6
ぼくはブラインを許さない。
何故かって?
1つ目、ものすごい速さで森を抜けるブラインを追いかけさせられたこと。
「入るときに夜だと面倒くさいからな」
「やってやんよ!」
絶対にあの速度で走らなくても余裕があった。
めちゃくちゃ疲れた。
2つ目、突然消えたこと。
「城壁都市だぁ」
とぼくがアホ面晒してる間に
「後はうまくやれ」
と言って消えやがったのだ。
「故郷から出てきた旅人なんです」
と誤魔化しはしたがヒヤヒヤした。
その後、ケロッと出てきて殺意が湧いた。
3つ目、ぼくを他人に押し付けて消えたこと。
ちょうど今ここだ。
可哀想な友達第2号ケモミミ少女のジェットはフリーズしてしまっている。
「よし、次にあったら一発殴ろう」
「暴力は……よくないですよ?」
フリーズは解けたみたいだな。
「ブラインっていつもあんな感じなんですか?」
「さあ?」
「……え?」
「分からないですね」
「もしかして、親しくもない人に押し付けて行きやがった?」
「あ、多分そういうわけじゃなくて」
「……?」
「とりあえず、中へどうぞ」
言われるままに家に入る。
座るように言われた椅子に座れば、
反対側に座ったジェットが口を開く。
「私、多分……」
「多分?」
「記憶障害かなんかで、記憶が不安定な状態なんだと思います」
ドヤ顔である。
「記憶障害?」
「いろんな事が思い出せなかったりするんですよ」
ブラインはそんな人にぼくを押し付けて行ったのか。
許さないポイント追加で。
「治せないんですか?」
「なんか心の中でこれは治らない物な気がするんですよね」
「つまり、覚えてないだけでいろいろ試したことがあるってことです?」
「おそらく」
「そうですか……」
まあ、ぼくにできることはないな。
静かな空気の中、ノックの音がなる。
「ジェット様、ただいま戻りました」
「おかえりなさい、クリファ」
「なっ」
クリファと言うらしい黄色のショートヘアの女性は、
ぼくの方を指さしながら叫ぶ。
「お前、何者だ!」
「レイと申します」
「この子、ブラインから預かることになったの」
「それはつまり、クリファのジェット様との2人きりの生活がおびやかされるということですか?」
クリファから明らかに殺意を感じる。
「仲良くしてくれたら、またナデナデしていいよ」
「クリファは仲良くします!」
殺意が一瞬で消えた。
チョロそうな奴が増えたな。
「ありがとう、じゃあこの子に街を案内してくれる?」
「え、クリファのジェット様との時間……」
「案内してくれたら、1回だけ何でもしてあげる」
「な ん で も?」
なんか、さっきとはまた違う意味で怖い顔をしていた気がする。
「後はよろしくね、クリファ」
「はい!クリファは案内してきます!」
クリファがぼくの手を掴んで引っ張っていく。
「ふぇ」
「ほら、さっさと行きますよ!」
「あ、はい」
ニコニコと手を振っているジェットに見送られ、
ぼくらは街へと繰り出すことになった。
多分読まれてるっぽいのです?
ちゃんと責任持って完結させないとですね