっちまうもんだな」


「お前が屁を漏らすからだな!でもまあ、ピンチであればあるほど俺の炎は燃え盛る!」


 次々に押し寄せる兵士達を相手にしながら、俺たちは少しずつ屋敷の中へと足を踏み入れていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ