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夕陽が沈む国のレプセント  作者: violet
セリア・レプセント
42/91

シェルステン王国

シェルステン王国に入ったのは4日後で、そのままシェルステン王国の王都に向かった。

そして着いたのは、城だった。


「ねぇ、チェイザレ、これ屋敷ってサイズじゃないわよね?」

レプセント辺境侯爵領の居城だって、もう少し小さい。

家に着いたとチェイザレが言うから、馬車から降りたら、城だったのだ。

チェイザレとルドルフが貴族だろうと思っていたが、言葉使いや行動から貧乏貴族だと思っていた。


チェイザレとルドルフを確認した衛兵が敬礼をするのだ。

唖然とするセリアの手をチェイザレが握る。

「俺達、恋人になったんだよな? 押しかけ奥さんになってくれるんだろう?」

からかうようにチェイザレが言えば、セリアは後ずさる。

「あの・・。貧乏貴族の次男か三男で、傭兵の仕事をしながら放浪しているのかと思ってたから」


「あはは!」

ケイトリアを運び出そうとしていたルドルフが笑いだした。

「よかったな、チェイザレ。お前の肩書ではなく、お前本人を好いているらしい」

ルドルフは馬車からケイトリアを抱き上げると、城に入って行く。

すでに連絡がついていて、ケイトリアを寝かす部屋の準備は出来ているようだった。


「両親には嫁を連れて行くと連絡をしてある。今更、逃げれると思うなよ」

チェイザレが引きずるようにセリアを、城の中に連れて行く。


「ご両親は、ここで働いているの?」

使用人であって欲しい、と願いながらセリアは確認する。





「ああ」

チェイザレの答えに、セリアはホッとしたがすぐに打ち砕かれる。

「王と王妃の仕事をしている」


ええええええ!

「この人、この言葉使いで王子様!?」


「声に出てるぞ」

苦笑いしながら、チェイザレはグイグイとセリアを引っ張って行く。

「次男だがな。まず両親に事情を説明せねばならん、部屋に案内するのはその後だ」


「はぁ、良かった。チェイザレが長男だったら、この国どうなってるの、って心配するとこだったわ」

もう今更不敬罪もないだろう、とセリアはいつもの調子で話す。


「ハハッハ!これは面白いな」

ルドルフとは違う笑い声がして、セリアは声のする方に顔を向ける。


「兄上、こんなところに来られるなんて」

チェイザレが兄上と呼ぶという事は、王太子なのだろう、とセリアは腰を落としドレスの裾をつまんでカーテシーをする。


「3年ぶりに戻ってきた弟を迎えに来たのだが、これはこれは、可愛い令嬢ではないか。顔を上げよ」

王太子に声をかけられて、セリアは顔を上げるがカーテシーをしたままだ。

辺境侯爵令嬢として、マナーは徹底的に身に付けさせられた。母や姉の美貌に劣るというだけで、セリアも人並み以上に美しく若い令嬢である。


「ほお、美しいな。愚弟にはもったいない。楽にしてよいぞ」

王太子の許可が出て、セリアはカーテシーをとく。

セリアを観察していた王太子は、セリアが高位貴族の作法が身に付いていると判断する。


こちらだ、と王太子が歩みを進めれば、チェイザレとセリアはその後に従う。その周りを護衛兵が囲み、これは王城で間違いない、とセリアは溜息をつきたくなった。


王と王妃が揃っていたのは謁見室ではなく、王家のサロンだ。

得体の知れない娘をサロンに入れるなど、危険すぎるとセリアでさえ思う。謁見室と違い、サロンでは距離が近い。

こんな息子がいる王家というのが、少しわかった気がする。自分が知る王族たちとは、この国は違うらしい。セリアはチェイザレが第2王子と聞いた時に考えた事がある。 この人は他国の情報を集める為に、各国を回っていたのではないか? それは、王を見て確信に変わる。

ここで身分を隠そうとしても無駄だ。自分には母親を守らねばならないのだ、とセリアは覚悟して本名を名乗る。

「セリア・レプセントと申します」

足先にまで神経を集中して、美しいカーテシーを披露する。


「これは、美しいな」

王が感嘆の言葉を口にし、王妃、王太子が同意する。


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