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研究所の外は森だった。
秘境ってやつかな?
「……トモダチハ?」
「いや、知らねえよ」
ぼくは膝から崩れ落ちた。
「あー、近くの街に行くか?」
「ガバッ」
「お前、いつもそのセルフ効果音やるのか?」
「ブライン、ありがとうございます。
この恩は一生忘れません」
チョロいな
「これ、もしかしなくてもハメられたか?」
「チッ、流石に気づいたか」
「おい、聞こえてるぞ」
「ブライン、街へ行きましょう」
「はぁ、分かったよ。
ちょっと待ってろ、準備してくる」
やっぱりチョロかった
ブラインに右手と左手に腕輪をつけられる。
「なんですか、これ?」
「右手の腕輪が勇者の能力、
左手の腕輪が吸血鬼の能力を封じる腕輪だ」
つまり、拘束具か。
「まあ、いいでしょう」
「おい、お前勘違いしてるだろ」
「何を?」
「今から行くのは人間の街だ」
「……?」
「そのままだと捕まるぞ」
「……!」
「なんなら、吸血鬼だから殺されるな」
そういえば我々は人類の敵でしたね。
ぼくは能力を封じたらただの人間になるってことね。
「ブラインはどうするんです?」
ブラインだって吸血鬼のはずだ。
「俺は仮面とフード被れば余裕よ」
「それはフラグですか?」
「ていうか俺は何度も行ってるんだよ」
「ふーん、なら行きますか」
「ついて来い、はぐれんなよ?」
そうして、初めての遠足が始まった。