兄との再会
セリアの姿をみつけたのはレプセント軍の騎士だ。
「セリア様?」
その騎士は、後ろにいるケイトリアを見ると駆け寄って来た。
「よくぞご無事で。すぐに案内します」
セリア、ケイトリア、ルドルフの3人は騎士に連れられて隊の中を進む。
多くの騎士がケガをしている姿が目に付く。
すでに連絡が言ったのか、ユージェニーが駆けてきた。
「母上、セリア!」
ユージェニーが二人を抱きしめると、横からルドルフが声をかける。
「戦闘中の軍隊にお連れして申し訳ありません。
どうしても、至急にお伝えせねばならないことがあります」
ルドルフが礼をすると、ユージェニーは視線を動かす。
「二人を守ってくれたことに感謝する。貴殿は?」
「ルドルフ・ドワルガーと申します」
顔を上げたルドルフとユージェニーの視線が混じる。
「こちらに来るがいい」
ユージェニーが3人を会議を開いているテントに連れて行くと、チェイザレとアンセルムがいた。
「ルドルフ、セリア!」
どうしてここに、と思わず表情にでたチェイザレである。
「挨拶は後にさせていただきます。後方から敵軍が侵攻してきます。姿を確認しました」
ルドルフの言葉に、アンセルムが立ちあがる。
「予想はしていたが、思った以上に早いな」
「そして、その兵士達は麻薬を使用しています。兵士の多くが虚ろな表情で僕達が忍び込んでも気がついていたかどうか・・・。以前調べた中毒状態の騎士、というものでしょう」
ルドルフはチェイザレとホルグブロウ王国で諜報していたのだ。その時に麻薬中毒者の状態は見ている。
「待ってくれ」
ユージェニーは、ルドルフの話を止め、3人を連れてきた騎士を見ると、騎士はテントの外に出て行った。
「セリアと母上にはすぐにテントを用意する。ゆっくり休んでください。
女性がいないので、安全確認をしますから、少しお待ちください」
「セリア」
チェイザレがセリアの手を取る。
「あの屋敷で待っていると思ってたが?」
「王家に見つかってしまったみたいなの」
そう言われれば、チェイザレも納得するしかない。
だが、続くセリアの言葉に驚きのあまり、立ち上がる。
「ホルグブロウの軍隊に、山で取ったキノコを食べさせようと」
「待て!! 敵軍に忍び込んだだと?」
チェイザレがルドルフを見ると、ルドルフは肩を上げた。
それから隣国で見つけた軍の話になり、キノコの事にはアンセルムが吹き出した。
「戦時中に、こんな話を聞くとは思わなかった。
たしかに、麻薬で操られていても、下痢をしていれば兵士達も動きが鈍くなるだろう」
しかも、山で適当に採取しただと?
下手すれば、下痢どころか命の危険のあるキノコもあるかもしれない。
食料庫にあるからと簡単に食すだろうか?
テントの準備ができて、セリアとケイトリアがいなくなると、それからが男達の本気の馬となった。
ルドルフも参加して、背後から来るホルグブロウ軍との交戦を考える。
数はホルグブロウ軍の方が少ない、イグデニエル軍より先にホルグブロウ軍を叩き潰すべきか。
アンセルムがイリオスから届いた手紙の内容を話す。
テントでは、セリアとケイトリアが話していた。
「お兄様、ご立派になられてましてね。
」
「ええ、レプセント家の当主として申し分ないわ。
セリアはチェイザレ殿下とあまりお話されなかったけど、いいの?」
「元気な姿を見れただけで十分です。
今は戦闘中なので・・・」
セリアもチェイザレと話をしたかったが、デートに来たわけではないのだ。




