第13話 疑心と暗鬼④
『すげぇっ!! 学園のアイドルは走るのも速いのかよ!!』
いつもの様に星菜の周りに人が集まって来た。
「あはっ、まぐれだよ。まぐれ」
星菜は謙遜したかの様に周囲に応えていた。
「陽菜、大丈夫?」
肩から息をする陽菜に月菜が近寄って来た。
「……魔力なしであの速さだなんて」
「魔力? 何を言っているの?」
すると取り巻きを潜り抜け、星菜も陽菜に近づいて行った。
「あははっ、あたしの勝ちだね、陽菜ちゃん」
「佐々木星菜……」
陽菜は悔しそうな表情で星菜を見つめた。
「だからフルネームで呼ばないでよ……それはそうと約束、ちゃんと守ってね!」
「…………黒」
「わぉ、意外と陽菜ちゃんセクシーだね」
星菜はニヤリと笑い、その場を後にした。
「??? 黒? どういう事?」
陽菜の黒という発言に月菜は戸惑いを隠せなかった。
「……月菜は知らなくていいよ」
「えー、なんか私だけ置いてけぼりにして話が進んでいる様な気がするよ」
月菜は不満そうな表情をしていた。
(せっかくのチャンスを棒に振ってしまった……でも、分かった事がある)
「月菜」
「何? また私に関係のない話?」
「違う。いろいろ話したい事があるから今日の放課後部室に集合で」
(佐々木星菜はただものじゃない)
―――――
「おー、月菜ちゃんのチームが勝ったぞ。タクロー、良かったな」
本日、数学の教師が不在の為自習となっている。
が、しかし、全員が真面目という訳でもないので、寝たり、スマホをいじったり、近くの奴と話している奴らが半数ほどいた。
俺の後ろの席の奴もその一人だ。
「そうだな。でも、今自習中だぞ。ちゃんと配られたプリントやれよ」
「そんなもんさっさと終わらした」
この勉強できる系の不真面目やろうめ……
「しかし、月菜ちゃん足速いなぁ。何で陸上部とかに入らないんだ?」
「それは知らん。月菜に聞け」
俺も運動神経がいい月菜が日本文化研究同好会に入部している事が、今でも信じらねんだよ。
「そして、星菜ちゃんだよな。最後の最後であんなに速く走るだなんて……番長の妹も伊達じゃないな」
「そうだな」
でも、チラッとリレーの様子を見ていけど、最後のあの加速は異常に速かったか気が……
「ちょっと、プリントが終わったからといって喋らないでよ」
隣のミアは真面目に自習していた。
「しっかし、どうみても星菜ちゃんが冥夜の妹だなんて信じられないよな」
「同じ血が流れているからって同じ性格になる訳じゃないぞ。そして、多分その星菜ちゃんは結構腹黒いぞ」
「えっ、マジ?」
「はぁ、ホントショージは女を見る目がないわね」
いつの間にやらミアも会話に加わってきた。
「さっきからあの子表情は笑っているけど、目が笑ってないわよ。それに陽菜に何やら耳打ちしていたし」
「そうだな。耳打ちされた後陽菜ちゃん少し顔が赤くなったな」
あれはアンカー勝負で何やら賭けをしていたのかな?
「おいおい、よくここから二人の表情が見えるな。俺全然分からんぞ」
「まぁ、視力2.0だからな」
「隣に同じく」




