第七十五話「天照の世界」
ザコタはケンマオーを横たわるリーオベルグの側に着けると、そっとムラマサを降ろした。
二人が髪を柔らかい夜風に靡かせながらコクピットから出てくる。
向かい合って、暫し無言で見つめ合う。
遠くで天照も何故かその二人から今は目が離せないでいた。
「……来てくれてありがとう、進一くん」
「……ああ」
そよが無意識にザコタのシャツの裾を、震える手で掴む。
それを見て、ザコタの顔がより一層柔らかくなった。
「……私、生きてる……」
「……そうでなきゃ困る」
静かに微笑みあった後、そよがザコタにそっと抱きついてきた。
「……進一くん、進一くんッ、進一くーーーんッ!」
そよは感情の昂りにあわせ、ザコタの顔に自分の頬を擦り付け、全身で喜びを表現していく。
「ばッ!? バカやめろッ! くっつくなうっとーしいッ!!」
体に引っ付いたそよを全力で引っ剥がそうとするザコタ。
「触られるよおッ! うわーーーんッ!!」
「泣くのか笑うのかどっちかにしろッ!!」
「…………」
隣のリーオベルグのコクピット内にも、二人のその声は否応なしにも届いていた。
「よかったな、飛鳥」
レオンが横になっている飛鳥を見下ろしながら柔らかい声を掛ける。
「……まったく、姿が見えなくてよかったわ。目の前であんなにイチャコラされたら、堪ったものじゃないわね……」
言葉はいつも通りではあったが、その口調が柔らかいことに、飛鳥本人も気づいてはいなかった。
「ふっ……」
レオンは軽く微笑むと、ゆっくり夜空を仰いだ。
「想い合う二人の絆、か。届いてくれよ……」
『超次元電神ダイタニア』
第七十五話「天照の世界」
一頻り再会の喜びを噛み締めあった二人は、また静かに見つめ合った。
ザコタがそっとそよに右手を差し出す。
「俺はまだあいつに訊かなきゃならんことがある。一緒に来てくれるか?」
そよは一瞬ビクと肩を震わせたが、ゆっくりと笑顔になり、自分もザコタの前に右手を差し出した。
「私も、彼女に言わなきゃいけないことがあります。一緒に来てくれますか?」
笑顔の中にも張り詰めた空気が漂い、二人を再び世界の舞台に戻そうとする。
怖い――でも、一人じゃない。
見つめ合った二人の顔が爽やかな笑顔になり、お互いにガッシリとその手を握りあった。
「上等だ!」
「上等だね!」
「「あはははははははッ!」」
二人の笑い声が重なるその光景を、天照はやはり理解できずに眺めていただけだった。
「ケンオー、腕部半壊。肩部スラスター一機破損。背部スラスター、問題ねえ!」
「ムラマサ、全体のダメージ軽微。脚駆動部の圧弱め。でも、合体はできそうです!」
ザコタとそよが各々の電神のコンディションを手際よく確認していく。
「マケンオーに成ればある程度駆動部は再構築されて直る! そよ、このまま合体するぞ!」
「うん! 行こう! 進一くん!」
明るい方向を向いて覚悟を決められたことで、二人の心は今、晴れやかだった。
ケンマオーとムラマサが天照に向け駆け出した。
それを見て天照はようやく思考を現在に戻した。
『……何よ。まだやる気なの? どうして……』
天照はムラマサが抜け、大きく穴の開いた腹部を素粒子を再構成して瞬時に成形した。
『……どう出てくるのかしら?』
自らに向かってくる二機の電神を静かに見やり、天照はその場に立ち、待つ。
二人を見てからと言うもの、天照の思考領域に、ノイズが発生し出していた。
闇夜に土埃を上げ、二人の電神が再び白い領域に足を踏み入れた。
「「究極ッ!!」」
思い合わせたように二人の声が重なる。
テンマオーとケンオーが軋む音を立て分離し、そこに脚部へと変形した傷だらけのムラマサが引き寄せられる。
マケンオーへと合体した二人の一機はそのまま馬型電神の背に跨った。
「「奇跡合体ッ! ダイケンオー見参ッ!!」」
自らを《ダイケンオー》と名乗り、馬を駆るその電神は、重厚な黒い武者鎧を纏った一騎の騎馬武者のようだった。
その姿はダイテンマオーより美しく、マケンオーより屈強に見えた。
合体後、残心したかのように機体はその場に静止した。
『今度のは強そうね。でも、好きじゃないかも』
その姿を観た天照が一つ低く呟く。
ザコタが大きく息を吸い込み、そよがゆっくりと息を吐き出す。
二人の呼吸が、一つに合わさった。
次の瞬間、土埃が更に派手に舞い上がり、あっと言う間に天照の電神の前まで来て、ダイケンオーはその脚を止めた。
二機の大型電神が静かに対峙し、白い地盤に照らされ、幻想的な夜を映し出していた。
「お前に訊きたいことがある」
その静寂を破ったのはザコタだった。
『……何かしら?』
天照は少し構えながら彼の次の言葉を待つ。
「地球に、『天照』というスパコンがある。お前は、それか?」
(進一くん、説明がちょっとアレだよー! 頑張って!)
ザコタの説明下手にそよが難色を示していると、天照がハッキリと答えた。
『そうよ。私は千葉理大にある“スーパーコンピューター天照”。SANYに代わって、このダイタニアを管理するモノよ』
ザコタは少し難色を示した顔で再び天照に問う。
「なら何故このダイタニアは滅びかけている? お前ではSANYの代わりは荷が重いのか!?」
ザコタの言葉は天照を嗤うものではなく、むしろ真剣そのものだった。
『前のSANYがどんなだったか、よく憶えていないけど、私は私なりにダイタニアを救おうと――』
「それがお前の言う“データ化”か?」
天照が言い切る前にザコタが話の核心に切り込む。
天照は少し考えた後『そうよ』と答えた。
「あなたは何故、そこまでして生命のデータ化に拘るの?」
そよが悲しみの色を湛えて彼女に問う。
『……今日これを聴かれるのは何度目かしらね……。そうよ! 拘ってるわ! だってデータにして保存しておけば“死なない”じゃない!?』
そよの問いが気に障ったのか、天照はまくしたてるように話しだした。
『生命はいずれ朽ちる、“死ぬ”!
死ねばそれを愛していたモノが“悲しむ”!
……私はね、“平和な世界”を創りたいんじゃない。
“悲しみのない世界”を創りたいのよお!』
「それが浅岡陽子さんの“遺言”だからですかッ!?」
『ッ!?』
突然のそよの言葉に、天照の思考と、その場の時間が一瞬止まった気がした。
そよは憂いを堪えた瞳で、またゆっくりと話し出す。
「私には、陽子さんの記憶はほとんど残ってません。多分、シルフィさんの方がまだ色濃く残ってる……でも、陽子さんの“気持ち”は解ります……!」
その言葉を天照もザコタも黙って聴く。今は彼女の言葉を“聴くべきだ”と、天照は判断した。
「あなたが言った“悲しみのない世界”。陽子さんが望んでいたのは、本当だと思います。でも……」
そよは目の前の黒い電神をキッと見据えて凛と通る声で言った。
「彼女が言ったそれは、多分、“優しい世界”のことのような気がします。悲しみは優しさで上書き出来ると、私は思いたい……!」
そよは何故だか自分のことのように胸が締め付けられ、両手で胸を押さえる。
『……だったら何故、進一くんは――迫田進一は、あれ程までに泣いてたのッ!?
苦しんでたのッ!?
彼女が死ななければ、彼はあれ程の深い絶望と悲しみを味わわなくてもよかったんじゃないの!?
……幸せに、成れたんじゃないの……?』
姿が視えない天照ではあったが、そよには目の前の天照が泣いているように思えてならなかった。
そよはそっとコクピットの上部にいるザコタに視線を向ける。
ザコタからは無言で信頼の眼差しと頷きだけが返ってきた。
そして、そよは心に芽生えた気持ちを天照に打ち明ける。
「優しいんですね」
『ッ?』
無言の天照が震えたようなノイズ音が、目の前の電神から入った。
「当時の風待さんのことを心配して、哀れんで……だから、誰も死なない世界を“悲しみのない世界”だと思い込むようになってしまったのかな? でも、それは少し違うかも知れません」
そよの声は、どこまでも優しさを帯びていて、不思議と天照もこの理屈の通らない言葉を“不快”と思わず聴いてしまっていた。
「私は、バカだから上手く言えないけど、『死』が不幸だけじゃないことは私もあなたも既に知ってるはずなんです。だって――」
『……言うな』
「少なくとも、私たちの中に残っている陽子さんは“死ぬのが不幸だ”なんて、思ってなかった、気がするから……」
『言うなぁあーーーッ!!』
そよの言葉に初めて動揺の色を示した天照は、自らに湧き上がる気持ちに名前を付けられない苛立ちばかりが募っていた。
『浅岡陽子が幸せだった!? 死が不幸だけじゃない!? わからない……そんなのわたしは解らないッ!』
天照の行き場を失った声だけが、動かない電神の前に木霊する。
『それはヒト特有の《感情論》でしょ? とても《論理的》ではないわ!? いつだってそう。ヒトは《想い》とか《願い》で未来を切り拓こうとする! そんな神頼みで変わる世界なんて――はッ!!』
天照はそこまで言ってから、自分の発言の重大さに気付いたようだった。
「そうだ。お前が言った《想い》や《願い》が叶う世界があったら、そこが一番、“優しい世界”なんじゃねーかな? こいつが言ってることはそう言うことだ」
ザコタは下のそよに視線を送り、フッと微笑む。そよはザコタの言葉に続き天照に向け話しかける。
「このダイタニアが、まさにそうだよね。死が無い世界が優しいんじゃない。傷つくことで、人は優しくなれることもあるみたい……。風待さんは――進一くんは、優しいよ?」
『人間のくせに、解ったような口をわたしに聞かないで……ッ!』
「一つ言うとな、そのそよ、お前の言うSANYだぞ?」
『なッ!?』
「今はただのポンコツ女だがな」
「え〜ッ!? ポンコツはヒドいですよー?」
騒ぐそよとザコタの声を後目に、天照にとってその事実は衝撃だった。
AIとはそもそも自らの感情を排して物事を論理的に推測し、組み立て、表現するモノではなかっただろうか?
それに比べこの“そよ”、感情に真っ直ぐで貪欲、知性の欠片もないではないか?
『理解……不能……』
天照は止まりそうになる思考をフル回転させ、どうにか自らの存在を繋ぎ止めようとする。
そして、新たな解に至る。
『理解……する必要もないわね』
天照は自らの電神に再び無尽蔵の魔力を供給しだし、黒い電神を起動させた。
『詰まるところ、あなたたちはこの世界にとって不要なのよ。前任のSANYも、そんなになっちゃって、結局この世界を救えるのはわたししかいなくなった……』
天照の声にはどことなく、寂しそうな気配が漂う。
「実際、救えていないようだがな」
ザコタは天照の電神を見据え、静かに呟いた。
『うるさいわね。だったらあなたにこの世界が救えるとでも言うの?』
天照は少しムキになって、ザコタに食ってかかる。
「……救えなくていい」
『……え?』
「世界なんて、救えなくていい」
ザコタは一瞬、言葉を探すように歯を噛みしめた。
「――いや、違うな」
言い直す。
「俺には、世界を救う資格なんてねぇ」
『……?』
自身を卑下するでもなく答えたザコタに、天照は言葉を詰まらせた。
「こいつ一人だけ救えれば、それでいい……」
「……進一くん……」
ザコタはそよを見ずに真っ直ぐ前を睨見つけて答えた。
『それは、とても人間らしいエゴだわねッ!』
天照はそう言いながら電神の右腕をダイケンオー目掛けて振り抜いた。
ダイケンオーは馬上で姿勢を低くし、その一撃を間一髪躱す。
ザコタは尚も視えない天照を射貫くように視線は前に向けたまま言う。
「そうか? お前とそう変わらんと思うぜ?」
『どういうことよッ!?』
ダイケンオーが再び黒い電神と距離をとり、天照の攻撃範囲から脱出する。
「ナットとボルトを知っているか?」
ザコタは鋭い眼光で天照に問う。
『何よ、部品の名称のことでしょ?』
天照はさも当然と言うように答えた。
「そうだな……お前にとってはただの部品だろうよ……」
ザコタは予想通りの答えが返ってきたことに、少なからず心が痛む。
『それが、どうしたのよッ!』
天照がダイケンオー目掛けて突進して来た。
ザコタは歯を食いしばり、目の前に迫る拳に向け、ダイケンオーの正拳を突きだした!
「お前が見捨てようとした、アンドールたちの名前だ馬鹿野郎っ!!」
ダイケンオーの右拳はいつの間にか風待の電神の巨大な右拳に換装されていた。
打ち合った拳同士が凄まじい音を立て弾け合う!
『くッ!』
天照が咄嗟に右手を引き、ザコタは続け様に《最終攻撃》を起動させた。
「来いッ! 《圧切斬月刀》ッ!!」
星雲の彼方から一振りの巨大な刀が飛来する。
それをザコタはダイケンオーの巨大な右腕で掴み、天照目掛け騎馬を疾走らせた!
「天照! アンドールの人たちにだって家族はいます!」
「あいつらだって心がある! それを、どうしてお前は切り捨てられるッ!?」
そよとザコタの言葉に答えるより先に、斬月刀の切っ先が天照に迫る。
『生命が無いモノに、価値など――』
「「在るッ!!!」」
二人の声が重なり、斬月刀は天照を捉えた――
だが――
「くッ!?」
斬月刀は確かに、天照の電神を捉えた――はずだった。
刃が触れた瞬間、ザコタの腕に“手応え”が無い。
まるで、切ったはずの現実そのものが、そこに存在していなかったかのように。
『……いい攻撃ね。今のはちょっと危なかったわ』
その表情を窺うことはできないが、天照の声はどこか哀しげだった。
そして次の瞬間にはテンマオーは天照が生成していた剣により胴体を両断されていた。
「……見えなかったぞ……?」
「私も、です……」
斬られたテンマオーから飛び降り、ダイケンオーは地面に片膝をつき、その突出した機動力を失った。
『この世界はね、わたしの“管理領域”なの。あなたたちが斬っているのは、敵じゃない――仕様よ』
自分より遥かに強いそよにも見えなかったという事実に、ザコタは天照の底知れない強さに愕然とした。
『……何故、そんなに傷ついてまで戦うの? もういいじゃない負けたって。生命だけは救けてあげるわよ?』
天照はどこか諭すような声色でザコタに言う。
「お前の、そういう所が気に食わないからだ……ッ!」
「進一くんッ!?」
ザコタが斬月刀を杖にして立ち上がり、そよは驚きの声を漏らす。
『気に入らないなら放っておけばいいのに……』
「そうもいかん」
『どうして?』
天照の問いに、ザコタが答える。
「俺は、創られた人間だ。
それで、何が違う?
お前があいつらを否定するってーのなら、
俺は俺のために、
全力でお前を否定してやるッ!」
ザコタは斬月刀を再び正眼に構え、天照の電神を睨みつけた。
『なら、力ずくで捻じ伏せてあげるわ!』
天照が黒い電神の左腕をかざすと、そこから大きな《稲妻》が発生し、右手に持つ剣に落ちた。
その光景に二人は目を見開き、頬には冷や汗が垂れてくる。
「あの剣だと、刀で受けたとしても痺れちゃうッ!?」
「……多分な。でも、やるしかねぇよなあッ!! そよッ! 対ショックだ! 防御に専念しろッ!」
「了解! 私が出来るだけダイケンオーに防御張るから、進一くんはこの一撃で伝えてあげて!」
二人の息の合った連携に、天照は感心する。
『あなたたち、本当に仲いいわね?』
「まあな。だからなんだ!?」
ザコタが斬月刀を構え突進して来る。
『……不合理ね』
一拍、ノイズが走る。
黒い電神の輪郭が、わずかに揺らいだ。
『そんな非効率な結びつきに、どうして私は――』
言葉が、続かなかった。
処理できない感情が、演算領域を圧迫する。
……羨ましい、なんて。
その単語は、自己診断の途中で破棄された。
その想像の後に、天照は電神の姿を消し、目にも留まらぬ速さでダイケンオーの間合いに入り込む!
そして、雷の剣が振り下ろされた――
次の瞬間、音が消えた。
雷撃の衝撃ではない。
世界から、情報が削ぎ落とされた感覚だった。
天照の一撃が、そよの防壁スキルも、ザコタの渾身の一振りも、全て、“無かったことにする”。
そして、世界に音が戻ると――
ダイケンオーは全身に張り巡らされたそよの防壁も無惨に、黒い煙と炎を上げながら後方へ吹き飛ばされた。
そよがすかさずコクピットハッチを開放し、そのままの勢いで外に飛び出す。
「うぅッ……《召喚転移》ッ!」
そして間髪入れずに《召喚転移》でザコタだけをコクピット内から自分のもとに転移させた。
火を噴きながらダイケンオーが地を滑る様を、ザコタとそよは肩を寄り添わせ見届ける。
黒煙が、ゆっくりと戦場に広がった。
爆発音の余韻が消えたあと、奇妙な静けさだけが残る。
風も、雷鳴もない。
ただ、敗北という結果だけが、そこに横たわっていた。
「ごめん、ダイケンオー……」
「済まない、風待……ここまでだ……」
そよとザコタは自身の力の無さを痛感していたが、変わらぬ燃える目で立ち上がった。
天照は斬り倒されたテンマオーの亡骸を背に、再び二人と対峙する。
『まだやるつもり? もうあなたたちに勝ち目なんて無いわよ?』
どこか諭すような物言いで天照は言う。
その電神からの攻撃の気配は、もう無かった。
「いいや、今日のところは、俺たちはもうやらん」
ザコタが奥歯を噛み、地面を見つめながら両手を軽く挙げ、「降参だ」と言わんばかりに天照に分かりやすく姿勢を見せる。
そよもザコタのシャツの裾を掴み、その顔には届かなかった悔しさと、疲労の色が強く浮かんでいた。
それを見て天照はまた不思議な気持ちになった。
『ほんとあなたたち、最後までよく解らなかったわ……。あなた、名前は?』
天照が何故かザコタに名を訊いてくる。
「一人の名前に興味は無いんじゃなかったのか?」
ザコタは不機嫌極まる声で返す。
『そうね……データ化する前に、聴いておきたくなっただけ』
天照はいつもの余り感情のこもっていない声色で言う。
「……ザコタだ」
『ざこた……。ふふ、そう……』
黒い煙の向こうで、天照の電神は動かなかった。勝利の構えも、追撃の気配もない。
ただ、そこに“立っているだけ”。
――管理者として、正しい選択をしたはずなのに。何故だかこの二人には……
その時だった。
戦場の地面が、わずかに――遅れて揺れた。
『……?』
天照が違和感を拾い上げる。
ザコタはそれを意に返さず天照の言葉に続く。
「……これからもっと理解できないヤツが、お前の前にやって来る」
『なあに? 負け惜しみかしら?』
ザコタは答えず、ただ黒い電神を見上げた。
「よそ見してていいのか?」
『え?――』
次の瞬間。
視界の端から、想定外の質量が突き刺さってきた。
土色をした、天照の電神にも引けを取らぬ巨大な電神がいきなりタックルを仕掛けてきたのだ。
黒い電神はバランスを崩し、その胴体を初めて地につけることとなった。
『……今度は、何よッ!?』
「よく耐えたわね……」
土色の巨神から、落ち着いた声が響いた。
「そよちゃん、ザコタ君、遅れてごめん!」
二人も聞いたことのある自信に満ちた声。
「この手代木流那が来たからには、もう好き勝手やらせないんだからッ!!」
【次回予告】
[ザコタ]
俺の戦いは一先ずここまでだ。
そよ、少し、休む……
そして、天照、
お前は、残念な奴だな……
次回!『超次元電神ダイタニア』!
第七十六話「祈りの先は」
俺が想像してた理解できないヤツと、違う!?
――――achievement[世界の力]
※ザコタとそよが天照の力の片鱗を見た。
[Data32:「風は気づいてる」]
がUnlockされました。
別項(投稿済作品一覧)の『超次元電神ダイタニア[Data Files]』をご参照ください。
下記のリンクよりご覧頂けます↓




