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魔族軍対勇者特別研究所のたった1人の研究者、失われた時代からの最古参、引きこもりの吸血鬼……
そんなブラインは新たに来た被検体に心を躍らせていた。
勇者は天使になるという仮説を確かめられるかもしれない。
「対勇者兵器として勇者を1から育てる研究」
正直に言うとそれに関して、最初は乗り気ではなかった。
相手はまだ子供だ。
治療してやるのはいいが、俺は天使に関する研究で忙しい。
それに、こいつは不完全だ。
強さは他の勇者には劣っている可能性がある。
しかし、
「お前を対勇者兵器に改造させてもらう」
と言ったら
「いいね、できる限り協力するよ」
と言われた。
理由を聞いたら
「強くなった方が選択肢が増えるでしょう?
少なくとも、ここで抵抗する理由はない」
と笑っていた。
少しくらいなら手伝ってやってもいいかもしれない。
そうと決まれば、強化案はいくつかある。
とりあえず、完全に吸血鬼にするために俺の血液パックを飲ませよう。
俺はこれでも最強の吸血鬼、運がよければ吸血鬼として覚醒するかもしれない。
しかし、1つ問題点があった。
血液は不味いのだ。
吸血鬼になったからといって、血が美味しくなるとかそういうことはない。
俺でさえ、あの鉄みたいな独特の味にいまだ
に慣れない。
……まあ、杞憂だったが。
「意外と冷たいんですね」
とか言って飲んでいる。
最強の吸血鬼よりも吸血鬼らしい勇者がそこにいた。
頭おかしいんじゃないだろうか。
だが、この時のブラインは知らない。
これからもっと頭おかしいことをされるという事を……
これって誰かに読まれてるんですかね?
まあ分からないし、気にしないのです!