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妹は魔法少女になりましたか?  作者: 吉本優


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4話:お待たせしました、妹です!



―――――


「やっと昼休みに入ったー! 昼飯だーっ!!」


 ショージは腹ペコのようだ。

 まぁ、俺も腹が減っているのだがな。


「田中さんも一緒に学食にいこうよ! 俺たちが案内するよ!」


 ショージはしれっと田中さんを食事に誘っていた。

 

「お誘いありがとうございます。この学園で学食を食べるのは初めてなもので場所がわからなくなったのですよ」


「おーい、ミアも食堂に行くぞー!」


 いつも俺、ショージ、ミアで学食を食べている。

 両親共に働いているから朝作る暇がないので、俺と月菜は昼は学食が主となっている。

 たまに俺が簡単な弁当を作る事もあるがな。


「はいはい、分かってるわよ」


 ミアは読んでいた本を閉じてこちらに近づいてきた。


「ではでは、本校の学食へご案内致しますのでこちらへどうぞ」


 ショージは田中さんをエスコートする為に手を差し出した。


「あはは、大丈夫です」


 どうやら引かれているみたいだ。


「ショージ、フラれたな」


「うるせー! これから好感度をあげてイベントを進めていくんだよ!」


 

 




ーーーーー


「ここが学食というものなのですね。凄く広い」


 うちの学園は中等部に給食というものがない為、弁当、売店、食堂で食べる生徒が殆どだ。

 それに伴いうちの食堂はバカ広い。


「うわー、席埋まってるわね。空いてるところあるかしら?」


『お兄ちゃーん! ここ空いてるよー!』


 少し離れたとこから月菜の声が聞こえてきた。


「おー、月菜。俺たちも一緒に食べて大丈夫か?」


「勿論大丈夫だよ! ねっ、陽菜?」


「うん、私は構わない」


 月菜は陽菜ちゃんと食べている様だ。


「いやいやー、ショージがお邪魔しますよー。美少女たちに囲まれてランチなんて俺は幸せだ」


「ごめんね、月菜ちゃん。こんなうるさい奴を連れてきて。後、この子は今日うちのクラスに転校してきた田中由里子さん」


「は、はじめまして? 田中由里子です」


「えっと、タクローお兄ちゃんの妹の月菜です。よろしくお願いします?」


 ……何故2人とも疑問系なんだ?


「エ……由里子、友達を作るの早いね」


「え、陽菜ちゃんは田中さんと知り合いなの?」


「あーっ、あーっ、私と陽菜は親戚なのですよ親戚!」


 田中さんは焦った感じで言い繕っていた。

 なんか複雑な事情でもあるのか?


「それよりもお兄ちゃんはいつも通り、唐揚げ定食なんだね! 私も今日は唐揚げ定食にしたんだ!」


 月菜は話をはぐらかす様に話題を変えた。


「そうだな、ここの唐揚げ定食はワンコインでこのボリュームで味も美味しいからな。毎日でも食べられるぜ」


「タクローは唐揚げが大好きだからな。唐揚げが恋人みたいなもんだな」


「そんなサクッとジューシーな恋人はいらん! が、唐揚げは大好きだな」


「じゃあじゃあ、今度私がお兄ちゃんの為に唐揚げを作ってあげるよ!」


「サンキュー! やっぱり俺の妹はサイコーだぜ!」


「このシスコンが……」


「妹を讃えてシスコンと言われるなら俺は別にシスコンでかまわん!」


「シスコンって何ですか?」


「私もその言葉知らないです」


 田中さんと陽菜ちゃんは頭にクエスチョンマークを浮かべているようだ。


「シスター・コンプレックスを略してシスコン。要は妹大好きって事だよ」


「なるほど、京田さんは月菜ちゃんの事が大好きなのですね! それは素晴らしい事です」


 何やら田中さんの中ではシスコンは素晴らしい意味で捉えてしまったらしい。

 いや、シスコンが悪い意味では無いとは思うのだけど。


「もう、お兄ちゃんったらそんな恥ずかしい事を公衆の面前で言ったらダメだよ〜!」


 月菜は何やら赤面してクネクネしていた。

 そんなに照れる事か?


「羨ましなぁ……」


 ボソッと陽菜ちゃんが言った気がするが、こう話しているうちに昼休み終了の予鈴が鳴った。


「あっ、次の時間は移動教室よ! 早く教室に帰って準備をするわよ!」


「おー、じゃ、月菜また放課後なー!」


「うん、今日一緒に帰ろうね!」


 たとえシスコンと言われて馬鹿にされても構わん、月菜は大事な妹なのだからな。

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