私の視界 第二話【×××人生生きづらい部編①】
死にたいンゴ
そのグループの中ではいつも誰かが自殺を仄めかしていた。
皆死にたい集まりだった。
でも人間不思議なもので、誰かがどん底に落ち込んでいる時は
自然と暖かい言葉を掛け合っていた。
そんなグループに入ることとなったのは、本当にたまたまだった。
初めて使う匿名の固定ハンドルネーム付きチャットツールで、うつ病と検索したらヒットした。
グループのトップ画面にはこう書かれていた。
居場所がない人の居場所になりたいンゴ
そのキャッチコピーに惹かれた。詳細はうろ覚え。
トップ画面は大きなチーズ牛丼の画像だった。
そこで私はハンドルネームをti-gyuと決め男性のフリをして入室した。
性別や素性を明かすと仲間はずれにされると思ったからだ。
あと、男友達同士のような気兼ねない人間関係に憧れていた部分もある。
ちなみの私のSNS上でのハンドルネームは
ちゎぎゅう(誤字) tiwagyu tiwa
と陰の部分を捨て去ることが目的で、断捨離を続けて変貌した。
結果ほぼ効果は感じられなかった。
リーダー兼創設者の 綿
サブリーダーの ブサメン
ちっか
へろ
かに
ぼだ
風
ムラ
無能弁護士
ちーぎゅ
松屋
ふじこ
植物人間
ンゴ
せつ菜
エスポワール
はるまき
たぐち
(敬称略)
入退室経歴はバラバラではあるが、上記の人達はよく会話をしてくれた。
よく話してくれたのに名前を思い出せない人もいる。申し訳ない。
初めて使うチャット機能に慣れない私は
適当に挨拶して
適当にROM専になることを予想していた。
誰かがミ○タードーナツの画像を投稿したり、
今から死ぬと仄めかしていたり、
毎日にぎやかで気付けば大量の未読が溜まっていた。
ディスコードにも招待してもらった。
そんな部屋に私はのめり込んだ。
家庭状況による不眠症で、眠れない夜に時間ができたらずっと居着いていた。
その中で印象に残っているエピソードを主観的にお送りします。
まずはリーダー兼創設者の綿さん。
皆わたくんと読んでいた。
この人に薦められてヒ○アカにハマりました。
そして、ぼだくんこと境界性人格障害さん。
何と私たちは皆、同じような理由で性別を偽っていました。
皆考えることは一緒なんだと本当の仲間ができたみたいで嬉しかった。
ぼだくんは精神状況が不安定で、グループメンバーのちっかくんと喧嘩をして突然居なくなってしまいました。
少なくとも私はこの部屋の人達を仲間だと思っていたので、
側から見ればバカバカしい子供みたいな騒動内容かもしれませんが悲しかったです。
その後のちっかくんから、なんとなく後悔している様子が伺えました。
ちなみにちっかくんは学生時代お母さんのパンツでオナニーしたことがあるそうです。
その後、メンバーの数名が退会しては入る、退会しては入るを繰り返すようになりました。
私もその1人でした。
誰かが居なくなったら、それを追いかけるようにディスコードからメッセージを送っていました。
誰かが始めて、それが恒例のようになっていました。
死にたいと打ち明けられる部屋ではあっても、
嫌われてしまうのが怖くて完全に素性を明かすことはできず、
誰にも話せない悩みが私にもありました。
自主的は合計2回ほど退会してしまいました。
たぐちさんは、虫を食べたりしていました。
どうやったのか、かにくんのSNSを特定しストーカー行為(?)を行い強制退会させられました。
ムラくんは何かから逃げているみたいで、逃走中ムラという名前で参加していました。
特殊性癖であったり、何より文章力が凄くて
この人の話は本当に面白くて一時期私はとても影響を受けました。
しかし稀に犯罪を仄めかすような危ない発言もありました。
そんな彼も自分の行いを恥じたりしていて、人間の脆さを感じました。
彼が優しい心も持っていることは確かなので悪いことはしないでほしいです。
このグループの皆と交流することで行動意欲が湧き
私はまた絵に挑戦するようになりましたが、
ムラくんにはリクエストで何枚か描かせてもらいました。
どれも金銭は発生していませんが、気に入ってもらえたのが嬉しかったです。
この表紙イラストも当時のものです。
ある時グループメンバーのかにくんが退会しました。
かにくんは当時グループのなかで1番入退会を繰り返していて、
それに呆れたへろくんが、かにくんの不在時に陰口にも取れる内容の不満を溢しました。
彼らはとても仲良くしている様子だったので、私はそれが許せず退会してしまいました。
やっぱり仲良しごっこでしか無かったんだ、
自分がのめり込みすぎただけなんだ、
そう感じて一気に皆を信じられなくなりました。
私は退会後、かにくんにディスコード経由でメッセージを送ってしまいました。
これはいわゆる伝書鳩のような行為にあたり、
結果的に2人の仲を修復不能のものへと変えてしまいました。
私が余計なことをしなければ、また皆で仲良く会話できたかもしれないのに。
本当に後悔しています。
かにくんは口々にこう溢していました。
「裏では悪口言いながら仲良く接する人は信じられない」
「誹謗中傷しながら生きて、それで楽しいって信じられないよ」
私はとても共感しました。
かにくんとはその後Twitterアカウントも交換しました。
なんとなく避けられている気がして苦手意識もあった相手と、凄い速度で仲良くなれた気がしました。
かにくんは可愛い儚い感じの歌声で自作ラップを投稿していて、
活動用のアイコンのイラストも描かせて頂きました。
ところが、別の場所で生きづらい部のメンバーを晒していたりしたことが発覚し
それを隠そうと動いているところを目撃してしまい、
一気に怖くなってブロックしてしまいました。
時系列的には、へろくんとの喧嘩前から皆を晒していたようでした。
「死にたいけど死ねないから惰性で生きているだけだよ」
かにくんは以前グループ内でそう言っていました。
辛い生い立ちやその気持ちにも、とても共感していました。
他にも音楽の趣向や表面上の考え方が合ったので出来ることならもっと仲良くしたかったです。
皆ごめん…
あの部屋に戻りたいンゴ・・・・・・。
【生きづらい部②】へ つづく