表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妹は魔法少女になりましたか?  作者: 吉本優
5月

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

72/95

第13話 疑心と暗鬼⑥





―――――





「……お兄ちゃん、行ってくるね」


 今夜もまた、月菜はニブラを退治するため、夜の外へ向かおうとしていた。


「さてと……魔力を使って……」


 訓練に訓練を重ねた結果、月菜は日常的に魔力を扱えるようになっている。

 身体能力の強化――それは彼女にとって、今や呼吸と同じくらい自然なものになっていた。


 最近では、こっそり玄関から出るよりも、窓から外へ抜け出す方が多い。

 タクローや周囲の視線を避け、素早く、誰にも気づかれずに行動する。その方が合理的なのだ。


「気をつけて行ってこいよ」


 月菜の部屋の外でタクローは月菜を見送った。


 静まり返った家の中で、タクローは小さく息を吐いた。


「……無茶だけは、するなよ」


 誰に聞かせるでもない言葉が、夜に溶けていった。





―――――





「本日は、私も出ます」


 月菜たちは、いつもの公園に集合していた。

 街灯の少ない一角。夜風が、木々の葉をかすかに揺らしている。


「私たちだけでも大丈夫」


「いえ。今日は《テラ・コア》の子が来る可能性が高いです」


 エヴァは端末を操作しながら、淡々と続けた。


「それに、あまり目立った行動を取ると……“彼ら”に目をつけられてしまいますので」


「……そう」


 陽菜は少し不満そうにしながらも、渋々うなずいた。


「……陽菜は納得してるみたいだけど、私はその“彼ら”っていうのが、いまだによく分からないんだけど……」


 月菜は腕を組み、眉をひそめる。


「まぁまぁ、月菜ちゃん」


 エヴァは苦笑いを浮かべ、やんわりと話をはぐらかした。


「これは……知ってしまうと、後戻りできなくなる情報なので。また、いずれの機会に」


「……なんか納得いかないよぉ」


 月菜が小さく頬を膨らませる。


「気を取り直して」


 エヴァは話を切り替えた。


「現在、ニブラが出現しているのは――市街地です」


「えっ……?」


 月菜は思わず声を上げる。


「今までは、人のいない場所ばっかりだったのに……」


「ニブラは、人の負の感情が具現化した存在です」


 エヴァは冷静に説明する。


「今回の反応は弱い。おそらく――生まれたばかりのニブラでしょう」


「じゃあ、早めに倒さないと……」


「はい。ただし」


 エヴァの声が、わずかに低くなった。


「人がいる可能性が高いので、戦闘は迅速かつ最小限でお願いします。一応、姿を消す魔術は使用しますが……万全ではありません」


 月菜は小さく息を呑み、拳を握る。


「……分かった」


「行こう」


 陽菜の声を合図に、三人は一斉に駆け出した。


 その瞬間――


 遠く、街の方向から。


 ――ざわり、と。


 空気が歪む感覚が、肌を刺した。


「……この感じ」


 月菜が足を止める。


「うん。間違いないね」


 陽菜も表情を引き締める。


 エヴァが静かに告げた。


「――ニブラ、出現確認。ですが……」


 一拍置いて。


「今までとは、少し様子が違いますね」


 街の灯りの向こうで、

 嫌な予感だけが、確かに蠢いていた。





―――――




「はぁ……はぁ……中々に手強いなぁ……」


 市街地。

 仮面をつけた少女は、複数のニブラに囲まれていた。


「それに……人がいるから、戦いにくい」


 ニブラは一般人には見えない。

 さらに彼女自身も、姿を消す魔術を使用しているため、戦っている姿が人々の目に映ることはない。


 それでも――被害を出さずに戦うのは、簡単ではなかった。


「ギギギ……」


 ニブラたちは生まれたばかりで、個々の力は強くない。

 だが、人々の間を縫うように動き、一般人の近くを狙ってくる。


 攻撃を躊躇えば、隙を突かれる。

 だが、強く出れば、人に危険が及ぶ。


「……厄介だなぁ」


 仮面の少女は小さく舌打ちした。


「速く倒さないと……また、あの子たちが来るんだけどなぁ……」


「いた!! ニブラっ!!」


「それに……仮面の子も……」


 その声を聞いた瞬間、少女は肩をすくめた。


「あー……ややこしくなっちゃうなぁ……」


 ため息混じりに呟き、仮面の少女は月菜たちの方へと視線を向けた。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ