表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妹は魔法少女になりましたか?  作者: 吉本優
4月

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/94

10話 魔法少女になった日⑥





「エヴァ……やっぱり人違いだったんだね」


 茂みからひょこっと現れたのは、月菜と同い年ほどの少女。

 あきれたような、しかし落ち着いた顔つきだ。


「よ、陽菜ちゃん? なんでここに?」


「あの時、その子に魔具を渡した時から嫌な予感してたの。だって、そんな小学生が魔術の研究なんてしてるわけないもん」


「ち、小学生って……同い年でしょ!」


 月菜は心の中でむきっとしながら抗議した。


 エヴァは慌てた様子で必死に続ける。


「で、ですが! 魔力の質は本物です。年齢に関係なく、彼女は――」


「その話は帰ってから。ここで長話してる場合じゃないよ」


 陽菜の声色が一瞬で鋭くなる。エヴァも表情を引き締めた。


「え、ちょっ、急にどうしたの?」


「来る――ニブラが」


 その言葉に呼応するように、公園の奥の闇がぬるりと動いた。

 黒い影の塊。輪郭は曖昧で、赤い目だけがぎらついている。


「ひ、ひぃぃ!? な、なんか出たぁーっ!!」


「月菜さん、落ち着いてください。あれはニブラ――人間の負の感情が具現化した存在です」


「落ち着けるわけないでしょ!? こんなの!!」


 月菜が半分泣き声で叫ぶ中、陽菜はペンダントを、エヴァはカードを取り出していた。


「陽菜ちゃん、行きますよ」


「うん……いく」


 陽菜はペンダントをぎゅっと握りしめ、低く呟く。


「シャイニーパワー…オン」


 エヴァもカードを掲げた。


「セット……」


 瞬間、まばゆい光が二人を包み込む。


 光が収まると、エヴァは白と青の輝く衣装に、陽菜は太陽を象った紋章が輝くオレンジの衣装に変わっていた。


「す、すご……ほんとに変身してる……」


 月菜が呆気に取られていると、ニブラが甲高い咆哮を上げた。


『ギャアアアアアッ!!』


 黒い液体のような影が地面を侵食していく。


 陽菜が一歩前に出て月菜を振り返った。


「そこの子。絶対に動かないで」


「そこの子っ!? ……わ、分かった!」


 言い方にモヤっとしたが、今は従うしかない。


 隣で、エヴァがカードを構える。


「《ルミナス・バインド》! 陽菜ちゃん、今!」


「了解!」


 光の鎖がニブラを拘束する。

 赤い目が怒り狂うように揺らいだが、鎖はびくともしない。


 陽菜は地面を蹴り、空へ跳び上がった。


 剣に宿る太陽紋章がオレンジ色の光を帯びる。


(陽菜ちゃん……すごすぎる……!)


 月菜の目には、夜空に昇る一筋の太陽のように見えた。


「――《サンバースト・スラッシュ》!!」


 灼熱の光線が一直線に走り、ニブラの胸部を貫いた。


『ギャアアアアアァァァッ!!』


 黒い影は焼き払われ、煙のように空へ散って消えていく。


 影が侵食していた地面も、跡形もなく元に戻った。


「……た、倒したんだよね?」


 月菜が震える声で尋ねると、陽菜はこくりと頷いた。


「うん。あれくらいなら大丈夫」


「大丈夫じゃないよ! 何あの化け物!? ていうか陽菜ちゃん何者なの!?」


 月菜の怒涛の質問に、エヴァが変身を解きながら苦笑した。


「説明は家でゆっくり……。月菜さんが無事でよかったです」


 陽菜も変身を解き、静かに言う。


「怖かったよね。でも、もう安心して」


「いや……怖いに決まってるでしょ!!」


 月菜の叫びは、静まり返った夜の公園に空しく響き渡った。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ