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妹は魔法少女になりましたか?  作者: 吉本優
6月

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第15話 雨が降ってますよ。③






―――――





 教室に戻ると、すでに授業は始まっていた。


「遅れてすみません……」


 月菜が小さく頭を下げると、担任は軽く頷くだけで黒板に視線を戻した。

 月菜は自分の席に座り、ようやく深く息を吐く。


(……つ、疲れた……)


 体操服姿なのもあって、視線が少し気になる。

 だがそれ以上に、頭の中を離れないのは、さっきの星菜の言葉だった。


(……最近、人が集まるところにニブラが出る)


 偶然?

 それとも――。


「月菜」


 小声で呼ばれ、隣を見る。

 陽菜がこちらをじっと見ていた。


「大丈夫?」


「……うん。ありがと」


 陽菜は月菜の体操服姿と、机の横に掛けられた濡れた制服袋を見て、眉をひそめる。


「……保健室、誰か来なかった?」


 一瞬、月菜の肩がびくっと揺れた。


「え、えっと……」


 陽菜はその反応で察したように、声をさらに落とす。


「……佐々木星菜?」


「……うん」


 陽菜は小さく舌打ちした。


「やっぱり。何かされなかった?」


「え?」


「いわゆる寝込みを襲われたとか?」


「ねっ……! そんな事ないよ。ただのたまたまーーなのかな?」


「私に聞かないで」


『おーい、授業中に話をするなー。桑原、ここの答えを言ってみろ」


「はい」


 陽菜は何事もなかったようにスラスラと答えを話していった。


(陽菜、凄いな……)


 月菜にとって難問でも、問題なく答えている陽菜に感心しつつ。

 そろそろ学期末テストが近づいていっており、憂鬱な気持ちになるのであった。


 だが月菜の意識は、ほとんど黒板に向いていなかった。


(星菜ちゃん……何を知ってるんだろう)





―――――




 一方その頃。


 別の教室。


 窓際の席で、佐々木星菜は頬杖をつき、空を眺めていた。


(京田琢郎……月菜ちゃんのお兄ちゃんか……)


 名前を、心の中でなぞる。


(あの反応。やっぱり、ただの一般人じゃない)


 視線を落とし、星菜は小さく笑う。


(面白くなってきた)


 チャイムが鳴る。


「さて、と」


 星菜は立ち上がり、教室を出る。


(次は……放課後、かな)


 点と点が、少しずつ繋がり始めていた。




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