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11/11

7:全てを精算して

★★ルナ視点★★


 私はレオスに謝り、なぜかわからないけど仲間として一緒に活動することになった。


 まさかそんなことになるなんて思っていなかったわ。

 でも、あんなに求められるなんて始めて。その、悪い気分じゃなかったし。

 ま、まあ、そんなことはいいとして、今はゼルコバにした借金を返さなきゃ。


 私はそんなことを考えながらゼルコバ達がいるだろう酒屋へ向かった。

 もしいれば、たぶん他の二人と一緒に楽しくお酒を飲んでいるはず。


「ハッハッハッ! いやー、今日もリーリちゃんはかわいいですね!」


 案の定、ゼルコバ達はいた。

 その隣には見たこともない女の子がいるし、肩を組んで大ジョッキに入ったエールをゼルコバは飲んでいる。


「やだー、ゼルっちヤバいんだけどぉー☆」

「もっと飲んじゃうよ! そうだね、こう見えても酒豪ってわたしゃー呼ばれててねッ」

「チョーヤバいんだけどぉー☆ アタシ、お酒よわよわだからマジうらやまだしー☆」

「なら飲まなきゃ! 飲まないとお酒は強くならないよー!」


 ゼルコバは、いやバカは「ガハハッ」と笑いながらエールをガンガン飲んでいた。

 そんなゼルコバに興味がないのか、バルミは一人でカクテルを楽しみ、ガンガはただひたすらに骨つき肉にかぶりついている。


 私だったら本を読んで過ごしているかもしれないわね。

 ま、そんな対応もこれで終わりよ。


「ずいぶんと盛り上がっているわね」


 そんな風に声をかけると、ゼルコバは飲む手を止めた。

 それを見計らって、私はレオスから分けてもらったお金(二十万ゴールド)を全部ゼルコバの顔に投げる。


「うおっ、何するんだよ!」


 酔っ払っているためか、ゼルコバは顔面で金貨入れとなっている袋を受け止めた。

 私は怒るゼルコバを無視し、さっきまで肩を抱いていた少女に目を向ける。


「その女は何?」

「おい、その前に言うことがあるだろ?」

「その女は?」


 私が引かず問いただすと、ゼルコバはわざとらしく激しい舌打ちをした。

 少し面倒臭そうにしながらも、私を見て隣にいるギャルについて説明をし始めた。


「新しいメンバーだよ。この子はレオスと違ってなんでもできる。だからいれたんだよ、ねー」

「はーい、アタシはリーリって名前。リーちゃんって呼んでくれっち☆」


「この子はお前と違ってかわいげもある。ホントいい子を仲間にできたよ。あ、そうだ。私と結婚しないか、リーちゃん。正妻にしてあげるからさぁー」


「えー☆ でもゼルっちって婚約してるって言ってませんでしたー?」

「大丈夫大丈夫。どうにかなるから。な、いいだろルナ?」


 この男は……まあいいわ。

 どうせこんなパーティー脱退する気でいたし。

 ならここでその宣言をしちゃいましょうか。


「いいわよ。私、このパーティーを抜けるから」

「あん? 何を言ってるんだルナ?」

「言葉のままよ、ゼルコバ。私はこのパーティー抜けるわ」


「そんな勝手を許すと思うか? 第一お前には親の借金――」

「さっき投げた袋にお金があるわ。そうね、ご祝儀を含めて全部あげる」


 私がそう告げると、ゼルコバは慌てて袋の中身を確認し始める。

 そしてその作業が終わると、目を大きくしながら私の顔を見つめた。


 ゼルコバは理解したみたいね。私を縛り付けるものが、存在しなくなったってことを。


「それじゃあね、みんな。どこかであったら挨拶ぐらいするから」

「ま、待てルナ! 今お前に抜けられると困る!」

「何が困るの? 新しい婚約者がいるじゃない」

「回復役の補充は難しいんだよ! そうだ、ルナ。レオスは? レオスはどうなったんだ?」


 どうにか引き留めようとゼルコバは苦し紛れの質問をしてくる。

 おそらくレオスを使って引き止める材料にしようとしているんでしょう。


 でも、そんなものじゃあ私は止まらない。

 むしろ、止まる理由にはならない。


「彼なら生きているわ」

「ハッ?」

「そのお金、彼が手に入れたお金だから。そうね、私は彼に買われたのよ。だからアンタとの縁はこれまで。わかった? わかったなら、帰るから」

「ま、まま、待て! まさか、レオスが生きているのか?」

「そうよ。じゃあね、ゼルコバ」


 私はそう別れを告げてパーティーを脱退する。

 その後、どんな雰囲気になったかわからない。

 でも、怒り狂ってやけ酒しているバカの姿が目に浮かんだわ。


 ふふ、いい気味かもね。

 私はそう思いながら、ゼルコバとの関係を解消してレオスが待つ商工区画へ向かうのだった。

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