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第22話

いらっしゃいませ。


顔合わせのため、ラニャに連れられギルドの一室へ入った。

「いやぁー待っていたよ!私の名前はフィニュ、魔法使いだよ!このパーティの隊長を務めているので、文句があったら私に言いたまえ!」

「僕はファクラ…職業はえっと、うん、珍しくて弱いけど、妨害師です。副リーダーなので、戦闘に関する文句は僕に言ってください」

「……文句を言ったら俺が斬り捨てるぞ」

「ちょっと!ヤック!ちゃんと自己紹介しなきゃ」

「…ヤックです、俺が大将だ、文句は言わせない」


色々戦闘慣れしている3人組だと装備を見て気が付いた。気配は弱々しいが、微かに新しい血の匂いが香ってくる。

特にファクラが手で示す椅子に座って初めて逃げ場がないことを理解して、1番厄介なのが誰なのかを密かに訴えてきた事を察する。

「…えっとフィニュさん、ファクラさん、ヤックさん初めまして、ラニャです、ヤックさんと同じで剣士です。彼が、スレイブで、……職は?」

フィニュのいきなりのテンションに気押されて一瞬無言になったラニャをみて、深く考えるのをやめた。

「魔法体術士かな確か」

「だ、そうです!」


自己紹介が済んだ後、依頼の話になり基本的に3人が前に出て有事の際は敵を足止めするから、2人は馬車と依頼人を全力で守るという方向で話が纏まった。


その後、場所を移動しながら話しているうちにラニャとヤックが手合わせをすることとなってヤックが圧勝する。当然の結果ではあったが、同じ女としてフィニュがラニャの実力を心配し、ラニャは実力の有無がハッキリとして落ち込んだ。


「人間相手と魔物相手に対する動きは違うからな」とフォローするものの、ゴブリンやオークなどの人型モンスターは人間相手に武器を奮うので、実際は人間とオークにはそこまで立ち回りに大きな差はないとされている。そもそも大規模パーティの後衛にいた彼女が前衛で戦い続けてきたヤックを打ち負かせるには実力も直接的な戦闘経験も足りないのだ。


「…あとはスレイブくんだけだね」

「ファクラ、俺もやるのか?」

「流石に実力が知れない人に後ろを預けるのは怖いから、気を悪くしたらごめん」

「分かった、ヤックと剣で勝負すればいいのか?それとも魔法?全員を相手にしてもいいが」

安い挑発だが、ラニャを抱えていても問題ないくらいには強いと認められなければ、今回の依頼を失う事になるかもしれない。

「てめぇ、女の前だからって調子に乗ってるんじゃねぇよ!」

「…全員相手にしても勝てる自信が湧いたんだ」

「いいわ!やりましょう!」

「えっ、フィニュ!これ挑発だよ?分かってるの?」

「彼が本物なら頼もしいじゃない?ね?ファクラ」

「知らないよ、スレイブ」

「ラニャ、これに勝ったら鍛えてやるからよく見ておけよ」

「え、う、うん、よろしくお願いします?」

「おい!お前、なんで俺たちが負けた前提で話をすす…」無視されたヤックが一瞬戸惑い、やがて大剣を担いでフィニュの傍による。

「俺は何を使っていいんだ?」

「何が?」

「魔法、どの程度の魔法までなら使っていい?」

「フィニュなら、今回どこまで使う?」

「うーん…即死するような魔法じゃなければいいよ、例えば、ダスト系統まで、とかね?」

「…見せてくれない?」

「威力を?それとも種類を?」

「威力を」

「じゃ見ててね!」

拳程度の炎の塊が数メートル先の床に飛来した。

「それって…はぁ…」

ファクラが大きな溜息を吐く。

「抉れてもないね…この威力を守ればいいってことだね?フィニュ?」

「そうだね」

「分かった、それと魔力を減らして悪かったね」

「そっちも何か魔法、見せてくれないかしら」

「確かにハンデの意味も込めて必要か」

ラニャが申し訳なさそうに見守っている。


何がいいかと迷い、二段ジャンプをしてみせる。

「これを今回の試合では使わない」

「…確かにそれはハンデだ」

ファクラがそういうと、何かを言いかけていたヤックが口篭る。

「凄いわね!」

「無属性を練習すれば出来るようになるよ」

「…そっか!」


その後、合図を誰が出すかを押し付けあっている仲、ラニャが職員を連れて戻ってきていた。


お疲れ様です。

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