2話:妹はお疲れの様です。
「こら、月菜。ご飯中に居眠りしたら駄目でしょ!」
月菜に勉強を教えた翌日、恐らくは日付けが変わる時間ぐらいに月葉は帰宅した様である。
そのせいのか月葉は朝ごはん中にも関わらずうとうととうたた寝をしていた。
「ふわぁっ!? ごめんなさい!!」
「月菜、頬っぺに米がついてるぞ」
月菜の頬っぺについていた米をとってやった。
「じーっ」
「……何で俺を見つめてるんだ?」
これはあれか? よく恋愛ものでいう頬っぺについた米粒をとったら食べるの法則か?
「パクっ」
「にこーっ」
なんだこれ?
「あんまゆっくり食べないのよー、学校に遅刻するわよ!!」
―――――
「それじゃあ、行ってきまーす!」
「はい、2人とも気をつけて行ってきてね」
いつも登校する時は月菜と一緒に行く。
いや、シスコンとかいう訳じゃなくて行き先も一緒だし、母からも『ちゃんと一緒に行って悪い虫が寄りつかないようにしなさい!』と言われついるからである。
まぁ、流石に月菜が嫌がれば別々に登校しようかと思うのだが。
「ふふふーん♪」
この通り上機嫌であるから別に一緒登校でいいかと思ってしまう。
「よう、お二人さん。相変わらず仲良し兄妹だね」
ニヤニヤ顔で近づいてきたのは平良庄司。
腐れ縁の同級生だ。
「おはようございます、庄司さん」
「月菜ちゃんおはよー、今日も可愛いね!」
「お前ニヤニヤしながら妹に話しかけてくんな。不審者に見えるぞ」
「イエスロリータ、ノータッチの精神だぞ。俺は美少女を拝む事はするが、触る事は絶対にしない!!」
「ロリって……」
紳士的な事を話しているが月葉はロリ扱いされて少しショックを受けているぞ。
「何朝から意味の分からない事を言っているのよ」
呆れ顔をしながらやって来たのは古木美亜。
同じクラスの学級委員長で学年で最も頭が良いと言われている。
噂では既に大学を卒業しているらしい。
「意味は分かるだろ、とにかく俺は美少女が大好きなんだよ!!」
「えーと、確か警察の番号は110で合っていたわよね?」
「そうだな、お試しで一回捕まった方がいいかもな」
「って、一度捕まったら前科がつくからお試しで俺を通報しちゃダメーーっ!!」
「まぁまぁ、簡単に前科をつけさせたら駄目ですよ」
クネクネして気持ち悪い動きをする庄司をフォローするなんて優しいな月菜は。
「通報するのは冗談よ。ただ、あんまり月菜を困らせたら駄目よ」
「アイアイサー! ガッテン正二郎!!」
本当に分かっているのか?
と、まぁいつもこんな感じで4人で学園まで登校するのが日課となっており、道中友達を見つけたらそっちの方に合流している。
月菜としては俺たち3人の掛け合いを見ているのが楽しいから途中まで一緒にいるとの事。
「あ、陽菜ちゃんだ。お兄ちゃん、また放課後でね!」
月菜は陽菜ちゃんの元にいってしまった。
月菜の友達である陽菜ちゃんは月菜とは正反対のクールな少女。
容姿も抜群で浮世絵離れした感じで中等部では月の陽菜と言われている。
因みに月菜は誰とでも仲良くできるコミュ力を兼ね備え、天真爛漫な性格である為、太陽の月菜と言われいる。
何か異名と名前が逆だと思うがな。
そして、陽菜ちゃんもどうやら魔法少女らしい。
ソースは月菜の電話でのやり取りで発覚。
こんか簡単に身バレしていいのか?
「ひゅー、やっぱあの2人が並ぶと絵になりますなぁ。恋をしてしまいそう」
「庄司に月菜はやらんぞ」
「冗談だって。ほらモタモタしていたら朝礼に遅刻するよ」
「アンタの無駄話が長いからでしょ!」
俺たちは月菜たちより少し離れた位置で登校した。
―――――
『新学期早々であるが転校生を紹介する」
すぐに終わると思われた朝礼だが、どうやら転校生がうちのクラスに来るらしい。
「タクロー、この時期に転校生だなんて珍しいな。まさか訳ありの美少女転校生だったりして」
「んな訳あるか。お前は転校生に夢を持ちすぎだ」
おそらくは家庭の事情で転校する事になったのだろうな。
大変だな。
『おーい、入っていいぞー』
「初めてまして、田中由里子と言います。どうぞよろしくお願いします」
ふかぶかと頭を下げた転校生にうちのクラスは……
「「「「うおおぉぉっっ!!!! 美少女だぁっ!!!!」」」」
歓喜に沸いていた、主に男子が。
「タクロー、本当に美少女がやって来たぞ!! ここから始まる転校生と俺のラブロマンスが」
「そんなもんは起きねーよ。それよりもっとツッコミたくなる点があるだろ」
転校生の名前は田中由里子と言ってたな。
名前だけ聞いたら日本人と想像できるが、黒板の前に立っている奴は明らかに何かおかしい。
何故なら金髪青眼で顔つきも明らかに日本人には見えない。
ハーフか親が帰化した可能性も考えられるが明らかに怪しい雰囲気を醸している。
『じゃあ、京田の隣の席が空いているからそこに座って』
「はいっ!」
田中と呼ばれる女がこちらに近づいて来た。
「えっと、よろしくお願いしますね」
100点のスマイルで俺に挨拶をして来た。
「よろしく!! 何でも俺に聞いてねっ!!」
返事は俺でなく何故か前の席に座っている庄司が返事をしていた。
「あはは、よろしくお願いします……」
あちらさんも思わず苦笑いであった。




