5︰僕はルナが欲しい
「Aランク冒険者になったの、レオス!?」
個室に戻った僕はルナにランクアップしたことを伝えた。
ルナはあまりにも唐突な出来事に驚いているけど、そんなことは僕にとってどうでもいい。
なぜなら今、解決しなければならない問題があるからだ。
「うん、戻る途中でブラッディゴーレムと戦ってその素材を売ったからランクアップしたよ」
「ブラッディゴーレム!? よくそんなモンスターに勝てたわね」
「ラディッシュのおかげだよ。ね、ラディッシュ」
『オイラは強いんだぞ、えっへん!』
ラディッシュが腰に手を当てて胸を反らせる。
見た目が猫だから、なんだかその姿がかわいいよ。
「あとは助けてくれたアリゼさんのおかげもあるかな」
「アリゼ? もしかして【色彩のアリゼ】と出会ったの!?」
「えっと、その人と同じかはわからないけど、とにかく助けられたよ」
ルナは驚きっぱなしだ。
なんだかわからないけど、唖然としながら僕を見つめているよ。
「レオスって前から感じてたけど、すごいわね。ついさっきまでFランクだったのに、あっという間にAランクになったし」
「僕だけじゃこんなことできなかったよ。ラディッシュとアリゼさんがいなかったら死んでたと思うしね」
『ゴーレムを食べたけど、あんまり美味しくなかったよ。なんせほとんどが土の味だったからな』
「そ、そうなの。私、ゴーレムは食べたくないかな……」
ルナがラディッシュに若干引いている。
まあ、仕方ないかな。
精霊って普通モンスターなんて食べないし。
まあ、そんなことよりも本題に入ろう。
僕はそう思い、話題を切り替えた。
「それよりルナ、聞いてよ! 素材を売ったら百万ゴールドになったんだよ!」
「百万ゴールド!? とんでもない額じゃないっ」
「うん。だからこのお金でルナを助けたいんだ」
僕がそう切り出すと、ルナは言葉を詰まらせる。
嬉しそうにするもののすぐに顔をうつむかせ、こんなことを告げた。
「気持ちは嬉しいわ。でも、受け取れない」
その言葉は、ルナの性格を考えれば想定できる言葉だった。
例え仲がいい人の申し出だとしても、ルナ自身が納得しない。
それに、お金が関わっているからこそデリケートな問題だ。
ルナ自身が納得できる形で問題解決しなければ意味がない。
だから僕は、ルナにある提案をした。
「ルナ、前から欲しかったものがあるんだ。それを売ってくれないかい?」
「こんな時に何を……」
「君が持つ杖を売ってくれないかい? もちろん、見合った値段で買い取るよ」
「杖って。別にいいけどこれは安いものよ。良くて百ゴールドだし」
「あと君が欲しい。僕は君とパーティーを組みたい」
その言葉は思いもしないものだったのか、ルナは目を大きく見開く。
僅かな時間、静寂が支配した後にルナは頬を真っ赤に染めて叫んだ。
「な、ななな、何を言ってるのよ! いくらなんでも、それはその、ダメよ!!!」
「何がダメなの? 僕の本心だよ?」
「本心って……そんなのズルいわよ、レオス……」
揺れ動くルナ。
そんなルナを見て、僕は頭を傾げた。
はて? なんでこんなに動揺しているんだろうか?
ただパーティーを組んで欲しいってお願いしてるだけだし。
そのために借金返済を申し出てるだけなんだけどなぁー。
「私でいいの? その、支援しかできないわよ?」
「そんなこと言ったら僕は何もできなかったよ」
「……わかったわ。そこまで言うならあなたの仲間になるわ」
「ホント!?」
「でも、対等に扱って。あなたが出してくれたお金も返したいしね。それでいいなら仲間になる」
「うん! ルナがそれでいいならそうする。これからよろしくね、ルナ!」
ルナはちょっと呆れながら笑う。
それは素敵な笑顔でもあり、今まで見たことがないものだった。
こうしてルナが僕の仲間になる。
無事に借金返済を済ませ、ゼルコバから解放されて自由を得て、僕のパーティーに加入してくれたのだった。




