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第21話

いらっしゃい。

21話

ラバル王国の首都の活気は元いたナサルバの街随一の商店街を容易く上回る活気を肌で感じることが出来る。

「流石ね、世界一治安のよい国だとか世界一活気のある国、世界一騒がしい国だとか商人の架け橋だとか、色々言われてるだけはあるね!」

「世界一ねぇ……」


見れば国民が首から下げている名前付きのカードが目に付いた。

他の国じゃ見る事の出来ないラバル唯一の制度が存在する。

それは、市民権と呼ばれるもの。

市民権を会得した人間はラバルの民としての生活を強制される代わりに国内での餓死や飢え、寒さに怯えることの無い最低限の生活が保証されている。

契約魔法によって国は国家の一大事になるような出来事の発生や戦争、厳罰以外の全ての状況下においてその保証は最優先事項と国民一人一人と王が契約している。

「犯罪を犯した人間が抹殺されるのを知ってるから誰も犯罪は起こせない。この国で犯罪が起きたら間違いなく外部の人間だと思っていいよ」

「怖いな…行動を強制する魔法……。」

「あのカードに市民以外の人が魔力を注いだら腕が吹き飛ぶから気を付けてね」

「…分かった」


「君たち、余所者かね、金は有るんだろうね」

「半銀貨二枚以内の靴ありませんか」

「無いね、うちは半金貨一枚からって決めてんだ」

「そう…「ラニャ他の場所に行こう」え…」

パタンと店を出るとゆっくりと歩き出す。

「スレイブ…?」「来れば吉、来なければ他を当たるだけだ」「いや、意味が分からないんだけど?」

「足元を見られて不当な額で売り付けられそうになったから店を出ただけだ。」

「え?でも……」

「すまん、でも無理して買う必要はなかった」

「分かってるわよ」

しばらく無言で商店街を歩き回る。

見つけた靴屋はどれも銀貨八枚以上。

ラリャが折れて銀貨九枚でラリャ自身の靴を買った。あのおばあちゃんには悪いことしたかなという申し訳なさが湧いてくる。

本当に靴は高い。あのおばあちゃんの店は普通たったと認識する頃には靴は買い終わっていた。

「スレイブは本当に要らないの?」

「死にはしないんだろ?」

「最悪、死ぬの!」

「風魔法でどうにかするよ」

「どうにかってどうするの?……はぁ、はいこれ履いて」

「すま…ありがとう」

ラリャに半金貨一枚を渡す。

「いいの?ユクナの手がかり探す為のお金でしょ?」

「あいつは多分生きてる。だからラリャは気にするな」

「ふーん、本当に信頼してるのね」

世情も靴の性能も何も知らない奴の知ったかぶりは良くないと反省する。そのまま特に話題もなく軽いクエストを受けて森へ移動する。


「兎?それとも亀?」

亀の様な佇まいで睨み付けてくる兎の耳を持ったもふもふの背にはラバルの建築物の素材となる甲羅がついている。攻撃されると素早く逃げに転じ、追い付かれると甲羅に篭もり、甲羅の内側から毒性の強い異臭を放つ。1部の冒険者はその異臭を利用して虫除けとして活用したり、その毒性を利用して強敵への抑止力としたり。様々であるが、逃げ足やその異臭よりも繁殖能力の高さから第二のゴブリンと呼ばれ、本物のゴブリンより冒険者に愛されている魔物である。知能が低い為、ゴブリンより簡単に捕縛出来、ゴブリンより簡単に繁殖し、ゴブリンより金になり、ゴブリンとは比べ物にならない程に美味しい。

しかし、この兎、繁殖能力が高い事は明らかなのだが、他生物に長時間触れられると繁殖能力を失い、追い込まれると雌と番には成らない。

など、ラバル王国はこの魔物の無攻撃性と需要の高さから人の手で管理し、飼育しようとして発展したと言われている。国の建物の7割が甲羅で作られている。甲羅に染み付いた異臭が、虫除けとなると得意げに教えてくれた。


「本当に歯で攻撃とかもしてこないんだ…」

「この魔物は楽にお金になるけど、捕らえていい数とかも決まってるから気を付けて」

「そっか、具体的に何体までなの?」

「1パーティー、十体まで、市民権を持たないから半分しか買いとって貰えないし、バレたら逆にこっちが払わなくちゃダメだって」

「…わかった」

森の中だというのに虫の声が少ない。

「どうしたの?」

「なんか静かだな」

「そうね、確かに静かね」

暫く歩くとちらほら虫の鳴き声が目立ち始める。

「この子の生息地は分かりやすいわね」

虫の来ない場所まで戻って取りすぎた亀兎を焼いて食べる。


この森の特徴として昆虫型の魔物が多すぎる。

屈強な大人が昆虫より小さい事実。

その昆虫を支え隠す程に太くデカい大樹。

小人目線の森とも言うべき異様な魔物の世界。

横切るだけで人を殺す化け物の生息地の手前、食人植物の群草地を見上げる。

その中で食人植物の食べ零した蠢く昆虫を喰らう地龍の存在が行く手を阻む。


「帰らない?」

立ち往生し、夕方になる頃に引き返す事を決意。

「…流石に死ねるわね、あれは」

巨大な昆虫が人間界に溢れ出て来ない理由を目の当たりにしたラニャが興奮気味に換金を終えて帰ってくる。


「さぁ帰るわよ!」

門番にシルバーの登録カードを提示してギルドを目指す。道中、亀兎の焼き鳥で小腹を満たす。


ギルドに着いて改めて受けたのは金貨1枚の依頼。

内容はナサバルまでの護衛。

金貨一枚の護衛依頼を受けてから、ラバル王国の辺境の村に寄ったのちナサバルへ帰る事を聞かされる。3人組のパーティとの合同だと知ったのは、依頼を受けた後だった。

お疲れ様でした。

(亀兎の加工技術はラバル王国の経済を支えている為、外部に漏れることを恐れた王様が技術漏洩を防ぐ為に市民の不平不満を募らせずらい市民権の制度を作り出し徹底して行われている……みたいな補足っている?)

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