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桜の陰に包まれて

作者: 深桜 夕月

春というのは、いわゆる出会いと別れの季節であって・・・


----白鷺学園卒業式-----


と書かれた大きな看板が校門の前に出されていた。

既に式は終わっており、あちらこちらで記念撮影をしている生徒や保護者、教師の姿が見られる。

そんな中、人通りのない場所に一人の男子生徒が立っていた。人を寄せ付けないオーラを出しているその少年の名は花塚奏都(はなづかかなと)。つい先ほど卒業したばかりだ。


「奏都先輩!! 卒業おめでとうございます!」


「ああ、彼歌・・。ありがとう」


「先輩もう卒業ですかぁ。なんか二年間短かったです」


走ってきたせいで軽く顔を赤くさせながら奏都と会話をするこの少女は水瀬彼歌(みなせかのか)

奏都の部活の後輩である。


「そうだね・・・ねぇ彼歌、君は僕を祝いに来てくれたんだよね?」


「そ、そうですけど・・・」


「じゃあなんでそんなに悲しそうな顔してるの?」


「それは・・・・・」


みるみるうちに眉が下がり、ついに俯いてしまった。


「そんなの・・・決まってるじゃないですかっ。わ、私・・・もっともっと奏都先輩と一緒にいたかったのにもうお別れなんて・・・」


俯いたその瞳には涙が溜まっていて、今にもこぼれそうになっていた。


「泣かないでよ。僕はこの学校にいなくなるだけだよ? これからもこの地域にいるんだから」


「私は奏都先輩と同じ場所(トコ)で同じ時間(トキ)を刻みたいんです!」


「それは我慢してよ。一年間だけだから。そうしたら高校は僕と同じところに来ればいい」


彼歌は俯いた顔を上げ、少し上目で奏都を見た。まだ眉は下がりっぱなしで、一つ別れをほのめかす言葉を言ったらすぐにまた泣いてしまいそうだ。


「一年・・・?」


「うん。できるかい?」


「長い・・ですよぉ・・・」


思わず奏都は彼歌を抱き寄せた。彼女の震えた肩を抱きしめ、頭をなでた。


「じゃあ、毎朝彼歌の家に迎えに行くから。それじゃダメ?」


「奏都・・・先輩?」


「僕の好きなこの学校と部活を頼んだよ?」


「はいっ!」


「ほら、涙ふいて。せっかく桜が咲いているのに見えなくなるよ」


その体勢のまま、二人は目の前の桜を見上げた。すると彼歌がいきなり首に飛びついてきた。


「!!? か、彼歌??」


「先輩っ! 大好きです!!」


「僕もだよ・・・」


桜が咲き誇る中、二つの影が重なり合う。



3月に桜って咲いてたっけ・・・?という疑問は持たないでください。作者は馬鹿なのでこれしか浮かびませんでした。

さて、今回は奏ちゃんとの同テーマ作品第二段です! 気付いてるかもしれませんが、今回はズバリ「卒業」です。お楽しみいただけたでしょうか・・・?

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― 新着の感想 ―
[良い点] 読ませていただきました☆ 春の風物詩ですね(^_^) こんな経験してる人が羨ましいです♪ 春の優しく、哀しい表現がすっごく好きです★ ありがとうございました
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